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私と婚約者の婚約破棄 1
しおりを挟むあら……あー…あちゃー…。なんだか聞き覚えのあるこえが聞こえます。気のせい…気のせい、だと…思いたいよぅ…!
「レア!!どこだ!?」
………気のせい。気のせいよ!
「ねえニナ、これなんのお魚かしら?美味しいわ(あーん)」
「んっ……んん!これは……(モグモグ)あら?ポルトロンヌは海なし国なのに潮の匂いがしますわぁ?」
「レア!!!」
ふぁっ!!あー…見つかってしまいました。端っこのテーブルだったのになあ…。
人混みを掻き分け、顔を真っ赤にして現れたのは婚約者のラーク様です。……ウヘァ…なにぃ、そのピンクのスーツ……。
ラーク様は左右に金色のドレスを着た美少女たちを侍らせて仁王立ちしていました。あら?先日の強襲の時のピーチちゃんとメロンちゃんじゃありませんね?もしかして逃げられたのでしょうか?
「レア・トーマ!!貴様とは婚約破棄だ!!!」
「えっ…???」
「……………」
何を言ってるんでしょう、このピンク男……。いえ、私の婚約者ですが。多分…いや絶対、婚約がなくなって困るのはラーク様なんですけど???
私とラーク様の婚約は、多分絶対、私への嫌がらせでお父様が決めてきたものです。
公爵家の男児といえど、ラーク様は第三夫人の産んだ七男。第三夫人は確か平民のパン屋の娘。他の貴族家に婿入りさせるほどの美貌も能力もなく、かと言って本家の公爵家の補佐をさせるにはあまりに無能。騎士になれるほどの腕もなく、文官になれるほどの頭もない。だが平民として放逐するには外聞が悪い。なので、ヴォーツ公爵が所有する男爵位だかなんだかを与えて小さな村……ンンッ!領地を任せる。そうヴォーツ公爵から説明されました。私はラーク様が人口100人程度の村とはいえ、領地経営ができるとは思っていません。実質、私は妻というよりお世話係。そう思っていたのですが……。
「レア!お前は私の友人のペッシュと幼馴染のムロンになにかを吹き込んで遠ざけた!!彼女たちに嫉妬して!なんという嘆かわしい!そしてこの二人、プワールとポムを学園で虐げ、暴漢に襲わせた!そうだな!」
??????
何を仰ってるんでしょう、このバ……いえ、少し考えと調査力な足りないお坊ちゃまは???
「怖かったんですぅ!」
「レア様!私たちはラーク様とはお友達です!もう虐めるのはやめてくださぁい!」
「……は???」
「ああ!なんということを!お前は!ただの友人のこの二人を!侯爵家の力で虐げた!!こ、の、わ、た、し、のッ!友人を!!」
「え……???ええ…あ、あの…どうやって…???」
「よかろう!教えておあげ!小鳥たち!!」
「わたくし、池に落とされました!!」
「わたくしは階段から突き落とされました!!」
「アクセサリーをとられました!」
「わたくしは教科書を目の前で破られました!」
「食堂で足を引っ掛けられました!」
「熱い紅茶を頭からかけられました!」
「ラーク様に近付くなとナイフで脅されました!」
「あの方は私のものだと、頬を打たれました!」
「え……ええ…???それ、は???学園で?」
「「はい!!」」
「私が?直接?」
「「ええ!レア様の鬼のようなお顔を、わたくしたち、覚えています!!」」
「えええ~…???」
「観念しろ、レア!大体、お前のような…ような………ぁー…き、今日は、まともな姿をしているが……その、お前のような、地味で面白みのない女は私に相応しくない!公爵夫人として不適合だ!!私はお前との婚約を破棄し、ニナと新たな婚約を結ぶ!!」
な…ナンダッテー(棒読み)
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