悪役令嬢の末路

ラプラス

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夢【5】

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 りんご飴の行列は思ったより長く、予想以上に時間を要してしまった。


 あとは…。


 アイラはさっき通った通りに気になるもの見つけて、探し歩いていた。


**************


 その頃彼は、河原に腰を下ろして、土手を流れる川を眺めていた。
 
 今日は、何故か、いろんなものがキラキラして見える。
 屋台や提灯のほんのりした灯り、みんなの楽しそうな声と対称に、密かに聞こえる川のせせらぎ、それらを照らす月明かり、全部、全部が、生き生きしていて、今まで感じなかった何かが、目の前にある。


 全部のこたえが、ここにある。
 手を伸ばせば、すぐそこに。

 手を……。




 「おっ待たせー!」

 急に目の前が暗くなったと思ったら、顔に衝撃が来た。

 「!」
 「これね、お面って言うんだって。面白いでしょう?あとね、……っはいこれ。たこ焼きだよ。たこ焼き屋のおじさんがね、すっごい男前でさー、4コもおまけでつけてくれたの!すごくない?4コだよ?いやー、いい人だったなぁ」
 「結局、買ったのはその面とたこ焼きだけか?」
 「ううん。もちろんりんご飴も買ったよ。あとね……じゃじゃーん!!」

 彼女が出したのは、同じデザインで色違いのブレスレット(2つ)だった。

 「今日のお祭りの記念にって思って買ってみたの。…どうかな?嫌だった?」
 「いや、確かにこれを見ればいつでも今日のことを思い出せそうだな」

 そう言うと、彼女はホッとしたような顔になる。

 「でしょう?…私があの別荘を…出ても、忘れないでね?私も忘れないから」
 「ああ。約束する」
 「…うん」

 そのとき、彼女が小さく叫んだ。

 「あ!ねぇ、あれ蛍よね?」

 彼女の視線の先には、小さくもはっきり見える、緑がかった黄色の光。

 「もっと近くで見て見ましょうよ」

 そう言って、彼女は立ち上がり、蛍をもっと近くで見ようと、足を進める。


 その先は……っ!

 「待てっ」

 僕が手を伸ばすのと、

 「えっ?」

 彼女が振り返ろう…としたところで、ぬかるみに足を取られ、身体が傾いたのは、同時だった。
 彼女の身体を自分の腕に絡められたところまではよかった。ところが、僕まで足を滑らして、僕と彼女は、川のすぐそばまで転げて落ちてしまった。




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