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第51話 ちみっこと水竜の卵 その7
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サクッとセイレーンを倒したアリシアが戻って来る。
すると後を追うようにして、ザハギンの群れがこっちに向かって来た。手に銛のような物を持ってる。さっきは持ってなかったから、水中じゃ使えないのかも知れない。
「キシャアッ!」
なんか怒ってる? セイレーンを倒したから? 仲間だったのかな? まぁどうでもいいけど。
『ウインドカッター』
『アイスカッター』
『ファイアボール』
うん、ザハギン程度なら初級魔法で瞬殺だね。撃ち漏らした相手はアリシアが蹴散らしてくれた。アタシの出番は無し。
おや? アリシアがなにやら手に持ってる。なんだろう?
「アリシア、それなに?」
「セイレーンが首から下げてた。ドロップアイテムかも知れないと思って持って来たんだけど」
見せて貰うと、なにやら紋章の入ったペンダントのようだ。もしかしたら、このペンダントを盗られたからザハギンは怒ったのかな? あれ? でもこの紋章は確か...
「そ、それは王家の紋章入りペンダントじゃないか!」
そうだよね。ギルドの依頼書にも同じ紋章が入ってたよね。
「殿下もお持ちで?」
「あぁ、王族にとって身分証みたいなもんだからな。肌身離さず持ち歩いてるぞ」
そう言って殿下は自分の胸元を開いた。確かに同じものだね。
「ということは、これはおバカさんのものですかね?」
「あぁ、間違いない。死んだのも間違いない」
殿下はとっても嬉しそうだ。まぁ気持ちは良く分かるけど。
「さて戻るか。依頼達成だな。遺品も見付かったし」
殿下の中では既におバカさんは故人になっているようだ。
「いえまだ、一緒に居たはずの冒険者達の行方が」
「殉職したってことでいいだろ?」
「まぁそうなんですけど...」
不毛な会話を続けている時だった。
「敵襲っ!」
エリオットが叫ぶ。その声に急いで振り返ると...えっ? 魚が空を飛んでる!? まさかトビウオ!? ここ海じゃないのに!?
「あれは『フライングキラーフィッシュ』気を付けて! 鋭く尖った口で体当たりしてくるから! 刺さると危険だ!」
シルベスターが叫ぶ。どうやらトビウオじゃなかったようだ。その魚は、細い体にヒレが進化したのか、体より大きな翼が生えている。先が細くなって鋭く尖った口は、確かに良く刺さりそうだ。まるで弓から放たれた矢のようなスピードでこっちに向かって来る。
「迎撃せよっ!」
だがレベルアップしたアタシ達の敵じゃない。それぞれが簡単に捌いていく。シャロン様なんかメイスをバットみたいに振り回して打ち返している。思わず「ホームラン!」と叫ぶところだった。ただ...
「キリがないな...」
そう、やたらと数が多い。打っても打ってもあとから湧いてくる。これは元から絶つしかないかな。と思っていたら、
「見て! あそこ! あの穴から出て来るみたい!」
アリシアの指差す方を見ると、確かに地面に開いた穴から飛び出してるようだ。アタシ達はひっきりなしに飛んで来るフライング...長いからトビウオでいい...を蹴散らしながら穴に向かう。
「で、デッカイッ!」
その穴は巨大だった。直径50mはあるんじゃないか? どうやったらこんな穴が出来るのか知らないが、トビウオはここから湧いて来る。となればやることは一つ。
「俺に任せろ。『ファイアーボム』」
殿下が呪文を唱えると、大きな火球が生まれた。それを穴に投げ入れる。数秒後、火球が爆発した。あとにはトビウオの燃えカスだけが残り、これ以上トビウオが飛んで来ることはなかった。
「終わったな。さぁ帰ろう」
殿下、そんなに帰りたいか? まぁアタシも帰りたいけど、バカはどうでもいいとして、やっぱ冒険者達の方の安否は確認しておいてあげたいよなぁ。
「ねぇ、あれ見て?」
アリシアが穴の底を指差す。青白い光が穴の底をぼんやりと照らしていた。
「あの光は?」
その問いに答えられる者は誰も居なかった。
すると後を追うようにして、ザハギンの群れがこっちに向かって来た。手に銛のような物を持ってる。さっきは持ってなかったから、水中じゃ使えないのかも知れない。
「キシャアッ!」
なんか怒ってる? セイレーンを倒したから? 仲間だったのかな? まぁどうでもいいけど。
『ウインドカッター』
『アイスカッター』
『ファイアボール』
うん、ザハギン程度なら初級魔法で瞬殺だね。撃ち漏らした相手はアリシアが蹴散らしてくれた。アタシの出番は無し。
おや? アリシアがなにやら手に持ってる。なんだろう?
「アリシア、それなに?」
「セイレーンが首から下げてた。ドロップアイテムかも知れないと思って持って来たんだけど」
見せて貰うと、なにやら紋章の入ったペンダントのようだ。もしかしたら、このペンダントを盗られたからザハギンは怒ったのかな? あれ? でもこの紋章は確か...
「そ、それは王家の紋章入りペンダントじゃないか!」
そうだよね。ギルドの依頼書にも同じ紋章が入ってたよね。
「殿下もお持ちで?」
「あぁ、王族にとって身分証みたいなもんだからな。肌身離さず持ち歩いてるぞ」
そう言って殿下は自分の胸元を開いた。確かに同じものだね。
「ということは、これはおバカさんのものですかね?」
「あぁ、間違いない。死んだのも間違いない」
殿下はとっても嬉しそうだ。まぁ気持ちは良く分かるけど。
「さて戻るか。依頼達成だな。遺品も見付かったし」
殿下の中では既におバカさんは故人になっているようだ。
「いえまだ、一緒に居たはずの冒険者達の行方が」
「殉職したってことでいいだろ?」
「まぁそうなんですけど...」
不毛な会話を続けている時だった。
「敵襲っ!」
エリオットが叫ぶ。その声に急いで振り返ると...えっ? 魚が空を飛んでる!? まさかトビウオ!? ここ海じゃないのに!?
「あれは『フライングキラーフィッシュ』気を付けて! 鋭く尖った口で体当たりしてくるから! 刺さると危険だ!」
シルベスターが叫ぶ。どうやらトビウオじゃなかったようだ。その魚は、細い体にヒレが進化したのか、体より大きな翼が生えている。先が細くなって鋭く尖った口は、確かに良く刺さりそうだ。まるで弓から放たれた矢のようなスピードでこっちに向かって来る。
「迎撃せよっ!」
だがレベルアップしたアタシ達の敵じゃない。それぞれが簡単に捌いていく。シャロン様なんかメイスをバットみたいに振り回して打ち返している。思わず「ホームラン!」と叫ぶところだった。ただ...
「キリがないな...」
そう、やたらと数が多い。打っても打ってもあとから湧いてくる。これは元から絶つしかないかな。と思っていたら、
「見て! あそこ! あの穴から出て来るみたい!」
アリシアの指差す方を見ると、確かに地面に開いた穴から飛び出してるようだ。アタシ達はひっきりなしに飛んで来るフライング...長いからトビウオでいい...を蹴散らしながら穴に向かう。
「で、デッカイッ!」
その穴は巨大だった。直径50mはあるんじゃないか? どうやったらこんな穴が出来るのか知らないが、トビウオはここから湧いて来る。となればやることは一つ。
「俺に任せろ。『ファイアーボム』」
殿下が呪文を唱えると、大きな火球が生まれた。それを穴に投げ入れる。数秒後、火球が爆発した。あとにはトビウオの燃えカスだけが残り、これ以上トビウオが飛んで来ることはなかった。
「終わったな。さぁ帰ろう」
殿下、そんなに帰りたいか? まぁアタシも帰りたいけど、バカはどうでもいいとして、やっぱ冒険者達の方の安否は確認しておいてあげたいよなぁ。
「ねぇ、あれ見て?」
アリシアが穴の底を指差す。青白い光が穴の底をぼんやりと照らしていた。
「あの光は?」
その問いに答えられる者は誰も居なかった。
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