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霊峰へ
25 『俺の可愛いノアちゃん』(ノア視点)
しおりを挟む今日の旅程が終わって。食事も終わり、いつものように馬や動物、皆に浄化魔法と治癒魔法をかけていく。
……と言っても言葉を交わすだけなんだけど、それだけで清潔で元気になるらしい。謎だよね。
「セバス父さんお疲れ様でした!今日も美味しいご飯ありがとう!おやすみなさい」
ぎゅーっと抱きついておく。この大人数のご飯を一人で作ってくれるセバス父さんはすごい!えらい!ご飯美味しい!
「おやすみさん」と抱き返される。ちょっとタバコ臭い。どこにタバコ隠してるんだろう…。
シル母さんとデル姉さんにもぎゅーっ!
狼やぴょん太たちにもぎゅーっとして、馬にもぎゅーっとして、隠密護衛のみんなとアレクシス殿下の部下さんたちは……おやすみのご挨拶だけ。
一度部下さんにギュッと手を握られて、ウヒィ!ってびっくりしたら『アレクシス殿下とセバス父さんによる部下さんたちの朝まで訓練』が始まった。怖いしちょっと夜中もうるさかったから、それ以降はご挨拶の言葉だけにしてる。ちなみに俺の手をギュッとした部下さんは、なぜか勇者と呼ばれている。……勇者の子孫なの?
そして殿下。
ぎゅーっとして、最近はほっぺにチューが始まった。ふえええええ…。
今日もほっぺにチューされた。は…恥ずかしい……。
「ノア…そろそろ次の段階に進もう?」
「えっ…?つ…つぎ、ですか…?」
次ってなに!?殿下の声が甘くてドキドキしてな…なんか……顔が熱い!
「さあ、「おやすみ、アレク♡」って言いながらノアからも頬に接吻してみようか?」
「ええええ!?だっ…ダメ……!!できません!!」
「大丈夫!ほっぺだから!ちょっとだけ!先っちょだけ!!」
「やっ…ダメダメダメダメダメ!!ダメ……んっ…!」
顔中にキスの雨が降ってくる。……唇以外だけど。
「じゃあ……アレク、って…呼んで……?」
「…ひぅっ……?」
耳元で、心臓に悪いこの甘ったるい声。逃げ出したいけどガッチリホールドされてて離れられない…!!
「あ…アレク…シス……でんか……」
「アレク」
「アレク…、で、殿下……」
「アレク、だ。ね?言って、ノア(ふぅっ…)」
「…ふぁ…あ…!!」
みぎゃああああああああ!!耳!!耳に…っ!い、い、いいいいいき…っ、息があああああああ!!くすぐったいいいい!!
「……ア…アレク……さま?」
「 ア レ ク 」
「アレク…さ…さささ……さま…」
「……ノア?アレクって呼んでくれないと…」
「………と?」
「ノアのことは『俺の可愛いノアちゃん』と呼ぶことにする」
「ひぃっ!?な…なに?なんですかそれ!?」
「なにって…呼び名だぞ?ん?だが思い付きにしては中々良いな。なあ?俺の可愛いノアちゃん。うん、いい響きだ」
「や…やめてください!恥ずかしすぎる!!」
「けどなあ?俺の可愛いノアちゃんが、俺のことアレクって呼んでくれないから…」
「よ……呼びます!呼びますから!!ア………アレ…ク………で…でん……」
「今、殿下って言ったか?俺の可愛いノアちゃん?」
「いいいいいいいいってません!言ってませんアレク!」
「おお…!も…もう一回!」
「ア…アレク?」
「なんで疑問形!?ハイもう一回!」
「アレ……っく!」
「なんか違う!もう一回!」
「アレク…」
「おっ、良いぞ!続けていってみよう!」
「アレク…アレク、アレクアレクアレク!」
「よーし良いだろう!明日からは敬語も取り払っていこうな!」
「そんな…!できません!不敬です!」
「できるできる!最初から諦めるな!やればできる!」
「ヒィイイイイイイイ…!」
C「……せっかくいい感じの甘い雰囲気だったのに…最後になんで訓練っぽくなっちゃうかな殿下…」
A「殿下だからだろ?」
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