転生したらビッチ悪役令息だったので

18 お宝発掘は不発だった

俺の体はアルコールに強くできていたらしい。おじさんとおばさんが酔い潰れ、巻き込まれたアンナが潰れて、酒豪(らしい)エル兄がベロンベロンになってもケロッとしてた。

みんなのことは使用人の皆さんに任せて、千鳥足のエル兄に肩を貸して部屋まで歩く。

執事さんが「私が坊っちゃまを…」とか言ったけど、大丈夫大丈夫って言ってやんわり断った。ぶっちゃけエル兄の部屋が見てみたい。まあこの11年くらい、俺の護衛兼従者やってくれるようになってから帰ってなかったらしいけど。

エ…エロ本とかあったりして…！？

楽しみだなあ！もしエル兄がおっぱい星人ならエロ本ありそうだし、乙女ならポエムだよね！それとも「右手が疼くッ…！」系の暗黒設定かなあ？(ウキウキ)

……俺のちっちゃい頃の絵姿とかあったらドン引く。てか燃やす。うん、確定。

エル兄をベッドに下ろして探索開始！ぬっふっふ～！お宝どこかなあ～？


「……クリス…？」


本棚をごそごそ探す俺にお声が掛かる。ちぇっ、起きてる～！

しかしさあ、なんなのこの本棚！？剣術の本とか剣豪の自叙伝とか巻数多すぎの英雄譚とかさあ！健全まっしぐらじゃん！？


「クリス…？」


こいこい、とエル兄が手招きする。ええ～！面白くなーい！お宝はあ！？


「エル兄、お宝は！？エロ本とか、学生の時にもらったラブレターとかは！？」

「……んん～………？」

「お宝だよ！恥ずかしいポエムとか暗黒設定とかさあ！？」

「たからもの……なら、あるぞ…」

「えっ！どこどこ！？」


またこいこい…と手招きされる。……はっはあ、枕の下か。ベタだねエル兄。

ベッドに登ると、腕を取られて引き倒された。


「みぎゃっ！？」


腕の中にすっぽり閉じ込められてホールドされた。えっ、え…えええ……！？


「…俺の、宝だ……クリス…」


ちがーう！嬉しいけど、ちがああああう！！

エル兄はそのまま寝息を立て始めた。


……ちっ。今日はこれで勘弁してやらあ！(小物感)


次の朝、俺のシワシワの服を見て、エル兄とアンナの追いかけっこが始まった。オレ、ワルクナイ。