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側近候補から外された

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「お前を側近候補から外す。良くない噂がたっているし、正直鬱陶しいんだ」


そう言われた時は、なんの話をしているのか理解できなかった。

王太子殿下の側近候補になって10年。お茶も美味しく淹れれるようになったし王太子殿下の婚約者様に贈るドレスだっていつその店に予約を入れる…とか。流行りのアクセサリーとか、貴族の勢力図とか、1日のスケジュールとか、教師の癖からテストの出題傾向……。王太子殿下が望んだから、性欲処理だってやってきた。尻は使ってないけど。


「もうお前はいらない。即刻、生徒会室から出て行け」


いらない。いらないか……。

打ち拉がれる俺に更なる追い討ちがかかった。

実家の公爵家が俺を除籍した。「卒業までの3ヶ月は金を払うが、お前は貴族籍を外れ市井に降れ」って……。

ああ、仕方ないか。俺は五男で、愛人とも認められなかった女の子供だ。子爵家出身のメイドが産んだ子供。公爵は俺を認知したくなかったようだが、俺のこの瞳の虹彩が公爵家特有のものだったらしい。


死のう。


もう面倒だ。死ねば母さんのところに行ける。

ナイフを手首に当てて引くと、綺麗な赤が零れ落ちた。


ああ、綺麗だ。こんな俺でも、まだ綺麗なものが残ってた。


ぼんやり眺めていると、脳裏を掠めた。




それはここではないどこか。




もっと自由で、不便で、便利な世界。











あれ?






















なんで市井に降りるのが嫌なの?死にたいの?屈辱?馬鹿だろ。あのポンコツ王太子に捨てられて、自分の人生捨てるとか、馬鹿の極みだろ。





















俺ではない俺を。俺はないけれど俺を思い出したら、バスタブの中の赤い血が勿体なくなって止血して寝た。……痛え。












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