【7人の魔王5】魔王様の食卓 〜今日も嫁(おれ)の飯がマズいらしいが、愛があるなら乗り越え(あきらめ)てくれ〜

【元聖女候補視点】

『千年祭』で女神を降ろす依代として育てられたダリア ーーー 私は魔王軍の襲撃で捕虜になり、お肉になりかけたところを救われた。

そう、私は救世主に救われた！

救世主の名は『ピニャとカルヴァ』。私は前世の推しに救われたのだ！！やっててよかったオタク道！推してて良かった腹黒羊！愛でてて良かったツンデレ猫！！ピニャそっくりの美貌の魔王陛下は転移者でカルヴァ推しだった。ちゃっかりとカルヴァそっくりの嫁を捕まえてた。そのカルヴァそっくりの美少年が元故郷の王子様で、前世は『ひつじたにかなで』先生だったなんて！！ご本尊降臨！！！いや、神降臨！！

ああ…もはや自分が何言ってるかわからない…！！

お肉になるのを免れた私は、もう1人の王子様 ーーー ユウさんと一緒に子供たちの世話を任された。子供たちはユウさんにべったりなので、私は正直言って暇だ。これ幸いと日々量産されていく萌えをチラシの裏(物理)に綴った。綴りまくった。この世界に薄い本がないなら作ればいい！本にもならなくってもいい！萌え欲望を吐き出す場所が欲しい！！


その私の歪んだ欲望は、よりによって邪神様の目に留まることになる。


「………ふむ。中々愉快な物語じゃのぅ？これ、ブーテュールム。これを椿に渡して複製してもろうてくれ」

「は。かしこまりました」


子供たちの母親の1人である美魔人が私の欲望を持って消えていく。ああ～…待って！待って！それってピニャ(魔王様)とカルヴァ(ご本尊様)の成人指定よ！？最初から最後までずっこんばっこんヤッてるやつよ！？汁増量したクリスマスバージョンなんだからあああああああ！！ひいいいいいいいいいい！！


「して、そこな元聖女」

「はっ…！？はいい！！」

「気に入った。ヌシが作ったものは儂に奉納せよ。良き侵食の媒体となろう」

「………………？？？はい…」

「加護も与えてやろう。そうさのぅ…今この時より、ヌシは儂のものじゃ。『黒聖女』と名乗るがよい」

「…は、い……」


パキン！と何かが割れる音がした。








「次は儂と羊の恋物語でも創っておくれ。お前たち異世界人の願いは我らでも侮れぬ力になるでのぅ」