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最終話

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皇国行きの船は、それはもう豪華な客船だった。広々とした個室に洗面所や風呂、クローゼットまで付いてる。食事も部屋に持ってきてもらえるし、毎晩パーティーとかやってるらしい。行かないけど。小さなサーカスやお芝居もあるらしい。……サーカスはめちゃくちゃ楽しかった。

えらく豪華だと思ったら新婚旅行を兼ねてるんだって。なんというスパダリ。好き。


海の旅を満喫して皇国に着くと、なんか護衛っぽい騎士さんがお出迎えしてくれた。んで、すげえ立派な馬車で新居に連れて行ってもらった。家でけぇ…。家っていうより屋敷?お屋敷だ。

そのお屋敷で何が何だかわかってないうちにメイドさんたちから風呂に突っ込まれ、やたらといい匂いのするオイルでモミモミされてピラピラの服に着替えさせられた。どうやらジョゼの兄ちゃんにご挨拶に行くらしい。ジョゼは「疲れてるのにごめんなぁ」とかションボリしてたけど、こちとら10年以上激務で鍛えてるからな。大丈夫!

ピッカピカにされた後にこれまた4頭立ての凄え馬車に乗る。商人の財力凄えな…とか思ってると、なんか城みたいなとこに降ろされた。……って城じゃん、どう見ても!!


………ジョゼの兄ちゃん、皇帝陛下でした。


ウッソだろ!?だってジョゼ、商家の8男って……!?


「そっちの身分もホント。俺の母さんが先代陛下の子供産んで、俺は商人の方の祖父じいちゃん祖母ばあちゃんの養子になってんの」


……うそやん…。


ジョセフ・ディグレシア・エルメニア皇弟殿下。


それがジョゼの貴族としての身分らしい。

なにそれ酷い詐欺かよ!?そう噛み付くと「皇位継承権は放棄してるし、皇弟って言っても幻の珍獣みたいな感じだし」って……。

皇帝陛下の前で俺とジョゼはケンカをおっ始めて、ジョゼにチュッてされてとりあえずは黙った。くぬう。家に帰ったら正座させて説教してやる。

ジョゼは皇弟としては殆どと言っていいほど表舞台には現れないらしい。だから安心して暮らしてくれ、……っていうのが皇帝陛下の取り成し。皇帝陛下は歳の離れた弟のジョゼが可愛くて仕方ないみたいだ。


それからのんびりと過ごして、たまに皇家直轄の領地の経営をお手伝いして。いつのまにかあの公爵家のお姫様が皇帝陛下の14番目のお妃様になってた。

お妃様になったお姫様とは、たまに皇帝陛下とジョゼと4人でお茶をする。コーヒーとジューシーな鳥もも肉をガッツリ挟んだサンドイッチも用意されてる。幸せだ。


あの後。


クソ王太子は廃嫡されて、今は第二王子が立太子したらしい。元同僚の側近候補たちも当然城勤めの内定が取り消された。それでもまあなんとかやっているらしい。あれから貴族の間では婚約のは行われていないそうだ。話し合い、だいじ。

筆頭公爵家の当主は、皇国の妃に娘を送り出して更に地位を固めたらしい。転んでもタダでは起きない筆頭公爵家。筆頭公爵家はお姫様が産んだ子供が継ぐことになってるらしい。王国の乗っ取りの序章か…。怖すぎる。

マクラーレン公爵からは手紙が来るようになった。いまさらなんなの?とは思うんだけど、公爵 ーーー 父上も色々あったらしい。俺を虐め抜いてたマクラーレン公爵夫人が事故で亡くなったらしい。愛人と一緒に。それでやっと俺に手紙が出せるようになった、と…。屑か、父上。……そういや父上、婿養子だもんね。仲良くはしないけど相手だけはしてやるよ。そう言うとジョゼはニヤニヤ笑った。くっそ!なんなんだよもう!恥ずかしいから書いてる手紙を覗き見すんな!!








側近候補を外されたら旦那ができた。人生ってなにが起こるかわかんないもんだ。












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