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「ヤバいこれ絶対苦情くるwww」
しおりを挟む『さー、間も無く始まります!元々は帝国第五王子ガヴェイン殿下が王弟妃ヴィオレッタ様に求婚したことが発端のこの試合!実況のギヴたんもびっくりの大展開でストーリーが明後日に走り出しております!!』
ギーヴさんメタ発言やめてwww
もう会場は実況の声も聴きづらいほどの大騒ぎだ。
『は…ははっ…!お前……お前、そんなに私のことが…?はは…ははははは!馬鹿な女だ!これだから女という生き物は!早くそういえば肉便器にでもしてやったものを…!』
『………もうね?アイリ、あなたのこと考えすぎて夜も寝れないくらいなの…(/∀\*) はしたないよね?ヤダ恥ずかしい…!』
アイリちゃあああああうううううおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!とすっげえ大合唱www振り返るとディーンの顔が……ディーンwww顔、こっわwww
『…夢に、まで ーーー 貴方が出てくるの……』
すうっとアイリを取り巻く空気が変わる。
アイリがツインテールに結い上げていた髪を下ろす。……やだ、なんかかっこいい…///
『両者構えてー!Readyー……』
クソ騎士は慌てて剣を抜く。対するアイリは無手だ。俺は笑う。
「喰い散らかせ、アイリ」『GOOOOOOOOOOOOOO!!』
ドン!と空気を震わせながらアイリが突進する。クソ騎士のマイクからヒッとかなんとかの息を吸い込む音がする。
アイリの拳をとっさに剣で防げるのはさすが帝国上級騎士といったところか。
だがそれも超越者の前では児戯に等しい。
剣が折れた。その勢いのままアイリの回し蹴りがクソ騎士にヒット。倒れる前に首を鷲掴みにしてそのまま押し倒す。
絵面だけ見るとエロくないこともないよね、うん!
馬乗りになったアイリがクソ騎士の頬を往復ビンタ。だがビンタの威力は到達者の先の超越者。肉が抉れ頬骨が砕けたのが遠目でもわかる。
…うん、手加減はしてるんだろうけど観客席からはご婦人の悲鳴が上がっている。でもアイリすっげえいい笑顔www
『ふふっ…ごっめーん(๑˃̵ᴗ˂̵) アイリ嬉しすぎて手加減間違えちゃった☆』
アイリの手のひらから淡い光が漏れる。聖女のみが使用できる光魔法だ。見る間にクソ騎士の顔が癒えていく。
そしてさらなる往復ビンタ。
えげちゅない……(((;゚;Д;゚;)))
俺はガタガタと震える。聖女の拷問えげちゅない!!
『や…やめ………がっ!…ぅが…っ!!』
『………ダメだよ?ね?グレイスもやめてって言ったんでしょ?でもやめなかったんでしょ?』
会場はあまりの光景に失神者が続出している。慌てて子供を抱えて外に出る大人も多い。ヤバいこれ絶対苦情くるwww
『グレイスの手紙に書いてあったよぉ?貴方たちに監禁されて……妊娠しちゃった…って……助けて…って………血塗れの…布……っ!!』
きっとグレイス嬢はその後で殺された。死の直前に、自分のドレスを破いて血で綴ったメモを、食事を運んできた下働きの少年に託した。少年はそれを男爵家に持っていけば金がもらえると言われて、幾ばくかの謝礼を手にした。
『死ね!お前たちなんか死ね!!グレイスを…!グレイスを返せ…っ!!!』
会場は静まり返っていた。ただ、スピーカーから聴くに耐えない打撃音とアイリの啜り泣く音が響く。
俺は背後に控えるディーンに目配せをする。心得たもので、ディーンは一礼すると走り出した。
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