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パターン4

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「オリコー! 貴様との婚約は破棄じゃあ~!」

 今日は学園の卒業式の日。

 卒業パーティーに臨む生徒達の、浮かれた気分を台無しにするような大声を上げたのは、この国の第2王子アホヤネンである。その傍らには最近アホヤネンと噂になっている、バッカーナ男爵令嬢の姿があった。

「婚約破棄ですか。それは構いませんが、理由をお聞きしても?」

 涼しい顔でそう答えたのは、アホヤネンの婚約者に当たるオリコー公爵令嬢である。

「貴様は俺様とバッカーナが仲良くしているのを見て、嫉妬に駆られてこのバッカーナを虐めたな! まず、バッカーナの教科書を全て破り捨てた! 次にバッカーナを噴水に突き落とした! 更にバッカーナを階段から突き落とした! 更に更に...」

「あぁ、もうその辺で結構です。どうせ全て冤罪ですから」

「な、なんだとぉ!? 何を根拠にそんなことを」

 いきり立つアホヤネンの言葉を遮ってオリコーが断言する。

「だって私、この学園に通ってなかったですもん。それでどうやって虐めることが出来るんですか?」

「ぬなぁっ!?」

 バッカーナが間の抜けた声を発する。

「知らなかったんですか? そもそも在学中に私の姿を学園内で見掛けたことがありますか?」

「くぎゅう!」

 またもやバッカーナが奇声を発する。

「ある訳ないですよね? だって私はずっと隣国に留学していたんですから。この学園の卒業単位は通信教育で向こうで取得したものです。隣国の方が学力のレベルが高いですから、私は三年間そこでみっちり勉強していたって訳です。ご存知なかったですか?」

「「 びでぶっ! 」」

 最後はアホヤネンとバッカーナが二人揃って仲良く玉砕した。

「大方、最近巷で流行りの小説『婚約破棄大好きです!』に影響されたんでしょうけど、そもそも婚約者である私が三年間も居なかったことに気付いていない時点で、私のことはどうでも良かったってことですよね?」

 二人はその場に崩れ落ちた。

「まぁとにもかくにも婚約破棄は承りました。それではご機嫌よう」

 オリコーは軽やかな足取りでその場を後にした。
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