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翌日の朝、ファルファルに乗ってガストンとアマンダが北の砦に戻って来た。
「パパ、ママ、お帰り。お疲れ様」
「あぁ、今戻った」
「ただいま~」
「それで? どうなったの?」
ミランダの問いにガストンが事の顛末を語った。
「なるほど...だから魔王の魔力が消えたのね」
「そういうことだ。これで取り敢えずは一件落着だな」
「そうね。良かったわ」
「ミランダ、シオンを貸してくれない? 魔道部隊をこっちに戻してあげないと」
「えぇ、いいわよ」
その後、ピストン輸送で南の砦から北の砦へと魔道部隊を移送し終え、ようやくミランダ達が一息吐いたところでマリウスがノロノロと起き出して来た。
「あ~...まだ体だりぃ~...」
「殿下、ただいま戻りました」
「へっ!? あ、アマンダ夫人! お、お帰りなさい! ご、ご無事でなによりです!」
まさかアマンダが帰って来ていたとは露知らず、完全に油断して頭をポリポリ掻きながらやって来たマリウスは、途端に敬礼でもせんばかりに畏まった。
そんなマリウスの豹変振りを、ミランダとガストンは冷たい目で睨み付けていた。
「殿下、また今日から一緒にトレーニング頑張りましょうね♪」
「Yes,Ma'am!」
アマンダがニッコリ微笑みながらそう言うと、マリウスも満面の笑みで返したのだが、
「ママ、病院から何度も連絡来てたわよ。いい加減そろそろ戻って来て欲しいって泣き付かれちゃったわ」
「あら? そうなの? それじゃあ仕方ないわね。殿下、残念ですが一旦お別れですね」
「そ、そんなぁ...」
マリウスがこの世の終わりみたいな顔をする。
「それじゃあ殿下、今日も私と一緒にトレーニングしましょうか」
「いやいや、ここは儂がたっぷりと扱いてやるとしよう」
ミランダとガストンの二人にとても良い笑顔で迫られたマリウスは、
「ヽ(ヽ゜ロ゜)ヒイィィィ!」
堪らず悲鳴を上げた。
マリウスの受難はまだまだこれからが本番のようである。
◇◇◇
一方その頃、魔族領の最深部にある古びた宮殿の一番奥の部屋、通称『魔王の間』ではとある異変が起こっていた。部屋の真ん中に大きな黒い卵のようなものが鎮座している。その表面の殻にあたる部分に無数の罅が入り『ピキッピキッ』という音と共に殻が粉々に砕け散った。
「フゥ...やっと私の出番か...」
そう言いながら卵の中から出て来たのは、真っ黒な長い髪に二本の長い牛のような角を生やした魔族の女だった。
「感謝するぞ! 人間ども!」
その女は妖艶な表情を浮かべながら、長い二本の牙が生えた口元を見せ付けるように嗤った。
「パパ、ママ、お帰り。お疲れ様」
「あぁ、今戻った」
「ただいま~」
「それで? どうなったの?」
ミランダの問いにガストンが事の顛末を語った。
「なるほど...だから魔王の魔力が消えたのね」
「そういうことだ。これで取り敢えずは一件落着だな」
「そうね。良かったわ」
「ミランダ、シオンを貸してくれない? 魔道部隊をこっちに戻してあげないと」
「えぇ、いいわよ」
その後、ピストン輸送で南の砦から北の砦へと魔道部隊を移送し終え、ようやくミランダ達が一息吐いたところでマリウスがノロノロと起き出して来た。
「あ~...まだ体だりぃ~...」
「殿下、ただいま戻りました」
「へっ!? あ、アマンダ夫人! お、お帰りなさい! ご、ご無事でなによりです!」
まさかアマンダが帰って来ていたとは露知らず、完全に油断して頭をポリポリ掻きながらやって来たマリウスは、途端に敬礼でもせんばかりに畏まった。
そんなマリウスの豹変振りを、ミランダとガストンは冷たい目で睨み付けていた。
「殿下、また今日から一緒にトレーニング頑張りましょうね♪」
「Yes,Ma'am!」
アマンダがニッコリ微笑みながらそう言うと、マリウスも満面の笑みで返したのだが、
「ママ、病院から何度も連絡来てたわよ。いい加減そろそろ戻って来て欲しいって泣き付かれちゃったわ」
「あら? そうなの? それじゃあ仕方ないわね。殿下、残念ですが一旦お別れですね」
「そ、そんなぁ...」
マリウスがこの世の終わりみたいな顔をする。
「それじゃあ殿下、今日も私と一緒にトレーニングしましょうか」
「いやいや、ここは儂がたっぷりと扱いてやるとしよう」
ミランダとガストンの二人にとても良い笑顔で迫られたマリウスは、
「ヽ(ヽ゜ロ゜)ヒイィィィ!」
堪らず悲鳴を上げた。
マリウスの受難はまだまだこれからが本番のようである。
◇◇◇
一方その頃、魔族領の最深部にある古びた宮殿の一番奥の部屋、通称『魔王の間』ではとある異変が起こっていた。部屋の真ん中に大きな黒い卵のようなものが鎮座している。その表面の殻にあたる部分に無数の罅が入り『ピキッピキッ』という音と共に殻が粉々に砕け散った。
「フゥ...やっと私の出番か...」
そう言いながら卵の中から出て来たのは、真っ黒な長い髪に二本の長い牛のような角を生やした魔族の女だった。
「感謝するぞ! 人間ども!」
その女は妖艶な表情を浮かべながら、長い二本の牙が生えた口元を見せ付けるように嗤った。
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