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終幕(フィナーレ) 9
しおりを挟む「予言の聖女ロゼマリアに話を聞いているよ。お前の前世にはこの世界と似た話がある、と。それが間違いだと、何故考え至らない?」
「え……まって?ルーカス様、待って?怖いわ…?やめて?やめ…」
「この世界はゲームでもないし、お前以外の人間はNPCなんかじゃない。きちんと血が通い、生きている」
「ち…ちがう……やめて…やめて……!だって…それじゃあ…!」
「お前は『主人公』なんかじゃない。元バッヘム男爵令嬢ウルリカ」
「やめてっ!!違うわ!ここは、この世界はゲームなの!私の都合のいい世界!都合のいい夢!だってそうでしょう!だって、そうじゃないと私…!!」
「お前は《魅了》を振り撒き男爵家に入り込み、《魅了》に耐性のあった高位貴族は麻薬中毒にして意のままに操った。王太子の婚約者であったロゼマリアを虐げ、冤罪で陥れ、排除しようとした」
「違う…!あれは、勝手に好感度が…」
「自らを聖女と偽り、ロゼマリアの予言を奪おうとしたが失敗」
「ちがうっ!私は!私は本当に聖女なの!!私も知ってた!スラムの反乱もインフルの大流行も火山の噴火も大洪水も麻薬の蔓延も!全部全部ゲームの通りじゃない!!ロゼマリアもユーザーだったから知ってたんじゃない!!私は知ってて何もしなかったんじゃない!できなかったのよ!それぞれのルートでのイベントが起きなかったんだもの!誰もイベントを持ってこなかった!仕方ないじゃない!!」
「ロゼマリアは奏上した。行動した。だから動いた。俺たちが。国が動いた」
「ずるいわ!だってずるいじゃない!!なんでよ!?ロゼマリアばっかり!なんで!?ルーカス様…!ルーカス様がいてくれればこんなことにならなかった!ルーカス様をロゼマリアが奪ったの!だから私は聖女になれなかったの!!」
「そう、お前は聖女にならなかった。だからロゼマリアが聖女になった。……では、お前はなんだ?」
「……えっ…」
「聖女のように予知をしながら、この国が、世界が混乱しようとしているのに傍観した。見殺しにしようとした。お前は聖女になれなかった」
「魔女はお前だ、ウルリカ」
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