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「やぁ、エミリア。今日も素敵なドレスだね!」

翌日、ロータスは私を見つけるなり気さくに声をかけてきました。
これまで気分良くなっていたこんなセリフも今聞くと虫酸が走ります。

ダドリー家の敷地は広大で邸宅の他に食糧貯蔵庫や厩舎、いくつかの離れなどもあるようです。

昨日の逢瀬はその離れで行われていました。私に聞かれていたとも知らず。

二年前に出会ってから私たちは水曜日にお互いの家を行き来することが習慣になっていました。
この日は木曜日。
私はたまたま家の近くを通りかかったので、お顔を見ようとダドリー家に立ち寄り、敷地内を歩いていた時に離れに入っていく二人を目撃したのです。
そして、二人の会話を耳にしてしまった私は見つからないよう、その場を離れました。

「ありがとうございます。相変わらずお忙しそうですね。」

私は嫌みを込めて言ったつもりでしたが、本人は気付いていません。何食わぬ顔で余裕の笑みを浮かべています。

「いやぁ、そんなことはないよ。」

私はもう少し探りを入れてみることにしました。

「いつもお会いするのは水曜日ですが、ちょうど通りかかった時にでも、お暇でしたら立ち寄らせていただいてよろしいですか?」

「う~ん、いつ来てもらっても構わないんだけど、不在のこともあるから先に連絡してもらえたら、なるべく優先するよ。」

そんな気なんてないくせに!
ただ都合の悪い時に来てほしくないだけでしょう?

話せば話すほど苛々が募ってくる自分の気持ちが顔に出てしまいそうで、私はロータスの反対にある窓から外を眺め、ありがとうございますと一言返事をしました。

外に誰かいなくて本当に良かった。

その後、私はロータスに紅茶をご馳走になり長居もしたくなかったので、早々に帰路につきました。
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