33 / 133
33
しおりを挟む
夕食の席はギスギスした雰囲気が漂っていた。
「はい、マリウス殿下。一杯食べないとダメですよ? 元気になりませんからね?」
「Yes,Ma'am~♪」
甲斐甲斐しくマリウスの世話を焼くアマンダに、鼻の下を伸ばしっ放しでだらしない顔を晒しているマリウス。
そんな二人の様子を、まるで親の敵でも見るような目付きでただひたすら睨み付けているガストン。食事には全く手を付けていない。
ふと隣に目を向ければ、不貞腐れた様子で爆食いしているリリアナと、そのリリアナにぶたれた頬をぷっくら腫らしてコソコソと食事を摂っているクラウド。
一体どんなカオスだこれは...ミランダは頭が痛くなって来た。
「ご馳走様...」
居た堪れなくなったのか、まず最初にクラウドが席を立った。
「料理長! 全品お代わり!」
リリアナは三回目のお代わりだ。しかもコース料理ごと。いつもなら嫌味の一つでも言う所だが、ミランダはとてもじゃないがそんな気にもならなかったので、
「お先に...」
そう言って席を立った。
◇◇◇
翌朝、どうやら夕べの爆食いのお陰かリリアナの機嫌は直ったようだ。クラウドもまだちょっとビク付いた感じが残っているが、昨日ほどではないようだ。
「リリアナ、今日は...今日こそはお互い短気を起こさないようにしましょうね...」
「そうよね...さすがにシャレになんないわよね...」
それぞれがシオンとファルファルに跨がって出発しようとした時だった。
「ほらほら~! マリウス殿下~! ファイトファイト~! 頑張って~! あと50m~!」
昨日と同じタンクトップと短パン姿のアマンダが、ピョンピョン跳び跳ねながらマリウスに声援を送っている光景が目に飛び込んで来た。
どうやら朝のジョギング中らしい。アマンダが跳び跳ねる度にボインボインと豊満なお胸が揺れ捲って目のやり場に非常に困る。
「ヒーハー...ヒーハー...」
すると荒い息を弾ませながら、ヨタヨタとマリウスが歩くようなスピードでやって来た。
「もうちょっともうちょっと~! 頑張って頑張って~!」
やがてマリウスはゴールを迎えた。アマンダの胸の中で。
「良く出来ましたね~♪ 良し良し~♪ 良い子良い子~♪」
まるで幼子をあやすようにマリウスを胸に抱き抱えたアマンダは、マリウスの頭を撫で撫でした。
「ホワワワァッ!」
途端にさっきまで死にそうだったマリウスが復活した。下半身の一部の膨らみと共に。
「元気になったみたいですね~♪ じゃあもう一周行きましょうか~♪」
「Yes,Ma'am~♪」
「はい、マリウス殿下。一杯食べないとダメですよ? 元気になりませんからね?」
「Yes,Ma'am~♪」
甲斐甲斐しくマリウスの世話を焼くアマンダに、鼻の下を伸ばしっ放しでだらしない顔を晒しているマリウス。
そんな二人の様子を、まるで親の敵でも見るような目付きでただひたすら睨み付けているガストン。食事には全く手を付けていない。
ふと隣に目を向ければ、不貞腐れた様子で爆食いしているリリアナと、そのリリアナにぶたれた頬をぷっくら腫らしてコソコソと食事を摂っているクラウド。
一体どんなカオスだこれは...ミランダは頭が痛くなって来た。
「ご馳走様...」
居た堪れなくなったのか、まず最初にクラウドが席を立った。
「料理長! 全品お代わり!」
リリアナは三回目のお代わりだ。しかもコース料理ごと。いつもなら嫌味の一つでも言う所だが、ミランダはとてもじゃないがそんな気にもならなかったので、
「お先に...」
そう言って席を立った。
◇◇◇
翌朝、どうやら夕べの爆食いのお陰かリリアナの機嫌は直ったようだ。クラウドもまだちょっとビク付いた感じが残っているが、昨日ほどではないようだ。
「リリアナ、今日は...今日こそはお互い短気を起こさないようにしましょうね...」
「そうよね...さすがにシャレになんないわよね...」
それぞれがシオンとファルファルに跨がって出発しようとした時だった。
「ほらほら~! マリウス殿下~! ファイトファイト~! 頑張って~! あと50m~!」
昨日と同じタンクトップと短パン姿のアマンダが、ピョンピョン跳び跳ねながらマリウスに声援を送っている光景が目に飛び込んで来た。
どうやら朝のジョギング中らしい。アマンダが跳び跳ねる度にボインボインと豊満なお胸が揺れ捲って目のやり場に非常に困る。
「ヒーハー...ヒーハー...」
すると荒い息を弾ませながら、ヨタヨタとマリウスが歩くようなスピードでやって来た。
「もうちょっともうちょっと~! 頑張って頑張って~!」
やがてマリウスはゴールを迎えた。アマンダの胸の中で。
「良く出来ましたね~♪ 良し良し~♪ 良い子良い子~♪」
まるで幼子をあやすようにマリウスを胸に抱き抱えたアマンダは、マリウスの頭を撫で撫でした。
「ホワワワァッ!」
途端にさっきまで死にそうだったマリウスが復活した。下半身の一部の膨らみと共に。
「元気になったみたいですね~♪ じゃあもう一周行きましょうか~♪」
「Yes,Ma'am~♪」
10
お気に入りに追加
2,332
あなたにおすすめの小説
出来損ない王女(5歳)が、問題児部隊の隊長に就任しました
瑠美るみ子
ファンタジー
魔法至上主義のグラスター王国にて。
レクティタは王族にも関わらず魔力が無かったため、実の父である国王から虐げられていた。
そんな中、彼女は国境の王国魔法軍第七特殊部隊の隊長に任命される。
そこは、実力はあるものの、異教徒や平民の魔法使いばかり集まった部隊で、最近巷で有名になっている集団であった。
王国魔法のみが正当な魔法と信じる国王は、国民から英雄視される第七部隊が目障りだった。そのため、褒美としてレクティタを隊長に就任させ、彼女を生贄に部隊を潰そうとした……のだが。
「隊長~勉強頑張っているか~?」
「ひひひ……差し入れのお菓子です」
「あ、クッキー!!」
「この時間にお菓子をあげると夕飯が入らなくなるからやめなさいといつも言っているでしょう! 隊長もこっそり食べない! せめて一枚だけにしないさい!」
第七部隊の面々は、国王の思惑とは反対に、レクティタと交流していきどんどん仲良くなっていく。
そして、レクティタ自身もまた、変人だが魔法使いのエリートである彼らに囲まれて、英才教育を受けていくうちに己の才能を開花していく。
ほのぼのとコメディ七割、戦闘とシリアス三割ぐらいの、第七部隊の日常物語。
*小説家になろう・カクヨム様にても掲載しています。
あなたが捨てた私は、もう二度と拾えませんよ?
AK
恋愛
「お前とはもうやっていけない。婚約を破棄しよう」
私の婚約者は、あっさりと私を捨てて王女殿下と結ばれる道を選んだ。
ありもしない噂を信じ込んで、私を悪女だと勘違いして突き放した。
でもいいの。それがあなたの選んだ道なら、見る目がなかった私のせい。
私が国一番の天才魔導技師でも貴女は王女殿下を望んだのだから。
だからせめて、私と復縁を望むような真似はしないでくださいね?
もしかして私ってヒロイン?ざまぁなんてごめんです
もきち
ファンタジー
私は男に肩を抱かれ、真横で婚約破棄を言い渡す瞬間に立ち会っている。
この位置って…もしかして私ってヒロインの位置じゃない?え、やだやだ。だってこの場合のヒロインって最終的にはざまぁされるんでしょうぉぉぉぉぉ
知らない間にヒロインになっていたアリアナ・カビラ
しがない男爵の末娘だったアリアナがなぜ?
もう、あなたを愛することはないでしょう
春野オカリナ
恋愛
第一章 完結番外編更新中
異母妹に嫉妬して修道院で孤独な死を迎えたベアトリーチェは、目覚めたら10才に戻っていた。過去の婚約者だったレイノルドに別れを告げ、新しい人生を歩もうとした矢先、レイノルドとフェリシア王女の身代わりに呪いを受けてしまう。呪い封じの魔術の所為で、ベアトリーチェは銀色翠眼の容姿が黒髪灰眼に変化した。しかも、回帰前の記憶も全て失くしてしまい。記憶に残っているのは数日間の出来事だけだった。
実の両親に愛されている記憶しか持たないベアトリーチェは、これから新しい思い出を作ればいいと両親に言われ、生まれ育ったアルカイドを後にする。
第二章
ベアトリーチェは15才になった。本来なら13才から通える魔法魔術学園の入学を数年遅らせる事になったのは、フロンティアの事を学ぶ必要があるからだった。
フロンティアはアルカイドとは比べ物にならないぐらい、高度な技術が発達していた。街には路面電車が走り、空にはエイが飛んでいる。そして、自動階段やエレベーター、冷蔵庫にエアコンというものまであるのだ。全て魔道具で魔石によって動いている先進技術帝国フロンティア。
護衛騎士デミオン・クレージュと共に新しい学園生活を始めるベアトリーチェ。学園で出会った新しい学友、変わった教授の授業。様々な出来事がベアトリーチェを大きく変えていく。
一方、国王の命でフロンティアの技術を学ぶためにレイノルドやジュリア、ルシーラ達も留学してきて楽しい学園生活は不穏な空気を孕みつつ進んでいく。
第二章は青春恋愛モード全開のシリアス&ラブコメディ風になる予定です。
ベアトリーチェを巡る新しい恋の予感もお楽しみに!
※印は回帰前の物語です。
今さら帰ってこいなんて言われても。~森に移住した追放聖女は快適で優雅に暮らす~
ケンノジ
ファンタジー
「もうお前は要らない女だ!」
聖女として国に奉仕し続けてきたシルヴィは、第一王子ヴィンセントに婚約破棄と国外追放を言い渡される。
その理由は、シルヴィより強い力を持つ公爵家のご令嬢が現れたからだという。
ヴィンセントは態度を一変させシルヴィを蔑んだ。
王子で婚約者だから、と態度も物言いも目に余るすべてに耐えてきたが、シルヴィは我慢の限界に達した。
「では、そう仰るならそう致しましょう」
だが、真の聖女不在の国に一大事が起きるとは誰も知るよしもなかった……。
言われた通り国外に追放されたシルヴィは、聖女の力を駆使し、
森の奥で出会った魔物や動物たちと静かで快適な移住生活を送りはじめる。
これは虐げられた聖女が移住先の森の奥で楽しく幸せな生活を送る物語。
聖女は祖国に未練を持たない。惜しいのは思い出の詰まった家だけです。
彩柚月
ファンタジー
メラニア・アシュリーは聖女。幼少期に両親に先立たれ、伯父夫婦が後見として家に住み着いている。義妹に婚約者の座を奪われ、聖女の任も譲るように迫られるが、断って国を出る。頼った神聖国でアシュリー家の秘密を知る。新たな出会いで前向きになれたので、家はあなたたちに使わせてあげます。
メラニアの価値に気づいた祖国の人達は戻ってきてほしいと懇願するが、お断りします。あ、家も返してください。
※この作品はフィクションです。作者の創造力が足りないため、現実に似た名称等出てきますが、実在の人物や団体や植物等とは関係ありません。
※実在の植物の名前が出てきますが、全く無関係です。別物です。
※しつこいですが、既視感のある設定が出てきますが、実在の全てのものとは名称以外、関連はありません。
【完結】五度の人生を不幸な出来事で幕を閉じた転生少女は、六度目の転生で幸せを掴みたい!
アノマロカリス
ファンタジー
「ノワール・エルティナス! 貴様とは婚約破棄だ!」
ノワール・エルティナス伯爵令嬢は、アクード・ベリヤル第三王子に婚約破棄を言い渡される。
理由を聞いたら、真実の相手は私では無く妹のメルティだという。
すると、アクードの背後からメルティが現れて、アクードに肩を抱かれてメルティが不敵な笑みを浮かべた。
「お姉様ったら可哀想! まぁ、お姉様より私の方が王子に相応しいという事よ!」
ノワールは、アクードの婚約者に相応しくする為に、様々な事を犠牲にして尽くしたというのに、こんな形で裏切られるとは思っていなくて、ショックで立ち崩れていた。
その時、頭の中にビジョンが浮かんできた。
最初の人生では、日本という国で淵東 黒樹(えんどう くろき)という女子高生で、ゲームやアニメ、ファンタジー小説好きなオタクだったが、学校の帰り道にトラックに刎ねられて死んだ人生。
2度目の人生は、異世界に転生して日本の知識を駆使して…魔女となって魔法や薬学を発展させたが、最後は魔女狩りによって命を落とした。
3度目の人生は、王国に使える女騎士だった。
幾度も国を救い、活躍をして行ったが…最後は王族によって魔物侵攻の盾に使われて死亡した。
4度目の人生は、聖女として国を守る為に活動したが…
魔王の供物として生贄にされて命を落とした。
5度目の人生は、城で王族に使えるメイドだった。
炊事・洗濯などを完璧にこなして様々な能力を駆使して、更には貴族の妻に抜擢されそうになったのだが…同期のメイドの嫉妬により捏造の罪をなすりつけられて処刑された。
そして6度目の現在、全ての前世での記憶が甦り…
「そうですか、では婚約破棄を快く受け入れます!」
そう言って、ノワールは城から出て行った。
5度による浮いた話もなく死んでしまった人生…
6度目には絶対に幸せになってみせる!
そう誓って、家に帰ったのだが…?
一応恋愛として話を完結する予定ですが…
作品の内容が、思いっ切りファンタジー路線に行ってしまったので、ジャンルを恋愛からファンタジーに変更します。
今回はHOTランキングは最高9位でした。
皆様、有り難う御座います!
前世の記憶さん。こんにちは。
満月
ファンタジー
断罪中に前世の記憶を思い出し主人公が、ハチャメチャな魔法とスキルを活かして、人生を全力で楽しむ話。
周りはそんな主人公をあたたかく見守り、時には被害を被り···それでも皆主人公が大好きです。
主に前半は冒険をしたり、料理を作ったりと楽しく過ごしています。時折シリアスになりますが、基本的に笑える内容になっています。
恋愛は当分先に入れる予定です。
主人公は今までの時間を取り戻すかのように人生を楽しみます!もちろんこの話はハッピーエンドです!
小説になろう様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる