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お野菜ダンジョンにカレールー
しおりを挟むこの異世界にもなかった『パンの木』を爆誕させて子供達から怒られたお義父さん。《世界記録》とかいうのを引っ張り出してウンウン唸って、お野菜辞典みたいなのを俺に見せてきた。
「千早の嫁はどれが好きだ?」
「えっ…」
えええ……そんなこと言われても…。……えー…と、えー……あっ、白菜だ!白菜ある!
「は、白菜!好き!です!」
「ふむ、これか」
ポポポン!
うわ!…は……生えた!?白菜生えた!!
「えっと…トマトとかキュウリ、ナスビ……あっ、ジャガイモ!ジャガイモ好きです!玉ねぎもあったらカレー食べたい!カレールー……ないよね……」
「かれぇるぅ……これか」
めきょ!わっさー!
わああああああ…………
「………まジで?箱デかれーるーガ生ルのかヨ…」
「ちょっと待って……ジャガイモって空中にぶら下がって生えるんだっけ!?」
「あーあーあー……親父殿…絶対システムに不具合出て兄貴に怒鳴られるからな…」
俺、まさかこの世界で一番おねだりしちゃいけない人におねだりしちゃってない!?
その後も恐ろしいことに、お義父さんはあれこれとダンジョンに生やしまくって、ダンジョン内は無秩序な状態になっていった。
えー…なんかこの光景に似たの見たことあるなあ……なんだっけ?えーと…えーと……あっ、そうだ!
「千早の部屋に似てる…」
「エッ…」
「初めてバベルにきた時の……」
「アァ~、あレかあ…」
千早が遠い目をする。
俺が初めてここに連れてきてもらった時、千早の部屋はそれはもうすごい状態だった。俺がゴミ捨て場かと思うくらい物が堆く積み上げられてて埃っぽくて。紅葉さんたちも『腐海』とか言ってたっけ…。
「目ニついたモンを片ッ端かラ突っ込んデ、すっカり忘レるってノヲ何度もやッてタからナ…」
「ええ…それであんなに散らかるもんなの?」
「散らカるンだな、ソれが。…ま、もウしねェヨ?ゆキがイルし?」
「なにそれ…」
どこかズレてる魔王様である。
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