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リリアナの話に、ミランダと後から合流したマリウスは揃って顔を顰めた。
「なるほど...それであんたは原因を探るべくメイド喫茶に潜入したと?」
ミランダは質問というより確認の意味でそう聞いた。
「そ、そうなのよ! さ、さすがはミランダね! す、鋭いわ!」
リリアナは取り繕うようにそう言った。
「お褒めに預かりどうも...そしてミイラ取りがミイラになったと?」
「そ、そうなのよ...さ、さすがは」
「えぇ、鋭いからね」
ミランダは皆まで言わせなかった。
「リリアナ、つまりこの店は二号店ってことになるのか?」
そこにマリウスが割って入った。
「は、はい...」
「なんで君が二号店まで出向く必要があったんだ? それに君が南の砦を離れることを兄上が良く許可したな?」
「そ、それは...」
リリアナが口籠もった。それでピンと来たミランダは呆れ顔で続けた。
「当ててみましょうか? あのカーミラって娘を追い掛けて来たんじゃない? 違う?」
「な、なんで分かったの!?」
「分からいでか...」
あれだけ必死になってカーミラの指名を勝ち取ろうとした姿を見れば一目瞭然だろう。
「カーミラちゃんは一号店の一番人気だったのよ...私も何度も指名したわ...それなのに...二号店の立ち上げを手伝うからって理由でこっちに来ちゃったの...だったら追い掛けるしかないじゃないのよ!」
リリアナは最後逆切れした。
「いや、意味分かんねぇし...要するにあんたはクラウド殿下が居ない隙を狙って好き勝手やってるだけじゃないのよ?」
「兄上が居ない? どうしてだ?」
リリアナより先にマリウスが反応した。
「いったん王都に戻ったそうですよ? 立太子の式典の準備があるとかで」
「あぁ、もうそんな時期なのか。それにしても、ミランダは良くそのことを知ってたな?」
「えぇ、他ならぬこのバカが私に報告してくれましたからね」
そう言ってミランダは、土下座しているリリアナを足でゲシゲシした。
「うぅぅ...」
全てを言い当てられたリリアナは観念したように呻いた。
「ちょっと待て!? じゃあ今、南の砦は指揮官不在の状態なのか!? 大丈夫か!?」
「このアホのお父上、ライリー辺境伯が怪我から復帰したらしいんで大丈夫みたいですよ?」
「え~と...つまりそれも?」
「えぇ、このカスから聞きました」
ついにミランダはリリアナの背中を踏み付け始めた。
「くっ! 口は災いの元とはこういうことか!」
踏み付けられたリリアナは、微妙にズレた表現で悔しがっていたとさ。
「なるほど...それであんたは原因を探るべくメイド喫茶に潜入したと?」
ミランダは質問というより確認の意味でそう聞いた。
「そ、そうなのよ! さ、さすがはミランダね! す、鋭いわ!」
リリアナは取り繕うようにそう言った。
「お褒めに預かりどうも...そしてミイラ取りがミイラになったと?」
「そ、そうなのよ...さ、さすがは」
「えぇ、鋭いからね」
ミランダは皆まで言わせなかった。
「リリアナ、つまりこの店は二号店ってことになるのか?」
そこにマリウスが割って入った。
「は、はい...」
「なんで君が二号店まで出向く必要があったんだ? それに君が南の砦を離れることを兄上が良く許可したな?」
「そ、それは...」
リリアナが口籠もった。それでピンと来たミランダは呆れ顔で続けた。
「当ててみましょうか? あのカーミラって娘を追い掛けて来たんじゃない? 違う?」
「な、なんで分かったの!?」
「分からいでか...」
あれだけ必死になってカーミラの指名を勝ち取ろうとした姿を見れば一目瞭然だろう。
「カーミラちゃんは一号店の一番人気だったのよ...私も何度も指名したわ...それなのに...二号店の立ち上げを手伝うからって理由でこっちに来ちゃったの...だったら追い掛けるしかないじゃないのよ!」
リリアナは最後逆切れした。
「いや、意味分かんねぇし...要するにあんたはクラウド殿下が居ない隙を狙って好き勝手やってるだけじゃないのよ?」
「兄上が居ない? どうしてだ?」
リリアナより先にマリウスが反応した。
「いったん王都に戻ったそうですよ? 立太子の式典の準備があるとかで」
「あぁ、もうそんな時期なのか。それにしても、ミランダは良くそのことを知ってたな?」
「えぇ、他ならぬこのバカが私に報告してくれましたからね」
そう言ってミランダは、土下座しているリリアナを足でゲシゲシした。
「うぅぅ...」
全てを言い当てられたリリアナは観念したように呻いた。
「ちょっと待て!? じゃあ今、南の砦は指揮官不在の状態なのか!? 大丈夫か!?」
「このアホのお父上、ライリー辺境伯が怪我から復帰したらしいんで大丈夫みたいですよ?」
「え~と...つまりそれも?」
「えぇ、このカスから聞きました」
ついにミランダはリリアナの背中を踏み付け始めた。
「くっ! 口は災いの元とはこういうことか!」
踏み付けられたリリアナは、微妙にズレた表現で悔しがっていたとさ。
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