【７人の魔王 終】白の恋と、黒の愛

鎖国5年目、そして6年目

鎖国5年目。相変わらずゆっくり過ごす。ウィンストンは正式に『うちの子』になった。

『そちらの国から不法侵入者が来ている。身の丈2メートル越えの四肢が義肢の大男だ。アーヴィングとかいう勇者のパーティーメンバーらしいがどうなっている』と一条にキツめに問い合わせてもらったところ『そんな男は知らないし、アーヴィングという勇者は存在しない』とのこと。ありがとう。晴れて拾得物は落とし主が現れずにうちのものになった。

ウィンストンの義肢は新作ができるたびに何度か付け替えて、その度にベンジャミンがニギニギモミモミしている。力を入れていない筋肉の弾力が気に入ったらしい。一条の最初の情報じゃあ『神経質で堅物』だと言っていたが、あいつ単に不思議ちゃんなんじゃないか？ジャックが「ごめんなあ！あいつ温室育ちの坊ちゃんだから…」とか謝ってたけどウィンストンの目が穏やかだから大丈夫だと思う。

さてアヴァロン。5年も内政に力を入れたらかなり完成に近くなった。ど真ん中にある大きなビルを囲むようにビル群が立ち並び、その周りにテーマパークのように屋敷や時計塔、緑がバランス良く、計算され尽くして配置してある。花見をしたアーモンドの巨木や魔蜂の巣もここ。ここまでが今俺たちが住んでいるゾーンだ。中核になる場所をぐるりと壁で囲み、いずれは外に向けて解放するつもりの商業施設予定地の建設が進んでいる。まあ解放って言っても審査するけどな？

今話が進んでいるのは転生者の商人だ。紫苑のとこで出してた日本酒と醤油を使った料理に見事食いついた。大商会の三男坊で独立してエーヴェルシュタインに移住してくるらしい。

そして鎖国6年目。







とうとうレーヴァンシュタインで、戴冠式と結婚式が盛大に行われることになった。