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脳内のシロは辛辣
しおりを挟む「本当は私たち眷属だけで処理しようと思っていたのですが…」
申し訳なさそうにフュールが顔を伏せた。目の前には整然と並んだ大軍隊。先頭の数人はいわゆる『勇者パーティ』というやつか。栢木に聞いていた特徴と一致する。勇者パーティで一点突破し、敵が浮足だったところを数の暴力で制圧するのか。えっぐいなあ。
それらを空中から眺めている。上空一千メートルによもや人がいるとは思うまい。さあ、これはテストだ。
本当に人間が殺せるのか。
もう自分が人間じゃないことは知っている。いや、生まれ落ちた瞬間から既に人間じゃなかった。人間や神々から見れば、俺たちは絶対悪の邪神らしい。
つい先日まで同胞だと思っていた人間を殺せるのか。
否、殺す。こちらを殺す気で奴らは来ている。殺さなくても捕らえられれば何をされるかわからない。
大切なものが。守るべきものが増えすぎた。けれどもそのことの心地よさ。
「なあフュール」
「はい、椿様」
「俺さあ、コレ片付けたらシロにプロポーズしようと思う」
「……は…?」
フュールは目を丸くした。そうだろう。「伴侶を作れ」と言われた星辰同士でくっつこうって言うんだ。…いや待て、その前にシロが頷くとは思えなくなってきた。あの地球での夜、どさくさに紛れて告ったけどなんの返事も貰ってないし、シロもあの時混乱してたから覚えてないかもしれない。……あ、やべえ。マジで自信がなくなってきた。シロは……シロは綺麗だから、その隣はふわふわした可愛い女の子が似合うかもしれない。っていうか男同士だ。脳内で「やだクロ何の冗談?」って苦笑いするシロを想像して勝手に鬱になってきた。
「あ…あの?椿様?お伺いしても…?」
「ああクソ!!やってやるよ!玉砕だよどうせ!!」
「えええ~…」
「…ん?なんか言ったか?」
「い…いえ、後ほどじっくりお伺い致しましょう…」
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