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 夜も更ける頃、アランが戻って来た。

「ただいま」

「おかえり。どうだった?」

「今んとこ、特に情報らしきものは無し。ただ引き続き情報収集を依頼したから、なにかあったらすぐに連絡が入るようになってるよ」

「そう。屋敷の周りの様子はどう?」

「そっちも特に進展は無し。引き続き見張ってるよ。俺もハンスのおやっさんと交代してあげなきゃ」

「疲れてるところ悪いわね」

「大丈夫。若いから」

 仕事モードになってるからか、アランとは普通に話せている。ちょっと安心というかホッとしたというか。

 まぁそれは、ちょうどエリザベートが居ないせいもあるんだろうけどね。居たらきっとアイツはなんか茶化して来たりするだろうから。ニヤニヤ笑いながら。あぁ、思い出しただけでムカつく!

「それでね、アラン。今回の件が片付いたらちょっとお願いしたいことがあるのよ」

「なに?」

 私はウィリアムの件を説明した。

「なるほど...」

「どうかしら? ウィリアムとマックスに同行して貰える?」

「それは構わないんだけど、その間お嬢の側を離れなきゃならないのがちょっと不安だな...」

「私なら心配要らないわ。ハンスも居るし大丈夫よ。それに今回の件が片付けば、もう危ない目に遭うようなこともそうそう無いでしょうから」

「そうだといいんだけど...ここんとこ、お嬢の周りでは立て続けに色んなことが起きるてるから...」

 あぁ、確かに...なんか最近やけに多いよね...厄祓いとかした方がいいかしら...

「心配症ねぇ。大丈夫だってば」

「お嬢にそう言われてもねぇ...」

「それならアランが居ない間、私は極力外出しないようにするわ。これならどうよ?」

「ハァ...分かったよ...ウィリアムに付いて行くことにするよ...」

「悪いわね。面倒ばっかり掛けて」

「いやまぁ、元はと言えば俺がパトリックの野郎を逃がしたせいだから...」

「あれは仕方なかったでしょう?」

 あの日、念のためアランに付いて行っては貰ったけど、まさか私も本当にパトリックが逃げるなんて思ってはいなかったからね。なんとなくイヤな予感がしただけで。

「それでもだよ...せっかくお嬢が注意するようにと言ってくれたのにさ...ホント情けねぇ...」

「あんまり自分を責めないで?」

「ありがとう...それじゃハンスのおやっさんと交代するよ」

「よろしく」

 私は部屋を出て行くアランの後ろ姿を見送りながら、疲れた体をソファーに沈めた。

 そしてそのまま朝まで眠りこけてしまった。
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