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「ぶっちゃけて言うとエリザベートが孕んだのよ」

「あぁ、なるほど...まぁ時間の問題だったよな...」

「全くよ。恥知らず以外の何者でもないわ。それで取り敢えず早く式を挙げちゃおうってことで連れて行かれたって訳よ。お腹が目立つ前にね」

「なんと言うか...その...御愁傷様...」

 アランが両手を合わせた。合掌...チーン...

「同情は必要ないわよ。いくら強引に迫られたんだとは言え、最初に兄がキチンと断っていればこんなことにはならなかったんだから。要は断り切れずに流された兄にも責任があるって訳よ。結局は色香に惑わされてヤる気になっちゃったんでしょ? その段階で最早自業自得ってことよね」

「それは確かに...というか、エリザベート嬢にターゲットロックオンされた時点で既にロバート様の運命は決まっていたのかも...」

「まぁそういう見方もあるわね」

 ヘビに睨まれたカエルってことかな。

「それで式はいつ?」

「あ、いつだったかしら? 聞いてなかったわ。まぁその内に招待状が届くでしょ」

 っていうか、聞く耳持たなかったんだけどね。

「ふうん...でもそんなに後じゃないよね?」

「でしょうね」

「女の人って何ヵ月くらいでお腹が目立って来んの?」

「さぁ...人に依るんじゃない? 個人差があるって前に聞いたことがあるわ」

「そうなんだ?」

「えぇ、人に依っては全く目立ない人も居るみたいよ?」

「それって産む直前まで?」

「そうみたいね。あら? 最近あの人ちょっと太った? って言う程度に見た目がほとんど変わらない、つまりお腹があんまり出てこない人も居るらしいって小耳に挟んだことがあるわ」

「それは逆に凄いね...」

「えぇ、まるで妊娠詐欺よね」

「ブハァッ! ゲホゲホ! そ、その言い方はちょっと...」

 アランがお茶を吹き出した。汚いな。

「ともあれ、兄はもう帰って来ることはないから。私達は二人が幸せになることを遠くで見守りましょう」

「いやいや、遠くって...」

「出来れば領地に戻りたいんだけどね...そうもいかないけど...」

「だよね...」

「あ、そうだ。私、兄の結婚式の日は40度を越える熱が出て寝込む予定だから、アランもそのつもりで口裏合わせてね?」

「えぇっ!? いくらなんでもそれはマズいんじゃない!? 実の兄の結婚式なんだよ!?」

「アラン、良く聞いて? 私に兄は居ないの...だって夜空にキラキラ輝くお星様になっちゃったんだから...シクシク...」

「お嬢、メルヘンチックに言えば良いってもんじゃないからね!?」
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