39 / 276
39 (キャロライン視点3)
しおりを挟む
ギルバートは「僕に任せて」と言っていたが、本当に小説の通りに行くんだろうか?
私はまだ疑心暗鬼になっていた。
そんな時、ギルバートから連絡があった。舞踏会でパートナーを務めて欲しいと言う。
「ねぇ、ギルバート。本当に私がパートナーを務めていいの?」
「構わないよ。アンリエットは遅れて来るって言ってたし、僕一人で入場するのは寂しいからね。一緒に行ってくれると嬉しいな」
「でも...あなたの婚約者に嫉妬されるんじゃないかしら...」
「フフフッ、それが狙いだよ」
「えっ!? どういうこと!?」
「いいかい? このままじゃあの小説通りにならない。なにせキャロラインとアンリエットは今の所、全く接点が無いんだから」
「えぇ、そりゃ当然よね。面識がある訳無いんだから」
「だろ? だから今夜、君をアンリエットに紹介するっていう体で僕のパートナーに指名したってことにするんだよ。もちろん疚しいことはなにも無く、あくまでも幼馴染みという風を装ってね」
「なるほど...」
「だが嫉妬したアンリエットは、僕の話を聞こうともせず君を口汚く罵り、挙げ句の果てに君のドレスにワインをぶっかけるという暴挙に出る」
「小説の通りね。でもそんなに上手く行くかしら?」
「行かせるんだよ。アンリエットが上手く動いてくれなかったら、僕が手を滑らしたフリをしてワインをかけるからさ。君はアンリエットにやられたという演技をしてくれればいい」
「なるほど! 完璧ね! ギルバート! あなたって天才だわ!」
「いやぁ、それ程でも~♪ あぁ、キャロライン。小説の通りドレスは白い物を着て来てね? 持ってなかったら、僕が新しいドレスを買ってあげるから」
「買って頂戴!」
私は即答していた。
さすがはギルバートだわ! これならきっと上手く行く! 私の疑心暗鬼はどっかに吹っ飛んで行った。
それなのに...
◇◇◇
「ちょっとギルバート、これは一体どういうことなの!?」
「えっ!? あ、あぁ、え、エリザベート。ち、違うんだよ。じ、実は今日、アンリエットがちょっと遅れるかも知れないって言うから」
「アンリエットならあそこに居るじゃないの!?」
「えっ!? あ、アンリエット!? い、いつの間に!?」
「我が家主宰の舞踏会で私の友人を泣かすだなんて良い度胸じゃないの! あぁ、アンリエット! 可哀想に!」
なんだか雲行きが怪しいんだけど...
舞踏会参加者全員から冷たい視線を浴びた私達の方が、小説とは逆にヒロインを虐める悪役のようだった...
私はまだ疑心暗鬼になっていた。
そんな時、ギルバートから連絡があった。舞踏会でパートナーを務めて欲しいと言う。
「ねぇ、ギルバート。本当に私がパートナーを務めていいの?」
「構わないよ。アンリエットは遅れて来るって言ってたし、僕一人で入場するのは寂しいからね。一緒に行ってくれると嬉しいな」
「でも...あなたの婚約者に嫉妬されるんじゃないかしら...」
「フフフッ、それが狙いだよ」
「えっ!? どういうこと!?」
「いいかい? このままじゃあの小説通りにならない。なにせキャロラインとアンリエットは今の所、全く接点が無いんだから」
「えぇ、そりゃ当然よね。面識がある訳無いんだから」
「だろ? だから今夜、君をアンリエットに紹介するっていう体で僕のパートナーに指名したってことにするんだよ。もちろん疚しいことはなにも無く、あくまでも幼馴染みという風を装ってね」
「なるほど...」
「だが嫉妬したアンリエットは、僕の話を聞こうともせず君を口汚く罵り、挙げ句の果てに君のドレスにワインをぶっかけるという暴挙に出る」
「小説の通りね。でもそんなに上手く行くかしら?」
「行かせるんだよ。アンリエットが上手く動いてくれなかったら、僕が手を滑らしたフリをしてワインをかけるからさ。君はアンリエットにやられたという演技をしてくれればいい」
「なるほど! 完璧ね! ギルバート! あなたって天才だわ!」
「いやぁ、それ程でも~♪ あぁ、キャロライン。小説の通りドレスは白い物を着て来てね? 持ってなかったら、僕が新しいドレスを買ってあげるから」
「買って頂戴!」
私は即答していた。
さすがはギルバートだわ! これならきっと上手く行く! 私の疑心暗鬼はどっかに吹っ飛んで行った。
それなのに...
◇◇◇
「ちょっとギルバート、これは一体どういうことなの!?」
「えっ!? あ、あぁ、え、エリザベート。ち、違うんだよ。じ、実は今日、アンリエットがちょっと遅れるかも知れないって言うから」
「アンリエットならあそこに居るじゃないの!?」
「えっ!? あ、アンリエット!? い、いつの間に!?」
「我が家主宰の舞踏会で私の友人を泣かすだなんて良い度胸じゃないの! あぁ、アンリエット! 可哀想に!」
なんだか雲行きが怪しいんだけど...
舞踏会参加者全員から冷たい視線を浴びた私達の方が、小説とは逆にヒロインを虐める悪役のようだった...
23
お気に入りに追加
3,452
あなたにおすすめの小説
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。
せいめ
恋愛
メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。
頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。
ご都合主義です。誤字脱字お許しください。
姉から奪うことしかできない妹は、ザマァされました
饕餮
ファンタジー
わたくしは、オフィリア。ジョンパルト伯爵家の長女です。
わたくしには双子の妹がいるのですが、使用人を含めた全員が妹を溺愛するあまり、我儘に育ちました。
しかもわたくしと色違いのものを両親から与えられているにもかかわらず、なぜかわたくしのものを欲しがるのです。
末っ子故に甘やかされ、泣いて喚いて駄々をこね、暴れるという貴族女性としてはあるまじき行為をずっとしてきたからなのか、手に入らないものはないと考えているようです。
そんなあざといどころかあさましい性根を持つ妹ですから、いつの間にか両親も兄も、使用人たちですらも絆されてしまい、たとえ嘘であったとしても妹の言葉を鵜呑みにするようになってしまいました。
それから数年が経ち、学園に入学できる年齢になりました。が、そこで兄と妹は――
n番煎じのよくある妹が姉からものを奪うことしかしない系の話です。
全15話。
※カクヨムでも公開しています
婚約破棄?とっくにしてますけど笑
蘧饗礪
ファンタジー
ウクリナ王国の公爵令嬢アリア・ラミーリアの婚約者は、見た目完璧、中身最悪の第2王子エディヤ・ウクリナである。彼の10人目の愛人は最近男爵になったマリハス家の令嬢ディアナだ。
さて、そろそろ婚約破棄をしましょうか。
婚約破棄されたので四大精霊と国を出ます
今川幸乃
ファンタジー
公爵令嬢である私シルア・アリュシオンはアドラント王国第一王子クリストフと政略婚約していたが、私だけが精霊と会話をすることが出来るのを、あろうことか悪魔と話しているという言いがかりをつけられて婚約破棄される。
しかもクリストフはアイリスという女にデレデレしている。
王宮を追い出された私だったが、地水火風を司る四大精霊も私についてきてくれたので、精霊の力を借りた私は強力な魔法を使えるようになった。
そして隣国マナライト王国の王子アルツリヒトの招待を受けた。
一方、精霊の加護を失った王国には次々と災厄が訪れるのだった。
※「小説家になろう」「カクヨム」から転載
※3/8~ 改稿中
【完結】お前なんていらない。と言われましたので
高瀬船
恋愛
子爵令嬢であるアイーシャは、義母と義父、そして義妹によって子爵家で肩身の狭い毎日を送っていた。
辛い日々も、学園に入学するまで、婚約者のベルトルトと結婚するまで、と自分に言い聞かせていたある日。
義妹であるエリシャの部屋から楽しげに笑う自分の婚約者、ベルトルトの声が聞こえてきた。
【誤字報告を頂きありがとうございます!💦この場を借りてお礼申し上げます】
【完結】期間限定聖女ですから、婚約なんて致しません
との
恋愛
第17回恋愛大賞、12位ありがとうございました。そして、奨励賞まで⋯⋯応援してくださった方々皆様に心からの感謝を🤗
「貴様とは婚約破棄だ!」⋯⋯な〜んて、聞き飽きたぁぁ!
あちこちでよく見かける『使い古された感のある婚約破棄』騒動が、目の前ではじまったけど、勘違いも甚だしい王子に笑いが止まらない。
断罪劇? いや、珍喜劇だね。
魔力持ちが産まれなくて危機感を募らせた王国から、多くの魔法士が産まれ続ける聖王国にお願いレターが届いて⋯⋯。
留学生として王国にやって来た『婚約者候補』チームのリーダーをしているのは、私ロクサーナ・バーラム。
私はただの引率者で、本当の任務は別だからね。婚約者でも候補でもないのに、珍喜劇の中心人物になってるのは何で?
治癒魔法の使える女性を婚約者にしたい? 隣にいるレベッカはささくれを治せればラッキーな治癒魔法しか使えないけど良いのかな?
聖女に聖女見習い、魔法士に魔法士見習い。私達は国内だけでなく、魔法で外貨も稼いでいる⋯⋯国でも稼ぎ頭の集団です。
我が国で言う聖女って職種だからね、清廉潔白、献身⋯⋯いやいや、ないわ〜。だって魔物の討伐とか行くし? 殺るし?
面倒事はお断りして、さっさと帰るぞぉぉ。
訳あって、『期間限定銭ゲバ聖女⋯⋯ちょくちょく戦闘狂』やってます。いつもそばにいる子達をモフモフ出来るまで頑張りま〜す。
ーーーーーー
ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。
完結まで予約投稿済み
R15は念の為・・
大切なあのひとを失ったこと絶対許しません
にいるず
恋愛
公爵令嬢キャスリン・ダイモックは、王太子の思い人の命を脅かした罪状で、毒杯を飲んで死んだ。
はずだった。
目を開けると、いつものベッド。ここは天国?違う?
あれっ、私生きかえったの?しかも若返ってる?
でもどうしてこの世界にあの人はいないの?どうしてみんなあの人の事を覚えていないの?
私だけは、自分を犠牲にして助けてくれたあの人の事を忘れない。絶対に許すものか。こんな原因を作った人たちを。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる