上 下
30 / 111

閑話:「私はぴゅあ♡らゔになった」1《純恋視点》*胸糞性的虐待表現があります

しおりを挟む


*胸糞性的虐待表現があります。苦手な方は回れ右。

************************************





前世の私は虐待されて育ったらしい。

『らしい』というのは、子供だった私がその虐待に気付かなかったからだ。いわゆるネグレストだった。

そして、学校で親身になってくれていた先生にイタズラされて発覚。大騒ぎになった。

淡い恋心を抱いていた先生にキスをされ、裸に剥かれて胸やらを弄られ、大きな性器をしゃぶらされ、まだ初潮もきてないあそこを指で掻き回されて悲鳴を上げて暴れた。

先生のマンションに通報を受けた警察が駆けつけた時、私は素っ裸で首を絞められて気を失っていたらしい。

連絡がつかない私の母親、私が唆したと罵る先生の親、ニヤニヤ笑う警官。……気持ち悪い…!

吐いて、倒れて。気が付いたら綺麗な女の人が側にいた。

女の人は母親の妹だった。私が自分の母親のことを『お母さん』などと呼べないのは、気持ち悪いから呼ぶなと言われていたからだ。

母親の妹 ーーー 純恋さんは ちょっと変わっているけど優しくて綺麗な人だった。

バカだね、あんな学校なんか行かなくて良いよ。私の側にいて、ごはんとか作ってくれると嬉しいな!あ、一緒にゲームとかするかい?

作家だった純恋さんは、私をそれはもう可愛がってくれた。お風呂の入り方も料理の仕方も、勉強だって教えてくれた。私が作った不恰好なおにぎりを、美味しい美味しいって食べてくれた。何が善くて何が悪いのかを教え、笑い方も泣き方も教えてくれた。

さっちゃん、私のことママって呼んでみてくれるかい?

そう言って抱きしめてくれた。

純恋さんはいわゆる腐女子で、腐は私にも伝染した。

男女の恋愛は漫画といえど怖かった。物語の中で両方が男性だったら、これは私じゃないと安心できた。

中学生になった頃。私はやっぱり学校には行けなかったけど、純恋さんが「遊んでいいわよ」って言って貸してくれたアカウントでMMORPGを始めた。

純恋さんのアカウントでインすると、そこはギルドハウスで、事前に純恋さんから連絡をもらっていたというギルドマスターが笑顔で出迎えてくれた。どうやら純恋さんは一度引退宣言をしていたが、限定課金アバターが勿体無いから姪っ子に譲った、と説明していたらしい。

私は『ぴゅあ♡らゔ』になった。

怖くて外に出れない引きこもりの私は、MMORPG『ロストワールド』を駆け回った。バーチャルリアリティの世界では私のことを誰も知らない。男の人も、女の人も怖くない。なんてステキ!

そしてひとりのプレーヤーと仲良くなる。同年代くらいの、ギルドの子だった。プレーヤー名はカズマ。

メッセンジャーのアドレスを交換し、毎晩一緒に遊んだ。豪快に敵に突っ込んでいってよく死ぬ子だったけど、たくさん遊んで、たくさんおしゃべりした。

オフ会の話が持ち上がった時、行きたくないと思いながらも何故か会いたかった。どんな子か知りたかった。

純恋さんが付いてきてくれるっていうから、オフ会に参加した。

カズマは綺麗な男の子だった。王子様系っていうの?だからかも知れない。全然気持ち悪くなかった。ギルマスはやっぱりちょっと怖かったけど。

家に帰った純恋さんは「彼ならまあ大丈夫なんじゃない?」って笑った。

そして私の腐はカズマ ーーー 一眞さんに伝染し、同人誌即売会にも一緒に行くようになった。本屋にもファミレスにも行けるようになった。

でも、外を出歩くようになって、私はいろんな男の人に絡まれるようになった。走って逃げれれば良い。でも、最悪の人に捕まったことがある。

 ーーー 先生、だった。

あの時よりヒゲもぼうぼうで髪もボサボサ。だいぶ太ってたけど、先生だった。

「皐月くん」そう呼ばれて体がこわばる。

違う違う違う。私は『ぴゅあ♡らゔ』だ。純恋だ。皐月なんていう名前じゃない。腕を掴まれて頭が真っ白になった。音が消える。

怖い、怖い、怖い怖い怖い怖い怖い!!誰か!純恋さん!一眞さん!!

……………私はいつのまにか一眞さんに抱きかかえられていた。



「……おじさん、俺の彼女にそういうのやめてくれます?」



……ウワア…。

私は恐怖も忘れて一瞬だけ先生に同情した。

一眞さんの王子様フェイスに、この辺一番の偏差値を誇る私立中学校の制服。しかも後ろに綺麗な女の子がゾロゾロ付いてきてる。

腕を掴まれていた時に私は半狂乱で叫んだらしく、すぐに警察が来た。当然パトカーにご案内だ。

警察で先生は別室に連れていかれて、私と一眞さんは話を聞かせてくれ、と女性警察官が付いた。私が男性警察官を見てまた叫びそうになったからだ。

純恋さんが迎えに来てくれて、私は家に帰れる事になった。一眞さんは『じい』とかいうおじいちゃんが迎えに来た。




「あいつ、接見禁止だったはずなのに…!」と純恋さんが唸るように呟いていた。







しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生令嬢の食いしん坊万罪!

ねこたま本店
ファンタジー
   訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。  そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。  プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。  しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。  プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。  これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。  こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。  今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。 ※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。 ※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

悪役令嬢によればこの世界は乙女ゲームの世界らしい

斯波
ファンタジー
ブラック企業を辞退した私が卒業後に手に入れたのは無職の称号だった。不服そうな親の目から逃れるべく、喫茶店でパート情報を探そうとしたが暴走トラックに轢かれて人生を終えた――かと思ったら村人達に恐れられ、軟禁されている10歳の少女に転生していた。どうやら少女の強大すぎる魔法は村人達の恐怖の対象となったらしい。村人の気持ちも分からなくはないが、二度目の人生を小屋での軟禁生活で終わらせるつもりは毛頭ないので、逃げることにした。だが私には強すぎるステータスと『ポイント交換システム』がある!拠点をテントに決め、日々魔物を狩りながら自由気ままな冒険者を続けてたのだが……。 ※1.恋愛要素を含みますが、出てくるのが遅いのでご注意ください。 ※2.『悪役令嬢に転生したので断罪エンドまでぐーたら過ごしたい 王子がスパルタとか聞いてないんですけど!?』と同じ世界観・時間軸のお話ですが、こちらだけでもお楽しみいただけます。

気づいたら隠しルートのバッドエンドだった

かぜかおる
ファンタジー
前世でハマった乙女ゲームのヒロインに転生したので、 お気に入りのサポートキャラを攻略します! ザマァされないように気をつけて気をつけて、両思いっぽくなったし ライバル令嬢かつ悪役である異母姉を断罪しようとしたけれど・・・ 本編完結済順次投稿します。 1話ごとは短め あと、番外編も投稿予定なのでまだ連載中のままにします。 ざまあはあるけど好き嫌いある結末だと思います。 タグなどもしオススメあったら教えて欲しいです_|\○_オネガイシヤァァァァァス!! 感想もくれるとうれしいな・・・|ョ・ω・`)チロッ・・・ R15保険(ちょっと汚い言葉遣い有りです)

虐殺者の称号を持つ戦士が元公爵令嬢に雇われました

オオノギ
ファンタジー
【虐殺者《スレイヤー》】の汚名を着せられた王国戦士エリクと、 【才姫《プリンセス》】と帝国内で謳われる公爵令嬢アリア。 互いに理由は違いながらも国から追われた先で出会い、 戦士エリクはアリアの護衛として雇われる事となった。 そして安寧の地を求めて二人で旅を繰り広げる。 暴走気味の前向き美少女アリアに振り回される戦士エリクと、 不器用で愚直なエリクに呆れながらも付き合う元公爵令嬢アリア。 凸凹コンビが織り成し紡ぐ異世界を巡るファンタジー作品です。

アイムキャット❕~異世界キャット驚く漫遊記~

ma-no
ファンタジー
 神様のミスで森に住む猫に転生させられた元人間。猫として第二の人生を歩むがこの世界は何かがおかしい。引っ掛かりはあるものの、猫家族と楽しく過ごしていた主人公は、ミスに気付いた神様に詫びの品を受け取る。  その品とは、全世界で使われた魔法が載っている魔法書。元人間の性からか、魔法書で変身魔法を探した主人公は、立って歩く猫へと変身する。  世界でただ一匹の歩く猫は、人間の住む街に行けば騒動勃発。  そして何故かハンターになって、王様に即位!?  この物語りは、歩く猫となった主人公がやらかしながら異世界を自由気ままに生きるドタバタコメディである。 注:イラストはイメージであって、登場猫物と異なります。   R指定は念の為です。   登場人物紹介は「11、15、19章」の手前にあります。   「小説家になろう」「カクヨム」にて、同時掲載しております。   一番最後にも登場人物紹介がありますので、途中でキャラを忘れている方はそちらをお読みください。

前代未聞のダンジョンメーカー

黛 ちまた
ファンタジー
七歳になったアシュリーが神から授けられたスキルは"テイマー"、"魔法"、"料理"、"ダンジョンメーカー"。 けれどどれも魔力が少ない為、イマイチ。 というか、"ダンジョンメーカー"って何ですか?え?亜空間を作り出せる能力?でも弱くて使えない? そんなアシュリーがかろうじて使える料理で自立しようとする、のんびりお料理話です。 小説家になろうでも掲載しております。

乙女ゲームの断罪イベントが終わった世界で転生したモブは何を思う

ひなクラゲ
ファンタジー
 ここは乙女ゲームの世界  悪役令嬢の断罪イベントも終わり、無事にエンディングを迎えたのだろう…  主人公と王子の幸せそうな笑顔で…  でも転生者であるモブは思う  きっとこのまま幸福なまま終わる筈がないと…

処理中です...