12 / 28
第12話
しおりを挟む
二週間後、一同は再び会議室に集合していた。
この間と同じようにアズミが取り仕切る。当然ながらホヘットは呼んでいない。
「皆さん、お忙しい中お集まり頂きましてありがとうございます。ではまず、経過報告から参りましょう。ナズミ!」
「は~い。結論から先に言いますと、ホヘット嬢と男爵との間に血縁関係はありません。赤の他人です」
「ご苦労様。予想通りだったわね。これで犯罪の証拠を一つ掴めたわ」
「それと身元不明で無縁墓地に埋葬されていた女性ですが、こちらは男爵との血縁関係が証明されました。やはりこちらがホヘット嬢で間違いないと思われます」
「埋葬されていたって...まさか墓を掘り起こしたの!?」
アズミが目を剥く。
「はい、それがなにか? あぁ、ちゃんと許可は取りましたよ?」
ナズミはなんでもないような顔をしてそう答える。
「そ、そう...ご苦労様...」
アズミは若干顔を引き攣らせてそう言った。
「それじゃあ次、カズミ!」
「は~い」
「えっ!?」
ハインツが思わず口を開く。
「なにか!?」
「い、いや、今日は普通なんだと思って...」
「あぁ、あのキャラは疲れるんで止めました」
カズミはサラッとぶっちゃけた。
「キャラだったんだ...」
ハインツは力無く呟いた。そんなハインツを気にせずカズミが続ける。
「今の所、目立った動きはありません。男爵家を見張らせていますが、なにせ敷地が広いので...主要な出入口は抑えていますが、どこに抜け穴があるのか分からないので、予断を許さないよう警戒は続けております」
「そう...苦労掛けるわね...引き続きよろしく頼むわ」
「了解です」
「それじゃあ次、サズミ!」
「は~い」
また普通である。ハインツはもう突っ込まないことに決めた。
「男爵家の使用人に密偵を送り込もうとしたんですが、ガードが固くて無理でした。それでもなんとか通いではありますが、庭師を送り込むことに成功しました」
「それで首尾は?」
「はい、広大な敷地内の一角に、立ち入るどころか近くに寄ることさえ許されない場所があることを突き止めました。非常に怪しいので恐らくそこになにかあると思われます」
「その場所で間違い無さそうね。後は確たる証拠が掴めれば踏み込めそうなんだけど...」
「それに関してタズミから提案があるそうです。タズミ?」
「はいっ! お姉様!」
「いやお前は変わらんのか~い!」
もう突っ込まないと決めたのに、ハインツは思わず突っ込んでしまった...
この間と同じようにアズミが取り仕切る。当然ながらホヘットは呼んでいない。
「皆さん、お忙しい中お集まり頂きましてありがとうございます。ではまず、経過報告から参りましょう。ナズミ!」
「は~い。結論から先に言いますと、ホヘット嬢と男爵との間に血縁関係はありません。赤の他人です」
「ご苦労様。予想通りだったわね。これで犯罪の証拠を一つ掴めたわ」
「それと身元不明で無縁墓地に埋葬されていた女性ですが、こちらは男爵との血縁関係が証明されました。やはりこちらがホヘット嬢で間違いないと思われます」
「埋葬されていたって...まさか墓を掘り起こしたの!?」
アズミが目を剥く。
「はい、それがなにか? あぁ、ちゃんと許可は取りましたよ?」
ナズミはなんでもないような顔をしてそう答える。
「そ、そう...ご苦労様...」
アズミは若干顔を引き攣らせてそう言った。
「それじゃあ次、カズミ!」
「は~い」
「えっ!?」
ハインツが思わず口を開く。
「なにか!?」
「い、いや、今日は普通なんだと思って...」
「あぁ、あのキャラは疲れるんで止めました」
カズミはサラッとぶっちゃけた。
「キャラだったんだ...」
ハインツは力無く呟いた。そんなハインツを気にせずカズミが続ける。
「今の所、目立った動きはありません。男爵家を見張らせていますが、なにせ敷地が広いので...主要な出入口は抑えていますが、どこに抜け穴があるのか分からないので、予断を許さないよう警戒は続けております」
「そう...苦労掛けるわね...引き続きよろしく頼むわ」
「了解です」
「それじゃあ次、サズミ!」
「は~い」
また普通である。ハインツはもう突っ込まないことに決めた。
「男爵家の使用人に密偵を送り込もうとしたんですが、ガードが固くて無理でした。それでもなんとか通いではありますが、庭師を送り込むことに成功しました」
「それで首尾は?」
「はい、広大な敷地内の一角に、立ち入るどころか近くに寄ることさえ許されない場所があることを突き止めました。非常に怪しいので恐らくそこになにかあると思われます」
「その場所で間違い無さそうね。後は確たる証拠が掴めれば踏み込めそうなんだけど...」
「それに関してタズミから提案があるそうです。タズミ?」
「はいっ! お姉様!」
「いやお前は変わらんのか~い!」
もう突っ込まないと決めたのに、ハインツは思わず突っ込んでしまった...
0
お気に入りに追加
891
あなたにおすすめの小説
6年後に戦地から帰ってきた夫が連れてきたのは妻という女だった
白雲八鈴
恋愛
私はウォルス侯爵家に15歳の時に嫁ぎ婚姻後、直ぐに夫は魔王討伐隊に出兵しました。6年後、戦地から夫が帰って来ました、妻という女を連れて。
もういいですか。私はただ好きな物を作って生きていいですか。この国になんて出ていってやる。
ただ、皆に喜ばれる物を作って生きたいと願う女性がその才能に目を付けられ周りに翻弄されていく。彼女は自由に物を作れる道を歩むことが出来るのでしょうか。
番外編
謎の少女強襲編
彼女が作り出した物は意外な形で人々を苦しめていた事を知り、彼女は再び帝国の地を踏むこととなる。
私が成した事への清算に行きましょう。
炎国への旅路編
望んでいた炎国への旅行に行く事が出来ない日々を送っていたが、色々な人々の手を借りながら炎国のにたどり着くも、そこにも帝国の影が・・・。
え?なんで私に誰も教えてくれなかったの?そこ大事ー!
*本編は完結済みです。
*誤字脱字は程々にあります。
*なろう様にも投稿させていただいております。
【完結】騎士団長の旦那様は小さくて年下な私がお好みではないようです
大森 樹
恋愛
貧乏令嬢のヴィヴィアンヌと公爵家の嫡男で騎士団長のランドルフは、お互いの親の思惑によって結婚が決まった。
「俺は子どもみたいな女は好きではない」
ヴィヴィアンヌは十八歳で、ランドルフは三十歳。
ヴィヴィアンヌは背が低く、ランドルフは背が高い。
ヴィヴィアンヌは貧乏で、ランドルフは金持ち。
何もかもが違う二人。彼の好みの女性とは真逆のヴィヴィアンヌだったが、お金の恩があるためなんとか彼の妻になろうと奮闘する。そんな中ランドルフはぶっきらぼうで冷たいが、とろこどころに優しさを見せてきて……!?
貧乏令嬢×不器用な騎士の年の差ラブストーリーです。必ずハッピーエンドにします。
婚約破棄にも寝過ごした
シアノ
恋愛
悪役令嬢なんて面倒くさい。
とにかくひたすら寝ていたい。
三度の飯より睡眠が好きな私、エルミーヌ・バタンテールはある朝不意に、この世界が前世にあったドキラブ夢なんちゃらという乙女ゲームによく似ているなーと気が付いたのだった。
そして私は、悪役令嬢と呼ばれるライバルポジションで、最終的に断罪されて塔に幽閉されて一生を送ることになるらしい。
それって──最高じゃない?
ひたすら寝て過ごすためなら努力も惜しまない!まずは寝るけど!おやすみなさい!
10/25 続きました。3はライオール視点、4はエルミーヌ視点です。
これで完結となります。ありがとうございました!
悪役令嬢が残した破滅の種
八代奏多
恋愛
妹を虐げていると噂されていた公爵令嬢のクラウディア。
そんな彼女が婚約破棄され国外追放になった。
その事実に彼女を疎ましく思っていた周囲の人々は喜んだ。
しかし、その日を境に色々なことが上手く回らなくなる。
断罪した者は次々にこう口にした。
「どうか戻ってきてください」
しかし、クラウディアは既に隣国に心地よい居場所を得ていて、戻る気は全く無かった。
何も知らずに私欲のまま断罪した者達が、破滅へと向かうお話し。
※小説家になろう様でも連載中です。
9/27 HOTランキング1位、日間小説ランキング3位に掲載されました。ありがとうございます。
王太子様には優秀な妹の方がお似合いですから、いつまでも私にこだわる必要なんてありませんよ?
木山楽斗
恋愛
公爵令嬢であるラルリアは、優秀な妹に比べて平凡な人間であった。
これといって秀でた点がない彼女は、いつも妹と比較されて、時には罵倒されていたのである。
しかしそんなラルリアはある時、王太子の婚約者に選ばれた。
それに誰よりも驚いたのは、彼女自身である。仮に公爵家と王家の婚約がなされるとしても、その対象となるのは妹だと思っていたからだ。
事実として、社交界ではその婚約は非難されていた。
妹の方を王家に嫁がせる方が有益であると、有力者達は考えていたのだ。
故にラルリアも、婚約者である王太子アドルヴに婚約を変更するように進言した。しかし彼は、頑なにラルリアとの婚約を望んでいた。どうやらこの婚約自体、彼が提案したものであるようなのだ。
【完結】わたしはお飾りの妻らしい。 〜16歳で継母になりました〜
たろ
恋愛
結婚して半年。
わたしはこの家には必要がない。
政略結婚。
愛は何処にもない。
要らないわたしを家から追い出したくて無理矢理結婚させたお義母様。
お義母様のご機嫌を悪くさせたくなくて、わたしを嫁に出したお父様。
とりあえず「嫁」という立場が欲しかった旦那様。
そうしてわたしは旦那様の「嫁」になった。
旦那様には愛する人がいる。
わたしはお飾りの妻。
せっかくのんびり暮らすのだから、好きなことだけさせてもらいますね。
〈完結〉八年間、音沙汰のなかった貴方はどちら様ですか?
詩海猫
恋愛
私の家は子爵家だった。
高位貴族ではなかったけれど、ちゃんと裕福な貴族としての暮らしは約束されていた。
泣き虫だった私に「リーアを守りたいんだ」と婚約してくれた侯爵家の彼は、私に黙って戦争に言ってしまい、いなくなった。
私も泣き虫の子爵令嬢をやめた。
八年後帰国した彼は、もういない私を探してるらしい。
*文字数的に「短編か?」という量になりましたが10万文字以下なので短編です。この後各自のアフターストーリーとか書けたら書きます。そしたら10万文字超えちゃうかもしれないけど短編です。こんなにかかると思わず、「転生王子〜」が大幅に滞ってしまいましたが、次はあちらに集中予定(あくまで予定)です、あちらもよろしくお願いします*
【完結】聖女の手を取り婚約者が消えて二年。私は別の人の妻になっていた。
文月ゆうり
恋愛
レティシアナは姫だ。
父王に一番愛される姫。
ゆえに妬まれることが多く、それを憂いた父王により早くに婚約を結ぶことになった。
優しく、頼れる婚約者はレティシアナの英雄だ。
しかし、彼は居なくなった。
聖女と呼ばれる少女と一緒に、行方を眩ませたのだ。
そして、二年後。
レティシアナは、大国の王の妻となっていた。
※主人公は、戦えるような存在ではありません。戦えて、強い主人公が好きな方には合わない可能性があります。
小説家になろうにも投稿しています。
エールありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる