【7人の魔王3】ひとでなしの恋

ひとでなしと再会

馬に揺られて20日近くだろうか。ようやく城らしいものに辿り着く。おかしい。俺が飼われていた場所はこんな所だっただろうか。辛うじて『何か石造りの建築物があったんじゃなだろうか』という瓦礫の前でセルヴァンスが待っていた。

愛らしい少女のような少年(に見える)の手にしているのは幾つかの生首だ。髪を掴んでブラリとぶら下げている。セルヴァンスは紫苑の顔を見ると、パアッと顔を輝かせ、生首を放り投げて駆け寄って来た。


「紫苑様！ふああああああ！しおんさまあ！！会いたかったよう、紫苑さまあ！！」


馬上に飛び上がり、紫苑に頬を擦り寄せる。……ああ、そういえばセルヴァンスは会ったばかりの頃は自分のことを『愛人兼従者権なんとか…』とか言っていたな。嫁としては愛人くらい多目に見なくてはならんのだろう。ならんのだろうが……


「あれえ？紫苑様、良くできましたのチューはぁ？」

「もうハルがいるからダメー」

「ええ～！けちぃ！紫苑様のけちー！」

「僕も大人になったんだよ」


……えっ？大人？


反射的な突っ込みを飲み込むと、紫苑はにっこり笑った。


「だってねえ？伴侶以外にはやっちゃダメだよねえ？もし誰かが…そうだね、例えばアルがハルにキスとかしたら魂ごと粉砕する自信があるなあ」



何の自信だ！？多分アリトさんも弟にキスとか絶対しないぞ！！？？