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クリスは実は賢かった!?

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「あっ、ホントに『人工太陽』の子だ!移住してきてくれたんだ!」


籠に入れた大量のパンを持ってクリスが部屋に入ってきた。後ろに控えるエルンストとレイブンたちも寸胴鍋やら食器やら抱えている。


「しばらく何も食べてない人はよーく噛んで下さいね。お粥かパン粥かで悩んだけど、食べ慣れたパンがいいかな~って」

「おかゆ……こ、米!?米があるのか!?」

「ありますよ!おにぎりもどんぶりも思いのままです!」

「っ~~!!しゃあ!!勝ち組!!魔王選んで勝ち組!!うおお!パン!柔けえ!!!スープうんまっ!!」


オッサン聖女が落ちた。うんうん、異世界こっちの飯に絶望してたらクリスの飯は悪魔の味だからなあ。

クリスはぼんやりしているベンジャミンにパンを渡してそのままストンと隣に座った。


「久しぶり!」

「………?」

「人工太陽できた?俺もね、あの後理論纏めようとしたんだけど直後ににあってね?気が付いたら君の名前聞いてやっと思い出しちゃったくらい時間が経ってたよ」

「……あ、『人工太陽の構築と運用』…」

「そう!あれができたらお米がもっとおいしくなるよね!?他の魔王様のとこにも使ってもらったら農作物の収穫量も増やせると思うし栽培のコントロールが容易になるよね!」

「……そうか、君か………」

「ん?」

「いや……いい。良いんだ……人工太陽は…もう一歩のところで全て置いてきた…」

「えっ、そうなの?」

「研究所の皆がこちらに来たのなら、あの国では研究は続けられないだろう」

「ふぅん…?じゃあもう一回ここで考えたら良いよ!」

「………」

「俺ね、あの時の事思い出しながら頭の中でイメージしてたんだけど、やっぱりこのくらいの小型化したのをこう…ぎゅっと詰め込んでね」

「……ほう?だがそれでは効率が悪い」

「効率より安定化でしょ!」

「配線が大量に要るだろう。美しくない」

「ええ~!カバーかけちゃえばわかんないって!」

「メンテナンスも複雑になる」

「ええ……んー、じゃあさ、無線充電でいけない?」

「ジュウデン…?」

「あー、んーと…魔力か……それの受け取り器を作って配線を無くして…」

「待て、その無線という理論を詳しく聞こう」

「えっとねえ、あー…エル兄、紙。紙持ってない?えーと、つまりね?魔力を流すと魔力が巡回するシステムを作ってその範囲に…」

「こらクリス。食事の後にしろ。ベンジャミン王子も困って…」

「困っていない。続きを」

「磁界っていうのがあるんだけどそれを魔力に応用して……」

「だがそれだと待機中の魔力のロスが……」

「ベン、先に飯食え!お前しばらく食ってねえだろ!?」

「待ってください先生、今なにか閃いた気がするんです」

「飯の後にしろ!!お前今ハイになってるだけだって!!」

「範囲が広いと大量の魔力と圧がいるからそのシステムをね…」

「クリス!食事が先だと言っているだろう!?」


あっ……これ混ぜたらダメなやつだ。クリスはのほほんとして食べ物の話ばかりしているから気付かなかったけど……実は結構賢くないか!?そういや遠心分離機とか缶詰工場とかクリスの主導だもんなあ…。



「「先に食え(食べてください)!!」」



ああ…こりゃあお守りが大変だあ……。





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