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二人目の転生者 2
しおりを挟む前世オッサン腐男子のSランク冒険者は重度の食用菌類マニアらしい。一条の中学校からの同級生で腐れ縁。同人誌が腐るっていうのはアレだろ?クラスの地味系の女子が持ってた薄い自費出版のホモ本。アレの人気作家でもあった……と。なんだこれ情報多いな。
とりあえず醤油欲しい。
そう思い、俺が一応『魔王』とか呼ばれてる人物だと明かした後に醤油生産を依頼した。……が。
「麹菌がない…?」
「正確には日本人が数百年かけて飼い慣らしたアスペルギルス・オリゼーが存在しない。猛毒を発するアスペルギルス・フラバスとか、普通に乳酸菌とか枯草菌とかのラクトバチルスやペディオコッカス、バシラス・サチリスなら存在するけど。つかおじさんこの調査が終わったら辺境に土地買ってそういう菌と共に生きるスローライフやるんだけど見逃してくれないかなあ?」
ごめんマジで何言ってるかわかんない。
「スローライフとかここですればいいじゃないか」
「嫌だ!俺は辺境に未知の菌を探しにいくんだ!」
「異世界の菌って……基本猛毒だよな…?」
俺たちが毎食食ってる酸っぱいパンを思い出す。菌……菌、かあ…。
地球のものなら蒐集家がコレクションとして持ってないかな?
System《ビンゴだよ椿くん!ほらあ、『私』!勿体ぶらずに分けてあげなよ!》
System《えっ…ええ~!?だってこれは私の個人的コレクションであってだね…?》
「えっ、マジで!?増やして返すからくれ!あと米とか大豆とか麦の種!」
System《遠慮なくグイグイ来るね椿くん……》
急に宙を見て喋り始めた俺に自称おじさんは目を丸くした。自称っていうのはまだ若く見えるからだ。中学生くらいに見える。一条より若いんじゃねえか!?
転移で飛んで、目当てのものを引っ掴んですぐに帰る。父さんがコレクションしていた麹菌は数種類あって、鏡都やら仁位潟やら説明されたように言って渡すと、ショタおじさんは五体投地して粉(菌)を恭しく受け取った。
「一生ついていきます…!!」
Sランク冒険者、菌のために人類を裏切った。
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