【異世界大量転生1】乙女ゲームの世界に来たようなので、MMO気分で満喫することにした

「お詫びに良いオモチャあげるから」

学園の若き御用商人アリストは、幼い頃に母親を亡くす。

彼が10歳の時に王宮の御用聞きからの帰り道、街道には居るはずのない大型魔獣によって馬車が狙われたのだ。

死者を多数出したその不幸な事故。

幼いアリストは、自分を守るように抱きしめた母親が事切れ、討伐隊が遺体を見つけるまで血と死臭の中で耐えた。

そして、その出来事がただの『事故』出ないことを突き止め…………
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うん、暗い。

えーくんには暗いアリストルートは似合わないうえに、そんな思いはさせたくない。




アリストが倒れた後は騒然とした。

未知の病ではないかと医局は大騒ぎ。研究班は大興奮。アリストの両親は真っ青涙目。

そりゃそうだ。自分たちが王宮に病を持ち込んだかもしれないのだから。

原因不明の高熱は一晩続いた後にあっさり引いたが、念のため、と一家3人で診断を受け、ついでに教会で浄化を行うことになった。

俺はその間に、アズにアリスト用の通信機を作らせ、更なるプレゼントを考える。

俺はニヤリと笑う。

ヴィオレッタのようにいつでも手元に置けるならともかく、アリストは今から父親に付いて世界中を回るのだ。



「アズ、本当に大丈夫なんだな？」

「ええ、アリスト様はアレの好みに完全に一致します。手に入れれば二度と離しませんよ」



神様ってのは強欲で執着心が強いからね！利用し甲斐があるよ！

俺はアズを伴い、アリストが隔離されている部屋に忍び込む。認識阻害空間遮断をした上で、俺への恨み言を呟き続けるアリストに謝って見せた。



「ごめんごめん！お詫びに良いオモチャあげるから、な？」



「………オモチャ？」

うむ。食いついたな。

アズは目の前に展開した魔法陣の謎空間に腕を突っ込み、『そいつ』をズルリと引きずり出した。









「目醒めよ、封じられし女神『機きと交易の守護神』」