2 / 7
2
しおりを挟む
「まず一つ目、私がそちらのお嬢さんのことを、身分が低いからと言って差別したと言うのは事実無根です。私はただ『婚約者の居る男性にばかり媚を売るのはお止めなさい』と注意しただけですわ」
「注意だと!?」
「えぇ、そうです。そちらのお嬢さんはどうも婚約者の居る殿方にしか興味が湧かないようで。例えれば人のオモチャを欲しがる幼児のような感覚とでも言えばいいんでしょうか。手に入れた途端、興味を失うようですけどね」
「う、ウソです! わ、私そんなことしていません!」
ケイトが目をウルウルさせながらそう訴えた。
「ウソではありませんよ? あなたに婚約者を篭絡させられた女性陣から相談されたんですから間違いありません。そうよね?」
そう言ってカエラが周りに目を向けると、何人かの令嬢が頷きながら手を挙げた。
「そ、そんな...だ、だがなぜ彼女達がお前に相談するんだ!?」
エルムは信じられないとばかりにカエラを見やる。
「それは殿下、あなたのせいですわよ?」
「お、俺の!? な、なんで!?」
エルムは訳が分からなかった。
「殿下がそのお嬢さんとずっと一緒に居るから、本人に直接抗議したくても出来なかったんです。だから婚約者である私に相談して来たんですよ。あの女を何とかしてくれって」
「......」
心当たりが有りまくりのエルムは黙り込んでしまった。
「殿下の婚約者ということは、現時点で未来の国母に一番近いのはこの私ですから、相談されたら動かない訳にはいきません。だから注意したんです。それだけですよ?」
「そ、そうだったのか...」
「まぁその結果、面白いことが分かったんですけどね?」
「面白いこと!?」
「えぇ、相談を受けたんでちょっと調べてみて分かったんですが」
そこでいったんカエラは周りを見渡した。そして主に男性陣に向かって声を張り上げた。
「ケイト嬢と付き合ったことがあるという者は手を挙げなさい!」
そう叫んでも、男性陣の中から手を挙げる者は誰もいなかった。
「どうしました! 女性陣が勇気を出して手を挙げたっていうのに! あなた方、それでも男ですか!」
カエラは更に厳しくそう言い放った。その様は未来の国母に相応しい堂々とした姿だった。
するとおずおずと言った感じで、ようやく数人の男子生徒が手を挙げた。
「よろしい! この中でケイト嬢と肉体関係を持った者はそのまま手を挙げていなさい!」
手を下げる者は誰も居なかった。
「ウソウソウソよ~! 私そんなことしてない~!」
ケイトが喚き立てるが、その叫びは空しく響くだけだった。
「注意だと!?」
「えぇ、そうです。そちらのお嬢さんはどうも婚約者の居る殿方にしか興味が湧かないようで。例えれば人のオモチャを欲しがる幼児のような感覚とでも言えばいいんでしょうか。手に入れた途端、興味を失うようですけどね」
「う、ウソです! わ、私そんなことしていません!」
ケイトが目をウルウルさせながらそう訴えた。
「ウソではありませんよ? あなたに婚約者を篭絡させられた女性陣から相談されたんですから間違いありません。そうよね?」
そう言ってカエラが周りに目を向けると、何人かの令嬢が頷きながら手を挙げた。
「そ、そんな...だ、だがなぜ彼女達がお前に相談するんだ!?」
エルムは信じられないとばかりにカエラを見やる。
「それは殿下、あなたのせいですわよ?」
「お、俺の!? な、なんで!?」
エルムは訳が分からなかった。
「殿下がそのお嬢さんとずっと一緒に居るから、本人に直接抗議したくても出来なかったんです。だから婚約者である私に相談して来たんですよ。あの女を何とかしてくれって」
「......」
心当たりが有りまくりのエルムは黙り込んでしまった。
「殿下の婚約者ということは、現時点で未来の国母に一番近いのはこの私ですから、相談されたら動かない訳にはいきません。だから注意したんです。それだけですよ?」
「そ、そうだったのか...」
「まぁその結果、面白いことが分かったんですけどね?」
「面白いこと!?」
「えぇ、相談を受けたんでちょっと調べてみて分かったんですが」
そこでいったんカエラは周りを見渡した。そして主に男性陣に向かって声を張り上げた。
「ケイト嬢と付き合ったことがあるという者は手を挙げなさい!」
そう叫んでも、男性陣の中から手を挙げる者は誰もいなかった。
「どうしました! 女性陣が勇気を出して手を挙げたっていうのに! あなた方、それでも男ですか!」
カエラは更に厳しくそう言い放った。その様は未来の国母に相応しい堂々とした姿だった。
するとおずおずと言った感じで、ようやく数人の男子生徒が手を挙げた。
「よろしい! この中でケイト嬢と肉体関係を持った者はそのまま手を挙げていなさい!」
手を下げる者は誰も居なかった。
「ウソウソウソよ~! 私そんなことしてない~!」
ケイトが喚き立てるが、その叫びは空しく響くだけだった。
178
お気に入りに追加
2,011
あなたにおすすめの小説
婚約破棄? そもそも君は一体誰だ?
歩芽川ゆい
恋愛
「グラングスト公爵家のフェルメッツァ嬢、あなたとモルビド王子の婚約は、破棄されます!」
コンエネルジーア王国の、王城で主催のデビュタント前の令息・令嬢を集めた舞踏会。
プレデビュタント的な意味合いも持つこの舞踏会には、それぞれの両親も壁際に集まって、子供たちを見守りながら社交をしていた。そんな中で、いきなり会場のど真ん中で大きな女性の声が響き渡った。
思わず会場はシンと静まるし、生演奏を奏でていた弦楽隊も、演奏を続けていいものか迷って極小な音量での演奏になってしまった。
声の主をと見れば、ひとりの令嬢が、モルビド王子と呼ばれた令息と腕を組んで、令嬢にあるまじきことに、向かいの令嬢に指を突き付けて、口を大きく逆三角形に笑みを浮かべていた。
【完結済み】私を裏切って幼馴染と結ばれようなんて、甘いのではありませんか?
法華
恋愛
貴族令嬢のリナは、小さいころに親から言いつけられた婚約者カインから、ずっと執拗な嫌がらせを受けてきた。彼は本当は、幼馴染のナーラと結婚したかったのだ。二人の結婚が済んだ日の夜、カインはリナに失踪するよう迫り、リナも自分の人生のために了承する。しかしカインは約束を破り、姿を消したリナを嘘で徹底的に貶める。一方、リナはすべてを読んでおり......。
※完結しました!こんなに多くの方に読んでいただけるとは思っておらず、とてもうれしく思っています。また新作を準備していますので、そちらもどうぞよろしくお願いします!
【お詫び】
未完結にもかかわらず、4/23 12:10 ~ 15:40の間完結済み扱いになっていました。誠に申し訳ありません。
初めまして婚約者様
まる
恋愛
「まあ!貴方が私の婚約者でしたのね!」
緊迫する場での明るいのんびりとした声。
その言葉を聞いてある一点に非難の視線が集中する。
○○○○○○○○○○
※物語の背景はふんわりしています。スルッと読んでいただければ幸いです。
目を止めて読んで下さった方、お気に入り、しおりの登録ありがとう御座いました!少しでも楽しんで読んでいただけたなら幸いです(^人^)
【完結】婚約破棄の代償は
かずきりり
恋愛
学園の卒業パーティにて王太子に婚約破棄を告げられる侯爵令嬢のマーガレット。
王太子殿下が大事にしている男爵令嬢をいじめたという冤罪にて追放されようとするが、それだけは断固としてお断りいたします。
だって私、別の目的があって、それを餌に王太子の婚約者になっただけですから。
ーーーーーー
初投稿です。
よろしくお願いします!
※こちらの作品はカクヨムにも掲載しています
今、婚約破棄宣言した2人に聞きたいことがある!
白雪なこ
恋愛
学園の卒業と成人を祝うパーティ会場に響く、婚約破棄宣言。
婚約破棄された貴族令嬢は現れないが、代わりにパーティの主催者が、婚約破棄を宣言した貴族令息とその恋人という当事者の2名と話をし出した。
【完結】こんな所で言う事!?まぁいいですけどね。私はあなたに気持ちはありませんもの。
まりぃべる
恋愛
私はアイリーン=トゥブァルクと申します。お父様は辺境伯爵を賜っておりますわ。
私には、14歳の時に決められた、婚約者がおりますの。
お相手は、ガブリエル=ドミニク伯爵令息。彼も同じ歳ですわ。
けれど、彼に言われましたの。
「泥臭いお前とはこれ以上一緒に居たくない。婚約破棄だ!俺は、伯爵令息だぞ!ソニア男爵令嬢と結婚する!」
そうですか。男に二言はありませんね?
読んでいただけたら嬉しいです。
【完結】婚約破棄をしたいのだが婚約者が出てこない
を
恋愛
第二王子は、婚約者であるジェーン・ドゥ公爵令嬢との婚約破棄を卒業パーティーで宣言した。
彼女が行った数々の悪行も述べて。
だが、それでもジェーン・ドゥ公爵令嬢は姿を現さなかった。
一体、何故……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる