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 次の日、前の日に散々甚振ったマリウスが、使い物にならなくなるほど疲労困憊のご様子なので、仕方なくミランダは休ませてあげることにした。 

 砦に居ても暇なので、ミランダは最前線に向かうことにした。

「ガハハハッ! 良く来たな! 愛人よ!」

 魔王は相も変わらずの高テンションである。

「だから誰が誰の愛人よ!」

 煽り耐性の低いミランダのご機嫌が途端に悪くなる。そんなミランダの様子を気にも留めず、魔王は辺りをキョロキョロと見渡している。

「おい! 俺様の嫁は、リリアナはどこなんだ!?」

 どうやらリリアナの姿を探していたらしい。 

「とっくに帰りましたよ。それとリリアナはあなたの嫁ではありません」

 ミランダはそう言って蔑んだように魔王を見下ろした。

「ぬあにぃ~! 帰っただとぉ~! どこだぁ~!? どこに帰ったぁ~!?」

 すると途端に魔王が激昂し始めた。

「聞いてどうするんです?」

 ミランダはイヤな予感がした。

「迎えに行くに決まっとるだろうがぁ~!」

「あぁ、そういうことですか...残念でした。あなたには絶対に教えてなんか『あげません!』よ」

「貴様はス○ちゃんか!」

「そういったツッコミはどこで覚えるんです?」

「えぇい! 貴様じゃ話にならん! とにかくリリアナに、俺様の嫁に会わせろ~! 居場所をキリキリ吐けい!」

「吐かないって言ってるでしょ」

 ミランダは鰾膠も無い。

「き、貴様ぁ~! うん、待てよ!? そう言えば南の砦がどうのこうのとか言ってなかったか!?」

「チッ! 魔王のクセに鋭い...」

 思わずミランダは舌打ちしていた。

「南の砦か!? リリアナはそこに居るんだな!?」

「全く記憶にございません」

「それは昭和の時代に流行ったギャグじゃねぇか!」

「だからそういったツッコミをどこで覚えて来るんです?」

「もういい! 俺様は南の砦に向かう!」

「行かせませんよ」

 ミランダは最大魔法で地の果てまで魔王を吹っ飛ばした。

「リリアナ~! 待ってろよ~!」

 魔王はそんなセリフを残してすっ飛んで行った。

「フゥ...これは参ったな...」

 厄介なことになりそうだ。ミランダは頭を振った。


◇◇◇


 一方その頃、

「は、ハックショイッ!」

 南の砦ではリリアナが盛大にくしゃみしていた。

「うぅ~...誰か私の噂でもしてんのかしら...ズルズル...」

「リリアナ、どうした? 大丈夫か?」

 心配そうにクラウドが声を掛ける。

「えぇ、大丈夫です。じゃあ行きましょうか」

 今日はこれから北の砦と合同での軍事訓練を行う予定だ。リリアナは気を引き締めてファルファルに跨がった。

「発進!」

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