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【サフィ視点】ルビィの初恋

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「ね?ルビィ、来てよかったでしょ?」

「……ぅ、ぐっ…」


恥ずかしそうに頬を染め、双子の兄が呻く。あー、可愛い。揶揄い甲斐があるなあ。セオドア父上曰く、『好きな子を頭の天辺から爪先まで自分の贈ったもので飾り立てるのは、独占欲と征服欲と愛情がガンガンに刺激される』らしいし?

ポルトロンヌ王都の一番大きな宝飾店で、ルビィはああでもない、こうでもないとレア嬢を飾るアクセサリーを選んでいる。「俺の目の色の宝石、全部持ってきてくれる?」と言われた店員は最初真っ赤になって、それから大慌てで店中のアクセサリーを掻き集めた。

レア・トーマ侯爵令嬢はルビィの初恋だ。落ち着いた雰囲気の、全体的に茶色っぽい令嬢。華やかな妹のニナ嬢に目を奪われがちだが、飾り立ててやれば求婚者が列を成すだろう可憐さ。控えめで、聡明で、令嬢。


「ねえルビィ?ルビィがマザコンっていうのはレア嬢には内緒だよね?」

「ぐほっ…!な…ま、ま…マザコン…!?違っ…!!」

「うん、わかった。内緒だね」

「違う!!レア嬢と母上はぜんっぜん違う!!」


そう。レア嬢は、ルネライト王国女王の母上によく似ている。顔とか背格好とかいうんじゃなくて、全体の雰囲気が。まあ胸が控えめなのはそっくりだけど。生まれた時から最上級の女が近くにいるんだもん。目が肥えるのは当たり前だよね。


「違うから!俺はマザコンじゃないし!レア嬢は母上に似てな……くもないけど!ぜんっぜん別腹だから!!」

「(……別腹?)」

「おかしなこと言うなよ!?レッ…レア嬢に嫌われたら……」

「嫌われたら?」

「………その辺の国、ぶっ潰す…」



うん、世界征服が捗るね!






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