56 / 71
ひとでなしと《世界記録》
しおりを挟む「はーい、んじゃあアル先生の《世界記録》授業はっじめるぞ~?」
セルヴァンスの快進撃が知らされる中、エルドラドではのんびりとアリトさんによる『《世界記録》講座』が開かれることになった。
一度、紫苑に《世界記録》の使い方を教えてもらったのだが、俺の頭が悪いのか紫苑が感覚的に使っているのか。いまいちよくわからなかったので使わなかったら、アリトさんが教えてくれることになった。
そういえば有人兄さんは頭が良かった。高校生の時は喧嘩ばかりの不良で、授業も出ずにガールフレンドたちの家を点々としていたくせに、全国模試ではトップクラスだったのだと前世の叔父が言っていた記憶がある。
どこから用意したのか教鞭に眼鏡、ワイシャツにネクタイ。ホワイトボードまで。本格的だ。
俺と紫苑、そして何故か元女神までが生徒として座っていた。
「えと…あの……わたくしも、その…御方様の犬になって、やっと閲覧権限が出たというかですね…」
魔王たちと邪神2柱は帰っていった。なんでもあまり強い力が集中すると磁場が狂うのだとか。
ヘスティアは濃紺色のくるぶし丈のメイド服を与えられ、全裸ではなくなった。首輪はそのままだが…。
《世界記録》の開き方、閲覧のやり方、注釈の引き出し方、検索……。果てには「ちょっとズルすりゃあ見れないとこまでこのとおり♪」と……まあそれは使うまいと決めた使い方だが。
閲覧許可があれば、ピンポイントで誰かの人生を覗き見ることもできる。
紫苑の壮絶な人生や、有人兄さんの外国での半生。そして、それに関わった1人の女。
もう ーーー 終わったことだ。
騙されていた。大切なものを、知らずに全て奪われていた。けれどもう、『瑞樹春人』の人生は終わってしまっているのだ。
「ハル、大丈夫だよ。ハルは僕が守ってあげる。だから泣かないで?ね?」
紫苑が俺の頭を抱え込む。いつのまにか頬に涙が伝っていた。
「ハルは僕が守るよ。何があっても、今度こそ僕が守ってあげる」
56
お気に入りに追加
472
あなたにおすすめの小説
オメガパンダの獣人は麒麟皇帝の運命の番
兎騎かなで
BL
パンダ族の白露は成人を迎え、生まれ育った里を出た。白露は里で唯一のオメガだ。将来は父や母のように、のんびりとした生活を営めるアルファと結ばれたいと思っていたのに、実は白露は皇帝の番だったらしい。
美味しい笹の葉を分けあって二人で食べるような、鳥を見つけて一緒に眺めて楽しむような、そんな穏やかな時を、激務に追われる皇帝と共に過ごすことはできるのか?
さらに白露には、発情期が来たことがないという悩みもあって……理想の番関係に向かって奮闘する物語。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
君のことなんてもう知らない
ぽぽ
BL
早乙女琥珀は幼馴染の佐伯慶也に毎日のように告白しては振られてしまう。
告白をOKする素振りも見せず、軽く琥珀をあしらう慶也に憤りを覚えていた。
だがある日、琥珀は記憶喪失になってしまい、慶也の記憶を失ってしまう。
今まで自分のことをあしらってきた慶也のことを忘れて、他の人と恋を始めようとするが…
「お前なんて知らないから」
社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈
めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。
しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈
記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。
しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。
異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆!
推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!
すべてはあなたを守るため
高菜あやめ
BL
【天然超絶美形な王太子×妾のフリした護衛】 Y国の次期国王セレスタン王太子殿下の妾になるため、はるばるX国からやってきたロキ。だが妾とは表向きの姿で、その正体はY国政府の依頼で派遣された『雇われ』護衛だ。戴冠式を一か月後に控え、殿下をあらゆる刺客から守りぬかなくてはならない。しかしこの任務、殿下に素性を知られないことが条件で、そのため武器も取り上げられ、丸腰で護衛をするとか無茶な注文をされる。ロキははたして殿下を守りぬけるのか……愛情深い王太子殿下とポンコツ護衛のほのぼの切ないラブコメディです
生まれ変わったら知ってるモブだった
マロン
BL
僕はとある田舎に小さな領地を持つ貧乏男爵の3男として生まれた。
貧乏だけど一応貴族で本来なら王都の学園へ進学するんだけど、とある理由で進学していない。
毎日領民のお仕事のお手伝いをして平民の困り事を聞いて回るのが僕のしごとだ。
この日も牧場のお手伝いに向かっていたんだ。
その時そばに立っていた大きな樹に雷が落ちた。ビックリして転んで頭を打った。
その瞬間に思い出したんだ。
僕の前世のことを・・・この世界は僕の奥さんが描いてたBL漫画の世界でモーブル・テスカはその中に出てきたモブだったということを。
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 独自設定、造語、出産描写あり。幕開け(前置き)長め。第21話に登場人物紹介を載せましたので、ご参考ください。
★お試し読みは、第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる