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「ほら、いつまでもバカなことホザいてないで、あんたはさっさと南の砦に帰りなさい」
そう言ってミランダは、リリアナの背中を踏み付けていた足を退けてあげた。
「そ、そんなぁ~...せ、せっかくカーミラちゃんと...」
「な・ん・か・言・っ・た・!?」
情けない声を上げるリリアナに対し、ミランダは殊更に語気を強めてそう言った。
「な、なんでもないです...」
「ところでリリアナはどうやって来たんだ? ファルファルの姿が見えないようだが?」
マリウスが辺りを見渡して首を傾げた。
「殿下、ファルファルならあそこですよ」
そう言いながらミランダは上空を指差す。そこには優雅に空の散歩を楽しんでいるジャイアントファルコン、通称ファルファルの姿があった。
「ファルファル~!」
ミランダが大声で呼び掛けると、気付いたファルファルが一目散に降下して来た。
「ファルファル、このロクデナシを南の砦まで運んでちょうだい」
ミランダの中のリリアナはどんどん評価が下がって来ている。
「クエッ!」
「そしてまたウチの方に来たいって言われても無視すること。言うことを聞かないこと。いいわね?」
「そ、そんなぁ~...」
「く、クエッ!?」
ファルファルが面食らったような表情になった。自分の主人の命令を聞くなと言われたらそうなって当然だろう。ちなみにリリアナが上げた情けない声は丸っと無視された。
「い・い・わ・ね!?」
だがリリアナの時と同じように語気を強めて言い聞かせると、
「く、クエッ!」
ファルファルは怯えたように首を縦に激しく振った。
「よろしい。ではよろしくね?」
ミランダはリリアナをファルファルの背に放り込んだ。
「あぁ、カーミラちゃーん!」
リリアナは未練がましいセリフを吐きながら、ファルファルに南の砦へと運ばれて行った。
「なぁ、ミランダ...北の砦の兵士達にメイド喫茶接近禁止令を出した方が良いかも知れないな...」
「そうですね...」
二人は飛び去って行くファルファルの姿を見詰めながらしみじみとそう呟いた。
だが...時既に遅しだった...
◇◇◇
「ちょっと!? ちょっと!? 一体どうしちゃったのよ!? あなた達!?」
次の日、魔道部隊の訓練中にそれは起こった。集中を欠いた何人かの魔道士がミランダの攻撃魔法をモロに食らってしまったのだ。
普段ならこんなことは有り得ない。実戦さながらの訓練とはいえ、あくまでも訓練であるからミランダも本気で魔法を放ったりはしない。ちゃんと魔法を防御すれば問題ないはずだった。
「お、お嬢様...も、申し訳ございません...」
ミランダは吹っ飛ばされた魔道士達の元に駆け付け、その目の奥にリリアナの時と同じような感覚を覚えて非常にイヤな予感がした。
「あなた達、もしかしてメイド喫茶に通っているんじゃないでしょうね!?」
そう言ってミランダは、リリアナの背中を踏み付けていた足を退けてあげた。
「そ、そんなぁ~...せ、せっかくカーミラちゃんと...」
「な・ん・か・言・っ・た・!?」
情けない声を上げるリリアナに対し、ミランダは殊更に語気を強めてそう言った。
「な、なんでもないです...」
「ところでリリアナはどうやって来たんだ? ファルファルの姿が見えないようだが?」
マリウスが辺りを見渡して首を傾げた。
「殿下、ファルファルならあそこですよ」
そう言いながらミランダは上空を指差す。そこには優雅に空の散歩を楽しんでいるジャイアントファルコン、通称ファルファルの姿があった。
「ファルファル~!」
ミランダが大声で呼び掛けると、気付いたファルファルが一目散に降下して来た。
「ファルファル、このロクデナシを南の砦まで運んでちょうだい」
ミランダの中のリリアナはどんどん評価が下がって来ている。
「クエッ!」
「そしてまたウチの方に来たいって言われても無視すること。言うことを聞かないこと。いいわね?」
「そ、そんなぁ~...」
「く、クエッ!?」
ファルファルが面食らったような表情になった。自分の主人の命令を聞くなと言われたらそうなって当然だろう。ちなみにリリアナが上げた情けない声は丸っと無視された。
「い・い・わ・ね!?」
だがリリアナの時と同じように語気を強めて言い聞かせると、
「く、クエッ!」
ファルファルは怯えたように首を縦に激しく振った。
「よろしい。ではよろしくね?」
ミランダはリリアナをファルファルの背に放り込んだ。
「あぁ、カーミラちゃーん!」
リリアナは未練がましいセリフを吐きながら、ファルファルに南の砦へと運ばれて行った。
「なぁ、ミランダ...北の砦の兵士達にメイド喫茶接近禁止令を出した方が良いかも知れないな...」
「そうですね...」
二人は飛び去って行くファルファルの姿を見詰めながらしみじみとそう呟いた。
だが...時既に遅しだった...
◇◇◇
「ちょっと!? ちょっと!? 一体どうしちゃったのよ!? あなた達!?」
次の日、魔道部隊の訓練中にそれは起こった。集中を欠いた何人かの魔道士がミランダの攻撃魔法をモロに食らってしまったのだ。
普段ならこんなことは有り得ない。実戦さながらの訓練とはいえ、あくまでも訓練であるからミランダも本気で魔法を放ったりはしない。ちゃんと魔法を防御すれば問題ないはずだった。
「お、お嬢様...も、申し訳ございません...」
ミランダは吹っ飛ばされた魔道士達の元に駆け付け、その目の奥にリリアナの時と同じような感覚を覚えて非常にイヤな予感がした。
「あなた達、もしかしてメイド喫茶に通っているんじゃないでしょうね!?」
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