7 / 52
1.出会ってしまいました。
1-6
しおりを挟む
「……最低ですね。」
「よく言われる。」
皮肉めいた笑みを返された。
「……分かりました。いいですよ。その代わり、絶対黙っててくださいね?」
せめてもの抵抗として紅先輩を睨みつけると、やっぱり先輩は面白そうに笑いながら「分かってるよ」と言って私から離れた。
お店の閉め作業をした後。裏口から表の通りに出た私は思わず顔をしかめた。
「よ。」
まさか本当にいるとは……。
あの後紅先輩は私にバイトが終わる時間を聞いて、しばらくしてから栗生先輩と一緒に帰っていった。
噂通りの女たらしなら、私がバイトを終わるのを待つより他の可愛い女の子見つけて遊びに行くとも思ったけど。
「なに?」
「いや、変な所で律儀なんだな、と」
「なんだそれ」
そしてそのまま紅先輩が私を見下ろす。
「なんですか?」
「あ? や、さっきも思ったけどよ。随分小せぇなって。」
不愉快とばかりに先輩を思い切り睨み上げる。
「そのサイズで睨まれても怖くねぇよ。」
「貴方が高すぎるんですよ。」
「まぁな。」
母譲りの小柄な体躯なのは知ってる。自分の身長に不満を抱いたことはないけど、馬鹿にされるのは当然別だ。
「……で、どこに向かってるんですか?」
「そりゃ俺んち。」
煙草を取り出し事もなく先輩が言う。
「ホテルがよかった? 俺はどっちでもいいけど。」
「……20歳未満は煙草禁止ですよ。」
先輩の問いには答えず、私は喫煙を非難する。
「じゃー俺から取り上げてみる?」
挑発的にそう返された。私が届かないの分かってて言ってる。性格の悪い人だ。
「貴方の肺がどうなろうが私には関係ないので。」
少し甘い、煙草の匂いが鼻をくすぐる。
先輩の肺がどうなろうと関係ないけど受動喫煙は勘弁したい。
眉間にしわを寄せて少し後ろを歩く私に気づいた先輩が、風向きを考えて私の反対に移動する。
「嫌なら言えばいいのに」
「言ったところで聞いてもらえると思ってなかったので」
「ふぅん? 俺信用されてない?」
だいぶ驚いて私は紅先輩を見上げる。
「さっきから今までの言動で信用してもらえると思ってたんですか……?」
先輩はそれには特に何も言わなかった。
「よく言われる。」
皮肉めいた笑みを返された。
「……分かりました。いいですよ。その代わり、絶対黙っててくださいね?」
せめてもの抵抗として紅先輩を睨みつけると、やっぱり先輩は面白そうに笑いながら「分かってるよ」と言って私から離れた。
お店の閉め作業をした後。裏口から表の通りに出た私は思わず顔をしかめた。
「よ。」
まさか本当にいるとは……。
あの後紅先輩は私にバイトが終わる時間を聞いて、しばらくしてから栗生先輩と一緒に帰っていった。
噂通りの女たらしなら、私がバイトを終わるのを待つより他の可愛い女の子見つけて遊びに行くとも思ったけど。
「なに?」
「いや、変な所で律儀なんだな、と」
「なんだそれ」
そしてそのまま紅先輩が私を見下ろす。
「なんですか?」
「あ? や、さっきも思ったけどよ。随分小せぇなって。」
不愉快とばかりに先輩を思い切り睨み上げる。
「そのサイズで睨まれても怖くねぇよ。」
「貴方が高すぎるんですよ。」
「まぁな。」
母譲りの小柄な体躯なのは知ってる。自分の身長に不満を抱いたことはないけど、馬鹿にされるのは当然別だ。
「……で、どこに向かってるんですか?」
「そりゃ俺んち。」
煙草を取り出し事もなく先輩が言う。
「ホテルがよかった? 俺はどっちでもいいけど。」
「……20歳未満は煙草禁止ですよ。」
先輩の問いには答えず、私は喫煙を非難する。
「じゃー俺から取り上げてみる?」
挑発的にそう返された。私が届かないの分かってて言ってる。性格の悪い人だ。
「貴方の肺がどうなろうが私には関係ないので。」
少し甘い、煙草の匂いが鼻をくすぐる。
先輩の肺がどうなろうと関係ないけど受動喫煙は勘弁したい。
眉間にしわを寄せて少し後ろを歩く私に気づいた先輩が、風向きを考えて私の反対に移動する。
「嫌なら言えばいいのに」
「言ったところで聞いてもらえると思ってなかったので」
「ふぅん? 俺信用されてない?」
だいぶ驚いて私は紅先輩を見上げる。
「さっきから今までの言動で信用してもらえると思ってたんですか……?」
先輩はそれには特に何も言わなかった。
0
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
もう一度だけ。
しらす
恋愛
私の一番の願いは、貴方の幸せ。
最期に、うまく笑えたかな。
**タグご注意下さい。
***ギャグが上手く書けなくてシリアスを書きたくなったので書きました。
****ありきたりなお話です。
*****小説家になろう様にても掲載しています。
ウブな政略妻は、ケダモノ御曹司の執愛に堕とされる
Adria
恋愛
旧題:紳士だと思っていた初恋の人は私への恋心を拗らせた執着系ドSなケダモノでした
ある日、父から持ちかけられた政略結婚の相手は、学生時代からずっと好きだった初恋の人だった。
でも彼は来る縁談の全てを断っている。初恋を実らせたい私は副社長である彼の秘書として働くことを決めた。けれど、何の進展もない日々が過ぎていく。だが、ある日会社に忘れ物をして、それを取りに会社に戻ったことから私たちの関係は急速に変わっていった。
彼を知れば知るほどに、彼が私への恋心を拗らせていることを知って戸惑う反面嬉しさもあり、私への執着を隠さない彼のペースに翻弄されていく……。
皇太子夫妻の歪んだ結婚
夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。
その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。
本編完結してます。
番外編を更新中です。
貴妃エレーナ
無味無臭(不定期更新)
恋愛
「君は、私のことを恨んでいるか?」
後宮で暮らして数十年の月日が流れたある日のこと。国王ローレンスから突然そう聞かれた貴妃エレーナは戸惑ったように答えた。
「急に、どうされたのですか?」
「…分かるだろう、はぐらかさないでくれ。」
「恨んでなどいませんよ。あれは遠い昔のことですから。」
そう言われて、私は今まで蓋をしていた記憶を辿った。
どうやら彼は、若かりし頃に私とあの人の仲を引き裂いてしまったことを今も悔やんでいるらしい。
けれど、もう安心してほしい。
私は既に、今世ではあの人と縁がなかったんだと諦めている。
だから…
「陛下…!大変です、内乱が…」
え…?
ーーーーーーーーーーーーー
ここは、どこ?
さっきまで内乱が…
「エレーナ?」
陛下…?
でも若いわ。
バッと自分の顔を触る。
するとそこにはハリもあってモチモチとした、まるで若い頃の私の肌があった。
懐かしい空間と若い肌…まさか私、昔の時代に戻ったの?!
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる