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アランは私が投げ付けたクッションを今度は見事にキャッチしやがった!
「チッ!」
「お嬢、そんな舌打ちなんかしたら貴族女性の面目丸潰れだよ~?」
「うるさいっての!」
全く! 腹立たしいヤツだ!
「まぁなにはともあれ、パトリックの旦那とはすっぱり縁を切るこったね」
「分かってるわよ...それにしてもどういうつもりだったのかしら? 愛人が居ながら私に求婚するって...」
「だから言ったじゃん? ウィリアムと同じ匂いを感じるって。さすがに元娼婦を正妻には出来ないから、お嬢を正妻に迎えたその後に『実は愛人が居て子供も居るんだ』とか言うつもりだったんじゃないの? ホント女をバカにするのも程があるよね~」
「最低だわ...」
兄弟揃ってクズ野郎だな...
「しかしこれでまたお嬢の結婚相手は白紙に戻っちゃったね~」
「もういいわよ...一生独身で...」
私は半ば諦め気味にそう呟いた。
「まぁまぁ、そんな達観しないで?」
「達観したくもなるわよ...ここまで男運が悪いだなんて...もしかしたら私の前世になにかあったのかと勘繰りたくなるくらいよ...」
「お嬢の前世はきっと、絶世の美女で男を手玉に取るような悪女だったのかも知れないね~ その反動で今世では逆に男に苦労させられると」
「笑えないわね...」
本当に...
「そういえば、お嬢。クリフトファー様のこと聞いてる?」
「なにを? というか、なんでこのタイミングでクリフトファー様の話が出て来んのよ?」
私は訝しみながらそう問い返した。
「王都に居る友人から小耳に挟んだんだけどさ。クリフトファー様、家督を妹さんに譲って出奔したらしいよ?」
「えっ!? ウソッ!? マジで!?」
ビックリした私は思わず聞き返していた。
「マジっぽいよ? お嬢になんか連絡とか無かったん?」
「いいえ、エリザベートからも兄からもセバスチャンからもなにも聞いてないわ...」
「そっかぁ~ 敢えてお嬢の耳には入れなかったのかなぁ~?」
「そうかも知れないわね...どっちみち私とはもう関係の無い人だし...」
しかし、あのクリフトファー様が出奔か...なにも無ければそのまま順当に公爵家の跡取りとしてやって行けたはずなのにな...結局、クリフトファー様も他人に人生を狂わされてしまった一人だっていうことか...
何事も無かったかのように、新しい女の人を嫁に迎えて家を継ぐってことはクリフトファー様の性格上できなかったのかな...
なんていうか...切ないな...なにせ一時は婚約寸前まで行った間柄だしな...今頃どこでなにをしているのやら....
そんな風に想いを馳せていると、
「お嬢様、お客様です」
ハンスが来客を告げに来た。
「お客? 誰?」
私はお茶を飲みながら尋ねた。
「クリフトファー殿と名乗っておられます」
「ブッホウッ!」
その瞬間、盛大にお茶を吹き出したのは言うまでもない。
「チッ!」
「お嬢、そんな舌打ちなんかしたら貴族女性の面目丸潰れだよ~?」
「うるさいっての!」
全く! 腹立たしいヤツだ!
「まぁなにはともあれ、パトリックの旦那とはすっぱり縁を切るこったね」
「分かってるわよ...それにしてもどういうつもりだったのかしら? 愛人が居ながら私に求婚するって...」
「だから言ったじゃん? ウィリアムと同じ匂いを感じるって。さすがに元娼婦を正妻には出来ないから、お嬢を正妻に迎えたその後に『実は愛人が居て子供も居るんだ』とか言うつもりだったんじゃないの? ホント女をバカにするのも程があるよね~」
「最低だわ...」
兄弟揃ってクズ野郎だな...
「しかしこれでまたお嬢の結婚相手は白紙に戻っちゃったね~」
「もういいわよ...一生独身で...」
私は半ば諦め気味にそう呟いた。
「まぁまぁ、そんな達観しないで?」
「達観したくもなるわよ...ここまで男運が悪いだなんて...もしかしたら私の前世になにかあったのかと勘繰りたくなるくらいよ...」
「お嬢の前世はきっと、絶世の美女で男を手玉に取るような悪女だったのかも知れないね~ その反動で今世では逆に男に苦労させられると」
「笑えないわね...」
本当に...
「そういえば、お嬢。クリフトファー様のこと聞いてる?」
「なにを? というか、なんでこのタイミングでクリフトファー様の話が出て来んのよ?」
私は訝しみながらそう問い返した。
「王都に居る友人から小耳に挟んだんだけどさ。クリフトファー様、家督を妹さんに譲って出奔したらしいよ?」
「えっ!? ウソッ!? マジで!?」
ビックリした私は思わず聞き返していた。
「マジっぽいよ? お嬢になんか連絡とか無かったん?」
「いいえ、エリザベートからも兄からもセバスチャンからもなにも聞いてないわ...」
「そっかぁ~ 敢えてお嬢の耳には入れなかったのかなぁ~?」
「そうかも知れないわね...どっちみち私とはもう関係の無い人だし...」
しかし、あのクリフトファー様が出奔か...なにも無ければそのまま順当に公爵家の跡取りとしてやって行けたはずなのにな...結局、クリフトファー様も他人に人生を狂わされてしまった一人だっていうことか...
何事も無かったかのように、新しい女の人を嫁に迎えて家を継ぐってことはクリフトファー様の性格上できなかったのかな...
なんていうか...切ないな...なにせ一時は婚約寸前まで行った間柄だしな...今頃どこでなにをしているのやら....
そんな風に想いを馳せていると、
「お嬢様、お客様です」
ハンスが来客を告げに来た。
「お客? 誰?」
私はお茶を飲みながら尋ねた。
「クリフトファー殿と名乗っておられます」
「ブッホウッ!」
その瞬間、盛大にお茶を吹き出したのは言うまでもない。
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