【7人の魔王3】ひとでなしの恋

ひとでなしと邪神の犬

「それはそうと『妾アタシ』？キミ、ペット飼ったんだって？」

「おやぁ？『私』には見せてなかったかねぇ？見るかい？」


何気ないような飲み会の風景だが、女性の邪神 ーーー 『アタシ』の背後に真っ黒な穴が現れる。そこから垂れた赤い縄を引っ張ると……


「…キャッ……！」


なんか増えた。


「まあコレも坊やの嫁に一目会いたいとか言ってたしねえ？」


真っ白な肌にぼろ布を纏わり付かせただけの女だった。辛うじて股間は隠せているが、剥き出しになっている豊かな乳房が揺れる。魔獣に使われるような厳つい首輪が違和感しかない。


「うっわ、けしからんオッパイ…」


空気読んでくれアリトさん！！


女の裸体を紫苑に見せるのもなあ……と、羽織っていた上着を女の肩に掛ける。俺を見上げた女の目が潤んだ。


「あっ…あ、ああ……アルトリウス、アルトリウス…！良かった………ああ……」


誰だこの女！？


「ありがとうございます……ありがとうございます御方様……この子が幸せそうにしているのならばもう…思い残す事は御座いません」

「ええ……母さん、なに、この女」


まずい、紫苑の目が笑っていない。なぜだかわからないが機嫌が悪い。


「飼ったのさ、可愛い雌犬だろう？」


犬！？どう見ても人間の女……ん？人間、か？


「……………女神、ヘスティア…？」


呆然と元王子が呟いた。



ヘスティア？知り合いか？