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一方その頃、北の砦ではガストンが司令官室で斥候の兵士から報告を受けていた。
「お屋形様、ちょっと気になる動きが」
「どうした?」
「なにやら『西の国』が騒がしくなっています」
ここで言う『西の国』とは、北の砦が守るセントラル王国に接する隣国『ゴーウエスト』のことである。
北の砦は、その名の通りセントラル王国の北の端に位置している。そして更に北の方へ行くと魔族領に行き着き、西の方に行くと隣国『ゴーウエスト』との国境に辿り着くのだ。
つまり北の砦は、北の魔族、西の『ゴーウエスト』の両方からセントラル王国を守っているという構図になる。
ちなみにそれは、南の砦も全く同じ状況にある。南の砦の場合は南の蛮族と東の隣国『イーストウッド』の脅威から、セントラル王国を守り続けている。
「具体的には?」
「我が国との国境付近に兵が集結し始めている模様です」
「なんと...」
ガストンは絶句した。それはつまり、戦争の準備をしているということに他ならない。
「ミランダを呼べ。今すぐに」
「畏まりました」
斥候の兵士が部屋を出て行った後、ガストンは目を瞑ってこう呟いた。
「やれやれ...一難去ってまた一難か...」
◇◇◇
同時刻、南の砦ではライリーがリリアナの開けた外壁の穴を絶賛修繕中だった。
「お屋形様! 大変です!」
そこに斥候の兵士が息急き切ってやって来た。
「どうした?」
「『東の国』が動き出しました!」
「なんだと!? よりによって今か!?」
外壁には穴が開いていて、リリアナは王都に出掛けていてと、まさにこれ以上は無いような最悪なタイミングであった。
「詳しい状況を教えろ!」
「国境付近で既に小競り合いが起きております! 我が軍にも被害が出ました!」
「分かった! すぐに向かう! それとリリアナを呼び戻せ! 今すぐにだ!」
「了解です!」
もはや外壁の修繕どころではなかった。ライリーは『東の国』との国境に急いで向かった。
◇◇◇
「お嬢、お屋形様がお呼びです」
北の砦に戻って来たミランダは、また魔道士部隊の訓練を再開していた。ただし、魅了の力の影響からまだ完全には回復し切れていない者達は除いている。だから、訓練に参加しているのは全体の半分程であった。
「パパが? 一体何事?」
「実は...」
斥候の兵士からの報告を受けたミランダは、途端に顔を曇らせた。
「分かった。すぐ行くわ。シオン!」
「グオッ!」
飛竜のシオンの背に跨がりながらミランダは、
「ハァ...私にはつかの間の休息も許されないってことなのかしらね...」
ため息と共に愚痴を溢していた。
「お屋形様、ちょっと気になる動きが」
「どうした?」
「なにやら『西の国』が騒がしくなっています」
ここで言う『西の国』とは、北の砦が守るセントラル王国に接する隣国『ゴーウエスト』のことである。
北の砦は、その名の通りセントラル王国の北の端に位置している。そして更に北の方へ行くと魔族領に行き着き、西の方に行くと隣国『ゴーウエスト』との国境に辿り着くのだ。
つまり北の砦は、北の魔族、西の『ゴーウエスト』の両方からセントラル王国を守っているという構図になる。
ちなみにそれは、南の砦も全く同じ状況にある。南の砦の場合は南の蛮族と東の隣国『イーストウッド』の脅威から、セントラル王国を守り続けている。
「具体的には?」
「我が国との国境付近に兵が集結し始めている模様です」
「なんと...」
ガストンは絶句した。それはつまり、戦争の準備をしているということに他ならない。
「ミランダを呼べ。今すぐに」
「畏まりました」
斥候の兵士が部屋を出て行った後、ガストンは目を瞑ってこう呟いた。
「やれやれ...一難去ってまた一難か...」
◇◇◇
同時刻、南の砦ではライリーがリリアナの開けた外壁の穴を絶賛修繕中だった。
「お屋形様! 大変です!」
そこに斥候の兵士が息急き切ってやって来た。
「どうした?」
「『東の国』が動き出しました!」
「なんだと!? よりによって今か!?」
外壁には穴が開いていて、リリアナは王都に出掛けていてと、まさにこれ以上は無いような最悪なタイミングであった。
「詳しい状況を教えろ!」
「国境付近で既に小競り合いが起きております! 我が軍にも被害が出ました!」
「分かった! すぐに向かう! それとリリアナを呼び戻せ! 今すぐにだ!」
「了解です!」
もはや外壁の修繕どころではなかった。ライリーは『東の国』との国境に急いで向かった。
◇◇◇
「お嬢、お屋形様がお呼びです」
北の砦に戻って来たミランダは、また魔道士部隊の訓練を再開していた。ただし、魅了の力の影響からまだ完全には回復し切れていない者達は除いている。だから、訓練に参加しているのは全体の半分程であった。
「パパが? 一体何事?」
「実は...」
斥候の兵士からの報告を受けたミランダは、途端に顔を曇らせた。
「分かった。すぐ行くわ。シオン!」
「グオッ!」
飛竜のシオンの背に跨がりながらミランダは、
「ハァ...私にはつかの間の休息も許されないってことなのかしらね...」
ため息と共に愚痴を溢していた。
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