【7人の魔王1】転生したら悪役令嬢の父だったらしい

お客様？らしい

朝起きて、かまどに火を入れる。魔道コンロなんていう便利なものもあるけど、モールドレの早朝は少し冷えるからかまどの方が暖かくていい。

仕込んで置いたパン種をオーブンに入れて、野菜たっぷりの具沢山スープを作る。最近のアキは野菜の旨さに目覚めたらしく、おかずのの8割がたが野菜でも何も言わなくなった。食育成功⭐︎たんとお食べ。まあ、あの姿のまま千年近く生きてるらしいから、もう大きくはならないのかも知れんが。

保冷庫と冷凍庫のついた食品保存庫の中のミルクはしっかり冷えている。そのミルクの上に浮かんだクリーム分を見て嬉しくなる。成功だ。遠心分離機がなくても生クリーム完成。今日のおやつはこれでパフェでも作ろう。

ボウルに上澄み生クリームを移して顔を上げる……と、


うお！！ビビったあ！！


いつのまにかカウンターに誰か座っていた。



「おはよう、良い朝だね！」

「お…おはよう、ございます……」


男は言った。

歳の頃は40代くらい？スーツにネクタイ。銀縁メガネに黒髪をビシッと撫で付けている。うん、どう見ても地球のサラリーマンです…。

食堂ここに入ってくるってことは幹部か何かだろうか。


「それは朝食かい？良い匂いだねえ…(チラチラソワソワ)」

「え…あ、ああ……はあ…………食べます？」

「えっ！良いのかい？嬉しいなあ！」


かまってちゃんかよこのオッサン。


「飲み物はコーヒーで良いですか？」

「砂糖たっぷりのカフェオレで…ああ、その手に持ってる生クリームのホイップをマシマシ…あっ、カップはそっちの大きな黄色いマグカップで供してくれたまえ！」


ええー、このリーマン要求多いー。黄色のマグって俺のだよ？しかも生クリームって……これさあ、アキが楽しみにしてんだけど……拗ねない？先に食べさせて拗ねない？…拗ねるよなあ……。


「さあさあさあ、新入りくん！私に愛のお裾分けをくれまいか！？」




訳がわかんねえ！？