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元嫁からの嫁バトル
しおりを挟む「グレン!!!」
………うん、みんなの心がひとつになった。マクシミリアン以外は。
誰だ、これ???
体に合わないはち切れそうなドレスと、艶というよりは脂ぎった髪。顔や手は太っているというよりは浮腫んでいる。吹き出物も酷い。俺はね、自他共に認めるフェミニストだから女性の容姿はどうこう言わない。自分を美しく見せようとする女性はいつだってキラキラしているお花だ。
でもね?これ誰???
美しく結われたピンクブロンドの髪。侍女さんの努力がすごい。ん?……ピンクブロンド?
「ランチェスター公爵令嬢?」
「グレン!会いたかった!!」
あちゃ~…。
ドスドス…と足音を立てて突進してくる元嫁との間に、物理担当の今嫁が滑り込む。あっ。マジギレですわアルヴィンさん。
「……っ、無礼者!お退きなさい!!」
「テメエこのクソ女!どのツラ下げてグレンの前に出てきやがった!?」
ああ~……こ、これが修羅場ってやつ!?ドラマとかで見てたから一回体験してみたいとか思っちゃってたけどさあ…。嬉しくないよ!?なんで!?嬉しくないよ!!マクシミリアンの頬がピクピクしてる。こいつ!わかっててタイミング合わせやがったな!!確かに元嫁にも会いに行くって言ったの俺だけどさ!俺だけどさあ!!??
「……ランチェスター公爵令嬢、貴殿はグレンとの離婚の際に『二度と関わらない』と誓約した筈だが?」
おおう、兄ちゃんの声が絶対零度。
「まあまあ、ジェラルド様。ランチェスター公爵令嬢がグレンと別れて下さったから僕たちがグレンを夫にできたわけですし?」
こっわ。レイも煽ってくるよ。そしてマクシミリアン!笑いを堪えてるのわかってんだよプルプルしてんじゃねえ!!こいつ兄ちゃんより性格悪い!何があってもお前だけは嫁にしねえ!!
「そうよ!わたくしのものなの!グレンは、わたくしの、ものなの!返してちょうだい!!」
やなこった。ってか、俺はモノじゃねえんだよ。
「…ふっ……くくっ………ははは…っ!ああ可笑しい!最高の見せ物だ!従兄弟殿、酒でも持って来させましょうか?」
「えー、飲みたいけど…飲みたいけど、いらね」
「ふふっ…残念ですねぇ」
この状況で飲もうと誘ってくるマクシミリアンもおかしい。どいつもこいつも、《ちいさきもの》ってやつはイカれてる。
「グレン!もう許してあげるわ!だから…だから…!!」
なんで上から目線なの元嫁!?
「………ふ…無様ですね。貴女とグレンが別れてまだ1年も経っていないのに……グレンは変わらず…いいえ、以前より美しくなったのに。貴女は…」
「こっ…、の!レイモンド・マーキュリー!お前が!!お前が嫉妬してわたくしを醜くしたのね!?」
「グレンの開発した美容品や食べ物、ドレスを使えなくなったのは貴女方とグレンとの誓約でしょう?僕は貴女に裏切られて傷心のグレンを慰めただけですよ?この王都から商会を撤退させたのだってグレンと結婚して、他の妻たちと共にグレンを支えていこうと移住しただけ。きちんと引き継ぎは致しましたよ?そのあとは知らないですよ?だってそれって貴女たちの…王国の責任ですよね?」
レイが正論で辛辣すぎるwww
「グレン!あなた騙されてるのよ!!おかしいじゃない!あなたずっと狙われていたのよ!汚らわしい!!いくら美しくても男と閨を共にするなんて!!」
「…確かにずっと俺はグレンが好きだった。でも!アンタがグレンを裏切ったんだろ!?俺は!グレンが幸せなら良かった!諦めるつもりだったんだ!!なんでグレンを裏切ったんだよ!?それとも最初から騙してたのかよ!?」
ピュアだ…。うんうん、アルヴィン。そのまま育ってくれ。
「ジェラルド・ナイトレイ!!あんたの謀ね!?あんたがわたくしからグレンを奪ったのね!?グレン!ダメよ騙されないで!この男は変態じゃない!!実の弟に欲情する変態じゃない!!」
あっwうん、そこは否定できない。
「最初に私からグレンを奪ったのは貴殿だ、妖精姫。初心な弟をその貧相な体で誑かし、殺そうとしたのは貴殿だろう」
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