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ルーカス・フェリエーラとエスコートのお願い

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学園の冬季休暇が終わった。俺の業務はロゼマリアの護衛という通常業務に戻る。

これだけなら大喜びなんだ。またロゼマリアを愛でるだけの天国のような仕事だ。けれど最終学年の3学期は交流会が殆どだ。つまらない。まったくつまらない。


「あの…ルーカス?交流会なんだけど、私のエスコートをお願いしていい?」

「えっ」

「えっ…あー……いや?」

「いいえ喜んで!!」


なんてことだ!エスコートはトビアスがすると思ってたのに!ロゼマリアのエスコートで給料がもらえるとかなにそのご褒美!幸せすぎて明日死ぬの?最後の晩餐なの?


「交流会でイベントが結構あるのよね。『ヒロインをお茶会に呼ばない』『みんなの前で叱責する』『ドレスに赤ワインをかける』『紅茶を頭から浴びせる』『足を引っ掛けて転ばせる』……このくらいだったかしら」

「うーん、なんていうかこう……幼稚だよね?」

「そうなのよ。嫌がらせが小学生レベル。私ならすごく深い落とし穴に落として半日くらい放置するわ」

「…………ぷぷっ…」

「ルーカス?なにか?」

「ううん、なんでもない」


やっぱり俺のロゼマリアは天使だ。俺なら森の奥深くに掘った落とし穴の下に毒を塗った槍を敷いて、掛かったらそのまま埋める。上に木を植え雑草を敷き詰めて完全犯罪だ。


「トビアスとの婚約はまだ内緒だから、ルーカスがいいの」

「そうだね。俺なら『殿下のエスコートがないから護衛に頼んだ』で終わるからね。俺の爵位は子爵だけど一応当主だし、王弟アレクシスの侍従って事で箔はある」


その稚拙な『嫌がらせ』もロゼマリアはしない。だってロゼマリアには王家の影の監視がついている。そしてもうひとつ…


「あとね、その……トビアスとの婚約を公表したら、もうルーカスにエスコートなんてしてもらう機会はないでしょ?ルーカスはロストアーテル大公夫人なんだし。だから私、ルーカスがいいの」

「ロゼ…!!」







俺の妹は何て可愛いんだ!!









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