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関所からの売られた喧嘩
しおりを挟む知らせを受けて青くなっているレイを抱きしめる。
クロで……いや、間に合わない。私なら蘇生だってできる。だがレイの精神がもたない。
……仕方ない。もう転移できるってバレるけど仕方ない。レイの方が大事。
「ぼ…ぼくが……僕が、テッドに……無理を…言ったから………」
「レイ、大丈夫だから。な?一緒に行こう?」
たとえ死んだって、魂を拘束して再生した肉に突っ込む……とかいうのは黙っておく。オリジンのやることは《ちいさきもの》にはショッキングだろうから。たとえ全身腐り落ちてたって、死にたてなら無理矢理再生して動かしてやる。第一世代《高天》ならそれが可能だ。
そのまま国境の関所まで転移。いきなり現れた俺たちに一堂がギョッとする。
「連絡を貰った。レイモンド商会のテッドは?」
「……はっ、あ…グ、グレン様………それが…」
うん、良い教育だ。即座に俺を認識して、どうしてここに、とか時間の無駄をしない。
「あちら側の関所で出国許可が下りないのです」
「………は?」
受け答えしてくれてた衛兵がビクッと身を強張らせた。おっといかん。ハイ深呼吸。俺は人間。良い人間。擬装は完璧……な、はず。よっしゃ。
「ごめんごめん。で?」
「こ…高額な通行料か……そ、その…………」
「うん、大丈夫。君に怒ってないから。言いなさい」
「元聖者、グレン・ナイトレイを引き渡せ、と… ーーー 」
「………………………」
………………ふーん?
ピキッと青筋が立っちゃうよね?よし殺そう。
「ば…!馬鹿なの!?グレンを渡すわけないだろ!?」
ショックでぼんやりしてたレイが再起動。どうどう。落ち着け嫁さん。
「いかないって。兄ちゃんの許可がないと国外には行かない。まあ行くんなら制圧してからかな?」
「…………っ」
「レイ、ここに居て。ちょーっとO・HA・NA・SHIしてくるわ」
「グレン…!」
足腰立たないレイを衛兵さんに任せて関所に歩いていく。俺が魔法陣を刻んだ壁だ。何があろうと俺が許可しないと異物は入ってこれない。けれど俺は出れる。チートだろ?
「さて、そこの蛆虫ども。私のものを返してもらおうか」
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