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「往こう」 *胸糞表現があります
しおりを挟む侵攻してきてた隣国軍を返り討ちにして、そのまま国境超えて打って出た。
条約違反だとか国際法違反だとか拡声器で喚いていたけど知るか。
最初に横っ面張ったのは てめーらだ。
城が空になるほど戦力を投資して大丈夫かとアリストに問うと、引退した騎士とか貴族を掻き集めて、メイドや庭師までも武装させたらしい。
しかも主導は先代派や国王派じゃなくて俺派…。第二王子改め王弟くん大好き集団に、だ。要するに派閥としては新参オブ新参!突けば崩れそうだ。
うわこっわ。一歩間違えれば大惨事の賭けかよ。
その間に、にーちゃんが裏切り者宰相さんと革命派貴族を更迭。団体様 地下牢へご案内♪
宰相はここまで早く俺たちが動くとは(動けるとは)思ってなかったようで、「ねー、やばそうなんだけど どーしよっかー?」っていうお手紙を隣国の何某さん宛に書いてる最中の捕物帳だったらしい。
死ねよクソが。
テメーのせいで俺のワンコが何人死んだと思ってんだよ。
だがアリストは至極明るい声で言った。「もー、あのおじーさんは生まれてきてごめんなさいって言うまで後悔させてあげるから落ち着きなよー」……と。
KOEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE!!
こいつだけは敵の回しちゃダメだ。
さて俺だが。
どこぞのヒーローみたいに無血開城なんて当然できない。
隣国首都まで最短距離を一気に駆け抜ける。
進路にある村々を潰しながら……。
ここでさあ、物語の主人公なら一般人は殺すなとか言うんだよね?紳士的に対応して村人を味方につけたりするんだよね?
でもこれは物語じゃない。
村には隣国の兵士が潜んでるし、俺たちの首には報奨金が掛けられてるし、井戸には当然 毒が投げ込まれてる。
農具振りかざしながら、恨みも買ってないだろう見ず知らずの村人が物陰から襲ってくるんだぜ?
大切な誰かを人質に?みんなを守るため?仕方ない?
ああ、うん。仕方ないね。
誰だって自分が一番可愛いんだよ。
好きな人が酷い目に合ったら自分が辛い。
大切な人が死んだら、その人が居なくなって自分は一体どうしたらいいんだ、と自分を憐れんで泣く。
ここで情けをかけられて生き残った子供は、俺たちを殺したいくらい憎むだろう。
運良く誰かの情婦になった女は、生まれてきた子供への子守唄に俺たちへの呪詛を吐くだろう。
子供が殺されたと嘆く親は、次に生まれた子供を兵士にするだろう。
最悪だね。人間ってそんなもんだよ。
だから俺は俺のために進もうと思う。
ワンコたちには、女犯そうが金品奪おうが構わないけど、確実に全員殺せと命じた。
情けはかけるな。珍しいオモチャであろうが持って帰ってくるな、と。
結果。
ワンコたちは女にも金品にも食料にも目もくれず、速やかに村々を蹂躙した後に火を放った。
一目で恋に落ちた娘もいたかもしれない。
自分の子供と同じくらいの子供もいただろう。
それを振り切るように、全てを消し炭にした。
ああ、血塗れの道だ。
「征こう」
俺は敵国王都を剣で指し示す。
地を揺るがすような雄叫びをあげ、猟犬たちが疾る。
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