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 今日、エリスとカイは農場に居た。

「フム、確かにまだ手狭ではないけど、そうなるのも時間の問題ね」

「どうする? 魔獣牧場を拡張する?」

「えぇ、そうするわ。カイ、今日は魔獣の子の捕獲じゃなく、ユリ達の手伝いをしてくれる?」

「了解」

 カイと分かれたエリスは魔獣牧場の端っこまで移動し、荒れ地を土の魔法で開墾しながら魔獣牧場を拡張させて行った。

 柵を設置し戻って来ると、ユリ達が魔獣の子の世話をしていた。

「よ~ちよち、可愛いでちゅね~♪」

「ほ~らほら、お母さんでちゅよ~♪」

「坊やは良い子だ~♪ 寝んねしな~♪」

 まるで我が子に対するようだ。エリスは苦笑しながら、

「お疲れ様。これは最近捕獲した子達?」

「えぇ、そうです! 可愛いでしょう~♪ この子達はまだ小さいから保育園で育てるんですよ~♪」

「保育園!?」

「あぁ、我々がそう呼んでるんです。ここの柵に覆われた一画を保育園って。まだ小さくて、他の少し大きく育った子供達の群れの中には入れない方が良いと判断した子達を、この柵の中でちょっと大きくなるまで育てているんですよ」

「なるほど」

「この子達が可愛いんですよ~♪ 見てるだけで癒されるんです~♪」

「そうなのね」

「仕事で疲れていても、この子達を見てると疲れが吹き飛ぶんですよ~♪」

「ふうん」

「ずっと見ていたいですね~♪」

「......」

「エリス様!? どうかしましたか!?」

 なにやら考え込んでしまったエリスを、ユリが心配そうに覗き込む。

「...ねぇ、魔獣の子といつでも触れ合えるような場所があったら、あなた達お金を払ってでも行きたいとか思う?」

「そりゃもう! 通いつめますよ!」

「お金が続く限り通い続けますよ!」

「なるほどね。良く分かったわ」


◇◇◇


「エリス、お昼も食べずにどうしたの? それなに?」

 お昼になって戻って来たカイが、なにやら絵を描いているエリスの様子が気になって尋ねた。

「動物園を作ろうかなと思って。その原案を考えてたの」

「動物園!? なんでまた急に!?」

 エリスは先程ユリ達と交わした会話を掻い摘んでカイに説明した。

「なるほど。魔獣の子に癒されると」 

「えぇ、だから比較的大人しい種類の魔獣の子と触れ合える動物園があれば、新しい観光の目玉になるかなと思って」

「温泉以外にも必要ってこと?」

「えぇ、観光の肝になるのは『ここでしか見れない。体験できない』だから、魔獣を使った動物園は十分に魅力的だと思うのよ」

「なるほどね。確かにそうかも。僕は協力するからなんでも言って?」

「ありがとう」
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