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「って……か、か、か、海堂…せん、ぱい……」「あ?」
その人物は、この学校では有名な海堂【かいどう】先輩だった。先輩は喧嘩がめっぽう強く、今まで一度も負けたことがない。そのうえ、虫酸が走るほどの女嫌いで恋愛というものに対しては嫌悪感しか抱いておらず、彼の目に触れた恋愛ごとには必ず血生臭い噂が付き纏うらしい……。
そんな先輩を前にした俺は、咄嗟に手に持つ封筒を後ろに隠し、軽く会釈をしてその場を去ろうとした。だが、運悪く内宮が先程いた窓から顔を覗かせ声を掛けてきた。
「おーい!ラブレター見つかったかぁー?」「ラブレター……?」「あのバカッ……!!」
内宮の声を聞いた先輩はピクリと反応した。俺は慌てて内宮に『それ以上喋るなっ!』と口に人差し指を当てたり、チャックのジェスチャーを真似てみたりするも内宮は解ってないのか、また声を掛けてくる。
「はぁ?なんだよ、ラブレター見つからなかったのかー?」「だからッッ~~」「おいッ!」
先輩に声を掛けられビクリと肩が跳ねる。先輩を見やると重たい空気を背中にまとわせ、鋭い眼つきで睨みつけていた。
「せ、せ、せ、せんぱい……?」「お前、背中に隠したソレはなんだ?」「え、ええっと……」
先輩の声色から、今確実に下手な事を言えば生きては帰れない事が伺える。俺はなんとかせねばと四苦八苦しながら頭をフル回転させたが、解決策が一向に浮かばず、そうこうしているうちに内宮がまた口を開いた。
「先輩!そいつのラブレター見なかったスか?そいつのラブレターそこらに落ちたんですよ!」「ほう。そうか……」「ひいいい~~!!」
更に重たくなった空気が身体にヒシヒシと伝わり、気づけば足が笑っていた。
「いや、先輩……これはその、、、」「言い訳無用!!」
ビリビリと身体に走る先輩の声。このままでは三途の川を拝む羽目になるだろうと、今にも拳を構えて殴りかかって来そうな先輩に俺は咄嗟に口から出た出任せを告げた。
その人物は、この学校では有名な海堂【かいどう】先輩だった。先輩は喧嘩がめっぽう強く、今まで一度も負けたことがない。そのうえ、虫酸が走るほどの女嫌いで恋愛というものに対しては嫌悪感しか抱いておらず、彼の目に触れた恋愛ごとには必ず血生臭い噂が付き纏うらしい……。
そんな先輩を前にした俺は、咄嗟に手に持つ封筒を後ろに隠し、軽く会釈をしてその場を去ろうとした。だが、運悪く内宮が先程いた窓から顔を覗かせ声を掛けてきた。
「おーい!ラブレター見つかったかぁー?」「ラブレター……?」「あのバカッ……!!」
内宮の声を聞いた先輩はピクリと反応した。俺は慌てて内宮に『それ以上喋るなっ!』と口に人差し指を当てたり、チャックのジェスチャーを真似てみたりするも内宮は解ってないのか、また声を掛けてくる。
「はぁ?なんだよ、ラブレター見つからなかったのかー?」「だからッッ~~」「おいッ!」
先輩に声を掛けられビクリと肩が跳ねる。先輩を見やると重たい空気を背中にまとわせ、鋭い眼つきで睨みつけていた。
「せ、せ、せ、せんぱい……?」「お前、背中に隠したソレはなんだ?」「え、ええっと……」
先輩の声色から、今確実に下手な事を言えば生きては帰れない事が伺える。俺はなんとかせねばと四苦八苦しながら頭をフル回転させたが、解決策が一向に浮かばず、そうこうしているうちに内宮がまた口を開いた。
「先輩!そいつのラブレター見なかったスか?そいつのラブレターそこらに落ちたんですよ!」「ほう。そうか……」「ひいいい~~!!」
更に重たくなった空気が身体にヒシヒシと伝わり、気づけば足が笑っていた。
「いや、先輩……これはその、、、」「言い訳無用!!」
ビリビリと身体に走る先輩の声。このままでは三途の川を拝む羽目になるだろうと、今にも拳を構えて殴りかかって来そうな先輩に俺は咄嗟に口から出た出任せを告げた。
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