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新世界にて 8
しおりを挟むああ、とか、うぐう、とか呻いていた聖龍が「魂魄の修復だけなら…」と、千早の蘇生を了解した。
よし、やっと千早を背中から下ろせる!俺がチラッと地べたを見ると、慌てて千早んとこの眷属たちが布団敷きやがった。布団だぞ、布団。どこから持ってきやがった。
さあ蘇生!という段階でまた深紅と聖龍が揉め始める。聖龍の技はなんでも一子相伝とか部外者とか言い出し、深紅はこんなに可愛いユキをケダモノと二人っきりにさせるわけないでしょうとか…。うん、どうでもいい。どうでもいいがユキを泣かせるな。そこ、クリス。飴玉咥えさせたくらいで泣き止まないから!
「……いいでしょう。ではこの犬を護衛に付けます」
「わふ!」
大型犬サイズになったワンコが得意げに鳴いた。相変わらずユキの前ではかわい子ぶるのなワンコ。お前ほんとはすげえデケエくせに。しかも自分の体の何倍もの大きさの獲物も平気で狩るくせに。
「いいですかワンコ。この助平がユキに指一本でも触れたら食いちぎっておあげなさい」
「わふわふっ!」
わ…わー。どこを食いちぎるんだろうなあ…(遠い目)
深紅が撫でるフリをしてワンコの耳に触れる。兄貴謹製の極小サイズ記録装置だ。あーあーあー…いいのかなあ……
「………ま、いっか」
騙される方が悪いのだ。……多分。
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