【7人の魔王1】転生したら悪役令嬢の父だったらしい

魔王の結婚

結婚…と言っても、前世のように神前で誓うわけでも披露宴やるわけでも、ましてやパレードやるわけでもない。

まあ、ある意味パレードなんだが。

アキの兄弟である他の魔王たちは自領でお祝いだ。モールドレには来ない。


彼らの兄弟の、最後の結婚。


白い軍服のような式典服を着て。

同じように黒い軍服を着込んだアキに手を差し伸べる。

アキは花が綻ぶように笑う。

人間の貴族のエスコートは、エスコート役の手にそっと手を重ねるだけなのだが、アキはぎゅっと握ってくれる。可愛い。可愛すぎて尊死する。

ここから青目魔王千早くんの結婚祝いの真っ黒い天馬に乗ってパカポコ歩く。そう、パレードもどきだ。10日ほど。ゆっくりゆっくり歩いて《眷属》たちにお披露目しながらクレバスの階段まで歩く。この階段、登るのにまた半日以上かかるらしいんだけど、そこは天馬でズルして登る。

その10日で、俺とアキは思い出話をしながら進む。

2年前、アキに出会った時に一目惚れした話とか。お互いの子供の頃の話とか。きょうだいの話。食べ物の話。お互いが知ってる話。知らない話。たまにエッチな話とか。

不思議とお互い、眠らなくても食べなくても疲れも空腹もない。排泄もしてない。


ああ、いよいよ俺もアキもヒトではなくなった。


他の魔王たちもそうなんだろう。





『星辰が集う』とはこういう事なのだ。





パレードは進む。

歓声も、祝辞もない。

俺とアキが天馬に乗って。その後にアキと同じような黒い軍服を着込んだイチやニィヤ、それから『出稼ぎ組』と言われるフタツにサン…。幹部たちが軍馬に乗って進んでいく。

道の端にずらりと並んだ《眷属》たち。言葉は無く。鎧を纏い。武器を携え。
















「…………さあ、滅ぼそうか」