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第70話 ちみっこと学園祭 その5
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今、アタシ達の目の前には愚弟が正座させられてる訳なんだが。
ここはアタシ達のクラス。アニマル喫茶の厨房だ。お化け屋敷から引っ張り出した後、ここに連行して来た。理由は王女殿下が来たがっていたからだ。その王女殿下はと言えば、
「は~い♪ ナギちゃん、あ~ん♪」
「キュイ~♪」
「可愛いですね~♪」
客寄せとして一日、アニマル喫茶のために貸し出したナギと戯れてご満悦のようだ。ダイエット中だからケーキを食べさせて欲しくないんだが、まぁ仕方ない。今日だけ大目に見よう。
「さて、何か申し開きしたいことがあるなら聞こうか」
殿下が愚弟に凄みを利かせる。愚弟はブルブルと震えている。いいザマだ。
「も、申し訳ございません...海より深く反省しております...」
「反省だけならサルでも出来る。王族を拐ったんだ。覚悟は出来てるんだろうな?」
愚弟がこの世の終わりのような顔をしてアタシを見上げて来る。助けを求めているんだろうな。仕方ない、ここは一つ姉として助け船を出してやるとするか。
「殿下、我が愚弟が仕出かしたこと、申し開きもございませんが、ここは一つ寛大なご配慮を賜りたく。せめて苦しまないよう一思いに殺っちゃって下さいませんでしょうか」
「ね、姉ちゃん、そりゃないよ~! 庇ってくれるんじゃないの~!?」
「黙れ愚弟が! いっぺん死んで来い! あと姉上と呼べと何度言ったら分かるんだ!」
「そ、そんなぁ~...」
愚弟が完全に涙目になってしまった。ザマアミロ。いい気味だ。
「ま、まあ、そこまでやらんでも。まだ子供だし、反省してるみたいだし。な?」
ちっ! 殿下の優しさに感謝しろよ、この愚弟が!
「殿下がそう仰るなら。ただし、このまま何の罰も与えないという訳にはいきません」
アタシが指をパチンと鳴らすと例の四人組が現れる。
「お前ら、やっちまいな」
「喜んで~♪」
「さあさあ弟君、お着替えしようか~♪」
「猫が良いよね?」
「犬が良いよね?」
「へっ? なになに? あ、ちょっとちょっと! た、助けて~!」
愚弟の断末魔の叫びが更衣室から響いて来た。
◇◇◇
「ほらほら、弟君、観念して出ておいで~♪」
「きゃあ、可愛い~♪」
「やっぱり猫だね~」
「犬も可愛いのに~」
更衣室から引っ張り出された愚弟は猫耳メイド姿だったとさ。
「うぅ...もうお婿に行けない...」
「ほら、にゃんやってにゃん♪」
「絶対嫌だ!」
「やれ! コロすぞ!」
この期に及んで悪足掻きする愚弟のケツを蹴り飛ばす。
「うぐっ! にゃ、にゃん」
「もっと心を込めて! 手は頭の上!」
「にゃ~ん!」
愚弟のヤケっぱちになったような鳴き声が響き渡った。
ここはアタシ達のクラス。アニマル喫茶の厨房だ。お化け屋敷から引っ張り出した後、ここに連行して来た。理由は王女殿下が来たがっていたからだ。その王女殿下はと言えば、
「は~い♪ ナギちゃん、あ~ん♪」
「キュイ~♪」
「可愛いですね~♪」
客寄せとして一日、アニマル喫茶のために貸し出したナギと戯れてご満悦のようだ。ダイエット中だからケーキを食べさせて欲しくないんだが、まぁ仕方ない。今日だけ大目に見よう。
「さて、何か申し開きしたいことがあるなら聞こうか」
殿下が愚弟に凄みを利かせる。愚弟はブルブルと震えている。いいザマだ。
「も、申し訳ございません...海より深く反省しております...」
「反省だけならサルでも出来る。王族を拐ったんだ。覚悟は出来てるんだろうな?」
愚弟がこの世の終わりのような顔をしてアタシを見上げて来る。助けを求めているんだろうな。仕方ない、ここは一つ姉として助け船を出してやるとするか。
「殿下、我が愚弟が仕出かしたこと、申し開きもございませんが、ここは一つ寛大なご配慮を賜りたく。せめて苦しまないよう一思いに殺っちゃって下さいませんでしょうか」
「ね、姉ちゃん、そりゃないよ~! 庇ってくれるんじゃないの~!?」
「黙れ愚弟が! いっぺん死んで来い! あと姉上と呼べと何度言ったら分かるんだ!」
「そ、そんなぁ~...」
愚弟が完全に涙目になってしまった。ザマアミロ。いい気味だ。
「ま、まあ、そこまでやらんでも。まだ子供だし、反省してるみたいだし。な?」
ちっ! 殿下の優しさに感謝しろよ、この愚弟が!
「殿下がそう仰るなら。ただし、このまま何の罰も与えないという訳にはいきません」
アタシが指をパチンと鳴らすと例の四人組が現れる。
「お前ら、やっちまいな」
「喜んで~♪」
「さあさあ弟君、お着替えしようか~♪」
「猫が良いよね?」
「犬が良いよね?」
「へっ? なになに? あ、ちょっとちょっと! た、助けて~!」
愚弟の断末魔の叫びが更衣室から響いて来た。
◇◇◇
「ほらほら、弟君、観念して出ておいで~♪」
「きゃあ、可愛い~♪」
「やっぱり猫だね~」
「犬も可愛いのに~」
更衣室から引っ張り出された愚弟は猫耳メイド姿だったとさ。
「うぅ...もうお婿に行けない...」
「ほら、にゃんやってにゃん♪」
「絶対嫌だ!」
「やれ! コロすぞ!」
この期に及んで悪足掻きする愚弟のケツを蹴り飛ばす。
「うぐっ! にゃ、にゃん」
「もっと心を込めて! 手は頭の上!」
「にゃ~ん!」
愚弟のヤケっぱちになったような鳴き声が響き渡った。
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