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楽園と崩壊と

49 ぽっぷこーん美味しい!(ノア視点)

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跳ねていたトウモロコシが静かになった。……え?死んだ?トウモロコシ死んだ?

セバス父さんがニヤリと笑って鍋を火から下ろす。俺とデル姉さんはドキドキしながら見守った。……シル母さんはのほほんとお茶飲んでたけど。


「オープーン!」


パカッと開いた鍋の中には、破裂した綿の実のような何かがギッシリ詰まっていた。


「え、え……ええ…」

「えー……やだ、なにこれパパ?食べれるの?」

「あ…でも香ばしい匂いはするね」

「まあいいから食ってみろ」


デル姉さんとそうっと1個ずつ摘んで口に入れる。


「………!」

「……おいしい!」

「どうだ、『しょっぱいおやつ』だろう?」

「んんんー!!んんまぁ~!!」


デル姉さんが次々と口に入れる。お気に召したようだ。

キュッキュッってする不思議な食感でほんのりしょっぱい。おいしーい!

小皿にシル母さんの分を持っていく。シル母さんも「あらあら、まあ…」とか言いながら嬉しそうだ。


「さて、ノアのは甘いやつな」


甘いおやつ!

ワクワクしながらセバス父さんの手元を見る。お料理してるセバス父さんを見るの大好き。

さっき用意してたバターとミルクと、大量のお砂糖をどぱっと入れて火にかける。プツプツ泡立ってきたらその中にどぱーっとトウモロコシの白くなったのを……えええええええ???

混ぜて混ぜて。テーブルの上のお皿にざらーっと…。あ。甘い良い匂い。


「こらシル。冷えるまで食うな」


甘い匂いに負けて手を出しかけたシル母さんが唇を尖らせる。


「酷いです旦那様…!こんなに良い匂いなのに」

「すぐ冷える。んー……ほら」


セバス父さんが小さな欠片をふうっと息で冷ましてシル母さんの口元に持っていく。シル母さんは躊躇いもなく口に入れて咀嚼して……少女のように顔を綻ばせた。仲良しだよね。相変わらず。


「……食べていい?」

「いいぞ。もう冷えて固まっただろ」


わーい!

ドキドキしながらひとつ口に入れる。


「……んー!」


カリッとして甘くておいしーい!あれだよ。飴みたいなお菓子!噛める飴!


「ポップコーンって言うんだ。映画館の定番だ」


うん!えいがかんわかんないけど、ぽっぷこーん美味しい!


みんなでぽっぷこーんに舌鼓を打っていると、アレクたちが帰ってきた。


「おっ、良い匂いがする」

「おかえり!おかえり、アレク!」

「アハハ…!まだ風呂に入ってない。汚れてしまうぞノア」


嬉しくて飛びついた俺を、アレクは優しく受け止めてくれた。……優しい!好き!


(((バカップルめ…)))

「ん?なんか言ったかお前ら?」

「いいいいい…いーえ!!めっそうもございません!」









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