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閑話
ヒロインは夢を見る(終)
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ごとごと。
馬車に揺られて少し眠っていた。
夢を ーーー 見ていた。あの頃の。
夢の中で現実の夢を見るなんて ややこしいわね。
あの頃。
やっぱりこうやっていろんな女を排除して、私はたかしくんの彼女になった。
でも……突然 病院に入れられて、ずっとずっと たかしくんに会えなかった。
やっとで抜け出したのに、たかしくんは笑ってた。
可愛い女の子の頭を撫でながら笑ってた。
ねえ、どうして?どうして?どうして私が傍にいないのに、そんなに幸せそうに笑ってるの?
ーーー その子……だれ?
庭先で呆然と立ち竦んでると、捕まえられて また病院に入れられた。
しばらく大人しくしてたら、鍵付きの病室から【外】に移された。
ゲームをしたのはその時だ。
そのゲームの王子が、あんまり たかしくんに似てたから……
私は居ても立っても居られなくなって、病院を抜け出した。
…たかしくん。
たかしくん、たかしくん。
たかしくん、たかしくん、たかしくん。
たかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくん。
たかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくん!!!!!!
たかしくんの家に着くと、あの女が居た。
たかしくんに会いに来たというと、女は「お兄ちゃんに何の用ですか?」って睨みつけてきた。
この女が……たかしくんの大事にしてる【妹】だ。
長い黒髪、赤い唇、白い肌、大きな黒い瞳。
あの可愛い少女は、震えがくるような美しい女になっていた。
こんな女が たかしくんの傍にいるから!
この女が悪いんだ!!
魔女……そう、この女は魔女だ。
ころ…殺さ、なきゃ………そう、殺さなきゃ!たかしくんが奪られちゃう!!
私は女を刺した。包丁は近くの100均で買ったやつだから、あんまり長くないけど……ちゃんと刺さった。
女は小さく呻いて動かなくなった。
私は女を引きずって玄関のドアを閉めた。
大声を出したおじさんを刺した。
悲鳴をあげて逃げたおばさんを刺した。
刺して刺して刺して。
真っ赤になった。
たかしくんが帰ってきた。
たかしくんは私をおかしな目で見て怯えた。
ねえ見て。私、あなたを誑かす魔女を殺したの!魔女の手下も殺したの!
……どうして、そんな目をするの?
どうして魔女の死骸に縋ってるの?
ねえ、笑ってよ?
どうして?どうして、どうして、どうしてどうしてどうして……!?
そんな目をされたら私……!!
ーーー わたし、は……………。
ごとごと。
馬車が揺れる。
そろそろ山に差し掛かる。
ここを越えればもう、私たちの家がある。
たかしくんと、私の、家。
嬉しいわ。もう逃さない。地下室に閉じ込めようかしら?それとも塔の上?
私はたかしくんに言われたように薬を飲んだ。
ドロリとして、甘くて、苦い。
私の体がみるみる変化していく。
きっと私は王子とそっくりになった。
こうやって、私が王子のフリをして……王子が私のフリをして………
それで、王子を殺すの!
……………あら?おかしいわ?どうして……?
ごとん。
馬車が止まる。
しばらくして、馬車の中にたかしくんが入ってきた。
「ゆりか」
たかしくんが微笑んで、私を抱き締める。
ああ…嬉しい……!
さっきまでの疑問が吹き飛ぶ。
もう、どうだっていい。
たかしくん…。
大好きよ、たかしくん。
…た、か………し……く………………………………………
馬車に揺られて少し眠っていた。
夢を ーーー 見ていた。あの頃の。
夢の中で現実の夢を見るなんて ややこしいわね。
あの頃。
やっぱりこうやっていろんな女を排除して、私はたかしくんの彼女になった。
でも……突然 病院に入れられて、ずっとずっと たかしくんに会えなかった。
やっとで抜け出したのに、たかしくんは笑ってた。
可愛い女の子の頭を撫でながら笑ってた。
ねえ、どうして?どうして?どうして私が傍にいないのに、そんなに幸せそうに笑ってるの?
ーーー その子……だれ?
庭先で呆然と立ち竦んでると、捕まえられて また病院に入れられた。
しばらく大人しくしてたら、鍵付きの病室から【外】に移された。
ゲームをしたのはその時だ。
そのゲームの王子が、あんまり たかしくんに似てたから……
私は居ても立っても居られなくなって、病院を抜け出した。
…たかしくん。
たかしくん、たかしくん。
たかしくん、たかしくん、たかしくん。
たかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくん。
たかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくんたかしくん!!!!!!
たかしくんの家に着くと、あの女が居た。
たかしくんに会いに来たというと、女は「お兄ちゃんに何の用ですか?」って睨みつけてきた。
この女が……たかしくんの大事にしてる【妹】だ。
長い黒髪、赤い唇、白い肌、大きな黒い瞳。
あの可愛い少女は、震えがくるような美しい女になっていた。
こんな女が たかしくんの傍にいるから!
この女が悪いんだ!!
魔女……そう、この女は魔女だ。
ころ…殺さ、なきゃ………そう、殺さなきゃ!たかしくんが奪られちゃう!!
私は女を刺した。包丁は近くの100均で買ったやつだから、あんまり長くないけど……ちゃんと刺さった。
女は小さく呻いて動かなくなった。
私は女を引きずって玄関のドアを閉めた。
大声を出したおじさんを刺した。
悲鳴をあげて逃げたおばさんを刺した。
刺して刺して刺して。
真っ赤になった。
たかしくんが帰ってきた。
たかしくんは私をおかしな目で見て怯えた。
ねえ見て。私、あなたを誑かす魔女を殺したの!魔女の手下も殺したの!
……どうして、そんな目をするの?
どうして魔女の死骸に縋ってるの?
ねえ、笑ってよ?
どうして?どうして、どうして、どうしてどうしてどうして……!?
そんな目をされたら私……!!
ーーー わたし、は……………。
ごとごと。
馬車が揺れる。
そろそろ山に差し掛かる。
ここを越えればもう、私たちの家がある。
たかしくんと、私の、家。
嬉しいわ。もう逃さない。地下室に閉じ込めようかしら?それとも塔の上?
私はたかしくんに言われたように薬を飲んだ。
ドロリとして、甘くて、苦い。
私の体がみるみる変化していく。
きっと私は王子とそっくりになった。
こうやって、私が王子のフリをして……王子が私のフリをして………
それで、王子を殺すの!
……………あら?おかしいわ?どうして……?
ごとん。
馬車が止まる。
しばらくして、馬車の中にたかしくんが入ってきた。
「ゆりか」
たかしくんが微笑んで、私を抱き締める。
ああ…嬉しい……!
さっきまでの疑問が吹き飛ぶ。
もう、どうだっていい。
たかしくん…。
大好きよ、たかしくん。
…た、か………し……く………………………………………
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