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続々と招待客が集まり始めました

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《成婚の儀》十日前。各国、各領地から続々と招待客が集まり始めました。王宮だけでは部屋が足りないとわかっていたので、後宮を大改装して正解です。でもなぜかお姉様と皇帝陛下は公爵邸に宿泊されるそうです。


「愛するディアナの育った家を見てみたかったのだ」


はっはっは、と皇帝陛下は豪快に笑われました。相変わらず皇帝陛下はお姉様を溺愛されています。皇帝陛下とお姉様、そして側近やお世話の方のお部屋はありますが、護衛の方々のお部屋が足りません。適当なお宿を取って……と考えていると


「ああ、よい。訓練場か庭に野営させてもらえれば」

「野営、でございますか?」


そういえば我が家には騎士や私兵たちの訓練場があります。お庭は……


「訓練場行ってくだっせ。庭は穴っぽこ開けられちゃあ困るんで」


ええ、やはり庭師の許可が出ませんでした。お花に興味のない方はうっかり苗や宿根草の芽を踏んでしまうかも知れませんからね。


皇帝陛下とお姉様に続いて、わたくしの文通相手のプリムローズ様が到着されました。聖女であらせられるプリムローズ様は神殿に泊まるようです。事前にいただいたお手紙で、神殿に直接お伺いして良いと仰ってくださっています。

シンプルな白いワンピースに着替え、髪はキュッと一つ結びのお団子に。白い手袋をすれば神殿を訪問する際の装いです。


「お久しぶりでございます、プリムローズ様」

「なんですかエマ、その挨拶は」

「は、はい……プリムローズ様。申し訳ございません」

「違うでしょう」


プリムローズ様はキッとわたくしに視線を合わせました。あらあら…まあ。素敵。プリムローズ様はやっぱり美しくて凛々しくいらっしゃるわ。


「手紙のやり取りのようにお呼びなさい」

「はい、えっと……プリムちゃん?」

「エマちゃん…!」


聖女プリムローズ様 ーーー プリムちゃんはわたくしに駆け寄り、ぎゅっと抱きしめてくださいました。

プリムちゃんはご高齢の女性ですが、若い頃から聖女としてお仕事に追われてお友達ができなかったそうなのです。聖王国の大神殿裏庭で出会ったわたくしたちは、お友達のいない同士で意気投合いたしました。けれどプリムちゃんは聖女、わたくしはすぐにルネライト王国に帰らねばならず……ならば、と文通が始まりました。


「ああ、ああ、エマちゃん、大変でしたね…!」

「いいえ、プリムちゃん。わたくしちっとも大変じゃありません」

「いいえ、一大事です!あなたがあの糞に捨てられたと聞いて、わたくしは初めて神に恨み言を言いましたよ!!」

「捨てられていません、格下げです」

「同じことです!あなたの成婚の儀の予定だった日、あの糞と泥棒猫に天罰が当たるように、夜明け前から本気の祈祷をしたくらい、わたくしは腹を立てているのですよ!」

「ああ…あの突然の雷雨はプリムちゃんのご祈祷でしたか…」





聖女様が個人的なご祈祷をして良いのでしょうか?







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