41 / 176
第41話 ちみっこと魔法訓練 その1
しおりを挟む
冒険者達を引き連れ森を抜けた。
待ち構えていたマリーの熱烈な抱擁に窒息しそうになったアタシは、
「ま、マリー、ぐるじい...」
「ミナお嬢様~! ご無事で何よりです~!」
何度も背中をタップして離れて貰った。過保護過ぎるメイドにも困ったもんだ。
冒険者達は、保護する場合に備えて念の為用意して来た空の馬車に乗って貰う。人数が多いので護衛達の馬車の方にも乗せることにしたが、そうすると今度は護衛達の馬車が定員オーバーになってしまうので、マリーをアタシ達の馬車に乗せることにした。
という訳でアタシは今、マリーの膝の上に乗ってる訳なんだが...
「ね、ねえマリー、ずっとこのままだと重くて大変でしょう? 私、御者席に座ってもいいんだけど...」
ちっちゃいアタシなら御者のオジサンと並んで座っても窮屈じゃないだろうしね。か、悲しくないよ!? 御者席って一度座ってみたかったし。ホントだって!
「問題ありません。ミナお嬢様は羽根のように軽いです。ご主人様に快適にお過ごし頂くのがメイドの務めですので、ここは誰にも譲りません」
「そ、そう? ならいいんだけど...」
そう言われちゃしょうがない。でもなんだろう、何やら刺すような視線を全員から感じるんだけど...気のせいだよね?
「コホン、あ~ まあなんだ、まずはお疲れさん。色々あったがとにかく全員無事で何よりだ」
殿下が仕切り始めたけど、なんだか歯切れが悪いな。マリーが居るからやり辛いのかな?
「それで今後の強化プランなんだが、何か意見あるか?」
「そうですね...私としては新しい魔法が使えるようになったんで、訓練をしてみたいです」
ゴーレムを使い熟せるようになったら戦術の幅も広がるしね。
「あ、私もそれやりたい。訓練は大事だよね」
アリシアも新しい魔法を覚えたから乗って来たね。
「そうだな、じゃあ魔法の訓練を兼ねて新しい依頼を受けるとするか?」
「あ、でも殿下とシャロン様は公務があるんじゃ?」
「闇の眷族が出て来たんだ。公務よりこっちの活動を優先するよう掛け合ってみるよ。シャロンもそれでいいな?」
「えぇ、王子妃教育もちょうど一区切り付いた所だし、構わないわ」
「みんなもそれでいいか?」
「あ、ちょっといいですか? 2学期が始まると学園祭とか学校行事が多くなると思うんですが、その辺りの兼ね合いはどうしますか?」
とエリオットが言えば、
「魔法競技大会もありますね。2学期は学校行事が目白押しです」
シルベスターが続く。
「魔法競技大会? 学園祭は分かるけど、それなに?」
「魔法の属性ごとに分かれて技の優劣を競うっていう趣旨の大会なんだよ。全校生徒参加で毎年、秋に開催されるんだ」
「へぇ~ そんなのあるんだね~」
ゲームではそんなイベントなかったよなぁ~ って思ってアリシアを見ると、向こうも首を振っているからやっぱり未知のイベントなんだろう。
ちなみにこの世界の四季は前世の日本と変わらない。暦も一年が365日、時間も一日が24時間で全く同じだ。まぁ、この辺りは日本製のゲームならではの世界観ってヤツだよね。
「我々はあくまで学生だからな。学校行事は優先して参加する。その合間を縫って訓練を進めていこうと思う。学園でも放課後なら演習場の使用許可は下りるだろうしな。どうだろう?」
全員が頷いたので今後の方針が決まった。
◇◇◇
冒険者ギルドに着いたアタシ達は、早速依頼達成の報告を行った。
「冒険者達を無事に連れ帰ってくれて本当にありがとう。あなた達に頼んで正解だったわね」
ヒルダさんが嬉しそうに言う。
「あぁ、苦労した甲斐があったよ」
「ところで闇の眷族が現れたって本当なの?」
「本当だ。なんて言ったっけ?」
殿下がアタシに尋ねる。
「闇の眷族四天王の一柱アモンって言ってました」
「それを倒しちゃったの?」
「えぇ、まあ...」
「はぁ~ あなた達ってホントに凄いのねぇ...」
ヒルダさんは諦観したように呟く。
「それでだ、今回は何とか勝てたが、次どうなるか分からない。いつ闇の眷族と戦ってもいいように我々も備えておく必要がある。難易度の高い依頼を受けて出来るだけレベルを上げておきたい」
「なるほど...分かったわ。あなた達が強くなるように私も協力する」
「助かる。それと今回のように闇の眷族が絡んでいそうな依頼があったら、優先して我々を指名して欲しい」
「了解よ。依頼があり次第すぐに連絡するわね。それと今回の成功報酬は300万ペイルになるけど、前回と同じにする? それとも折半する?」
殿下がアタシを見る。判断を委ねるってことね。だったら、
「折半しましょう。これは冒険者としての活動ですから」
「ちょうど6で割り切れるわね。じゃあみんな、冒険者カードを出して頂戴」
アタシ達は報酬を受け取ってギルドを後にした。
◆◆◆
2学期が始まった。
クラスメイト達との久し振りの再会を喜んだ。それが一段落すると、先生がやって来てHRが始まる。内容は約一ヶ月後に迫った学園祭のことだ。実行委員や準備係を決めるらしい。アタシ達は『精霊の愛し子隊』としての活動がメインなので、それら面倒な役割は免除されている。
その内、クラス内でどんな出し物をするのかという話し合いがあるそうだ。定番なのは模擬店だろう。後はお化け屋敷とか。占いの館とか。地味な所ではクラス展示なんてのもあったな。
懐かしく思っていると、先生からは話し合いまでに各自意見を纏めておくようにとの指示があった。どれがいいかな~? お昼になったらみんなに聞いてみよう。
◇◇◇
「ウチのクラスでは模擬店をやろうってヤツらが多いかな?」
「えぇ、そうですわね。結構盛り上がっていましたわ。女子は執事喫茶、男子はメイド喫茶を推す声が多くてなんだか笑っちゃいました」
殿下達のクラスは模擬店かぁ~ それにしても男女共願望丸出しで確かに微笑ましいな。
「ウチのクラスの主流はその...言いたくないです...」
「お化け屋敷?」
「な、なんで分かったのさ!?」
そりゃシルベスターの様子を見てりゃ丸分かりだっての。ってか、そういうのに耐性ついたんじゃなかったんかい? お化け屋敷くらいでそんなに嫌がらんでも。
「遅くなりました。殿下、演習場の使用許可下りました」
そこへ先生に許可を貰いに行っていたエリオットが戻って来た。
「おう、ご苦労さん。早速今日の放課後から訓練開始だ。みんな、準備はいいな?」
「「「「「 応っ! 」」」」」
◇◇◇
訓練が始まった。まずアタシはアリシアを指名してペアを組む。ちなみに殿下はシルベスター、シャロン様はエリオットとペアを組んだようだ。何故かアリシアがみんなに睨まれてるんだが気のせいかな? まあいいや、さっさと始めよう。
「アリシア、ゴーレムの攻撃力を見てみたいから、戦って貰っていい?」
「了解~! いつでもどうぞ!」
アタシは6体のゴーレムを作り出し、アリシアに攻撃を仕掛ける。
「うぉっとっ! 意外に動き早いね!」
うん、アタシもゴーレムってもっとゆっくり動くもんだとばっかり思ってたよ。でも実際はアリシアを取り囲むスピードや攻撃する際のキレの良さなど、なんだか人間を相手にしてるみたいだね。
「結構硬いね! 一撃じゃ倒せない!」
それでもさすがはアリシア、あっという間にゴーレムは半分に減った。でもねぇ..
「えぇっ!? なんで復活してんの!?」
「そりゃゴーレムだもん。復活くらいするっしょ」
再びゴーレムに囲まれるアリシアちゃん。
「ち、ちなみにいつまで復活すんの!?」
「ん~? 私の魔力が切れるまで?」
「そんなのいやぁ~!」
「ホレホレ、倒さないと死ぬよ~」
「どんな虐めよこれ~!」
虐めだなんて失礼な! ちゃんとした訓練の一環じゃないか。
その後もアリシアの悲鳴と共に訓練は続くのだった。
待ち構えていたマリーの熱烈な抱擁に窒息しそうになったアタシは、
「ま、マリー、ぐるじい...」
「ミナお嬢様~! ご無事で何よりです~!」
何度も背中をタップして離れて貰った。過保護過ぎるメイドにも困ったもんだ。
冒険者達は、保護する場合に備えて念の為用意して来た空の馬車に乗って貰う。人数が多いので護衛達の馬車の方にも乗せることにしたが、そうすると今度は護衛達の馬車が定員オーバーになってしまうので、マリーをアタシ達の馬車に乗せることにした。
という訳でアタシは今、マリーの膝の上に乗ってる訳なんだが...
「ね、ねえマリー、ずっとこのままだと重くて大変でしょう? 私、御者席に座ってもいいんだけど...」
ちっちゃいアタシなら御者のオジサンと並んで座っても窮屈じゃないだろうしね。か、悲しくないよ!? 御者席って一度座ってみたかったし。ホントだって!
「問題ありません。ミナお嬢様は羽根のように軽いです。ご主人様に快適にお過ごし頂くのがメイドの務めですので、ここは誰にも譲りません」
「そ、そう? ならいいんだけど...」
そう言われちゃしょうがない。でもなんだろう、何やら刺すような視線を全員から感じるんだけど...気のせいだよね?
「コホン、あ~ まあなんだ、まずはお疲れさん。色々あったがとにかく全員無事で何よりだ」
殿下が仕切り始めたけど、なんだか歯切れが悪いな。マリーが居るからやり辛いのかな?
「それで今後の強化プランなんだが、何か意見あるか?」
「そうですね...私としては新しい魔法が使えるようになったんで、訓練をしてみたいです」
ゴーレムを使い熟せるようになったら戦術の幅も広がるしね。
「あ、私もそれやりたい。訓練は大事だよね」
アリシアも新しい魔法を覚えたから乗って来たね。
「そうだな、じゃあ魔法の訓練を兼ねて新しい依頼を受けるとするか?」
「あ、でも殿下とシャロン様は公務があるんじゃ?」
「闇の眷族が出て来たんだ。公務よりこっちの活動を優先するよう掛け合ってみるよ。シャロンもそれでいいな?」
「えぇ、王子妃教育もちょうど一区切り付いた所だし、構わないわ」
「みんなもそれでいいか?」
「あ、ちょっといいですか? 2学期が始まると学園祭とか学校行事が多くなると思うんですが、その辺りの兼ね合いはどうしますか?」
とエリオットが言えば、
「魔法競技大会もありますね。2学期は学校行事が目白押しです」
シルベスターが続く。
「魔法競技大会? 学園祭は分かるけど、それなに?」
「魔法の属性ごとに分かれて技の優劣を競うっていう趣旨の大会なんだよ。全校生徒参加で毎年、秋に開催されるんだ」
「へぇ~ そんなのあるんだね~」
ゲームではそんなイベントなかったよなぁ~ って思ってアリシアを見ると、向こうも首を振っているからやっぱり未知のイベントなんだろう。
ちなみにこの世界の四季は前世の日本と変わらない。暦も一年が365日、時間も一日が24時間で全く同じだ。まぁ、この辺りは日本製のゲームならではの世界観ってヤツだよね。
「我々はあくまで学生だからな。学校行事は優先して参加する。その合間を縫って訓練を進めていこうと思う。学園でも放課後なら演習場の使用許可は下りるだろうしな。どうだろう?」
全員が頷いたので今後の方針が決まった。
◇◇◇
冒険者ギルドに着いたアタシ達は、早速依頼達成の報告を行った。
「冒険者達を無事に連れ帰ってくれて本当にありがとう。あなた達に頼んで正解だったわね」
ヒルダさんが嬉しそうに言う。
「あぁ、苦労した甲斐があったよ」
「ところで闇の眷族が現れたって本当なの?」
「本当だ。なんて言ったっけ?」
殿下がアタシに尋ねる。
「闇の眷族四天王の一柱アモンって言ってました」
「それを倒しちゃったの?」
「えぇ、まあ...」
「はぁ~ あなた達ってホントに凄いのねぇ...」
ヒルダさんは諦観したように呟く。
「それでだ、今回は何とか勝てたが、次どうなるか分からない。いつ闇の眷族と戦ってもいいように我々も備えておく必要がある。難易度の高い依頼を受けて出来るだけレベルを上げておきたい」
「なるほど...分かったわ。あなた達が強くなるように私も協力する」
「助かる。それと今回のように闇の眷族が絡んでいそうな依頼があったら、優先して我々を指名して欲しい」
「了解よ。依頼があり次第すぐに連絡するわね。それと今回の成功報酬は300万ペイルになるけど、前回と同じにする? それとも折半する?」
殿下がアタシを見る。判断を委ねるってことね。だったら、
「折半しましょう。これは冒険者としての活動ですから」
「ちょうど6で割り切れるわね。じゃあみんな、冒険者カードを出して頂戴」
アタシ達は報酬を受け取ってギルドを後にした。
◆◆◆
2学期が始まった。
クラスメイト達との久し振りの再会を喜んだ。それが一段落すると、先生がやって来てHRが始まる。内容は約一ヶ月後に迫った学園祭のことだ。実行委員や準備係を決めるらしい。アタシ達は『精霊の愛し子隊』としての活動がメインなので、それら面倒な役割は免除されている。
その内、クラス内でどんな出し物をするのかという話し合いがあるそうだ。定番なのは模擬店だろう。後はお化け屋敷とか。占いの館とか。地味な所ではクラス展示なんてのもあったな。
懐かしく思っていると、先生からは話し合いまでに各自意見を纏めておくようにとの指示があった。どれがいいかな~? お昼になったらみんなに聞いてみよう。
◇◇◇
「ウチのクラスでは模擬店をやろうってヤツらが多いかな?」
「えぇ、そうですわね。結構盛り上がっていましたわ。女子は執事喫茶、男子はメイド喫茶を推す声が多くてなんだか笑っちゃいました」
殿下達のクラスは模擬店かぁ~ それにしても男女共願望丸出しで確かに微笑ましいな。
「ウチのクラスの主流はその...言いたくないです...」
「お化け屋敷?」
「な、なんで分かったのさ!?」
そりゃシルベスターの様子を見てりゃ丸分かりだっての。ってか、そういうのに耐性ついたんじゃなかったんかい? お化け屋敷くらいでそんなに嫌がらんでも。
「遅くなりました。殿下、演習場の使用許可下りました」
そこへ先生に許可を貰いに行っていたエリオットが戻って来た。
「おう、ご苦労さん。早速今日の放課後から訓練開始だ。みんな、準備はいいな?」
「「「「「 応っ! 」」」」」
◇◇◇
訓練が始まった。まずアタシはアリシアを指名してペアを組む。ちなみに殿下はシルベスター、シャロン様はエリオットとペアを組んだようだ。何故かアリシアがみんなに睨まれてるんだが気のせいかな? まあいいや、さっさと始めよう。
「アリシア、ゴーレムの攻撃力を見てみたいから、戦って貰っていい?」
「了解~! いつでもどうぞ!」
アタシは6体のゴーレムを作り出し、アリシアに攻撃を仕掛ける。
「うぉっとっ! 意外に動き早いね!」
うん、アタシもゴーレムってもっとゆっくり動くもんだとばっかり思ってたよ。でも実際はアリシアを取り囲むスピードや攻撃する際のキレの良さなど、なんだか人間を相手にしてるみたいだね。
「結構硬いね! 一撃じゃ倒せない!」
それでもさすがはアリシア、あっという間にゴーレムは半分に減った。でもねぇ..
「えぇっ!? なんで復活してんの!?」
「そりゃゴーレムだもん。復活くらいするっしょ」
再びゴーレムに囲まれるアリシアちゃん。
「ち、ちなみにいつまで復活すんの!?」
「ん~? 私の魔力が切れるまで?」
「そんなのいやぁ~!」
「ホレホレ、倒さないと死ぬよ~」
「どんな虐めよこれ~!」
虐めだなんて失礼な! ちゃんとした訓練の一環じゃないか。
その後もアリシアの悲鳴と共に訓練は続くのだった。
0
お気に入りに追加
1,105
あなたにおすすめの小説
まさか転生?
花菱
ファンタジー
気付いたら異世界? しかも身体が?
一体どうなってるの…
あれ?でも……
滑舌かなり悪く、ご都合主義のお話。
初めてなので作者にも今後どうなっていくのか分からない……
料理の上手さを見込まれてモフモフ聖獣に育てられた俺は、剣も魔法も使えず、一人ではドラゴンくらいしか倒せないのに、聖女や剣聖たちから溺愛される
向原 行人
ファンタジー
母を早くに亡くし、男だらけの五人兄弟で家事の全てを任されていた長男の俺は、気付いたら異世界に転生していた。
アルフレッドという名の子供になっていたのだが、山奥に一人ぼっち。
普通に考えて、親に捨てられ死を待つだけという、とんでもないハードモード転生だったのだが、偶然通りかかった人の言葉を話す聖獣――白虎が現れ、俺を育ててくれた。
白虎は食べ物の獲り方を教えてくれたので、俺は前世で培った家事の腕を振るい、調理という形で恩を返す。
そんな毎日が十数年続き、俺がもうすぐ十六歳になるという所で、白虎からそろそろ人間の社会で生きる様にと言われてしまった。
剣も魔法も使えない俺は、少しだけ使える聖獣の力と家事能力しか取り柄が無いので、とりあえず異世界の定番である冒険者を目指す事に。
だが、この世界では職業学校を卒業しないと冒険者になれないのだとか。
おまけに聖獣の力を人前で使うと、恐れられて嫌われる……と。
俺は聖獣の力を使わずに、冒険者となる事が出来るのだろうか。
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
【完結】家庭菜園士の強野菜無双!俺の野菜は激強い、魔王も勇者もチート野菜で一捻り!
鏑木 うりこ
ファンタジー
幸田と向田はトラックにドン☆されて異世界転生した。
勇者チートハーレムモノのラノベが好きな幸田は勇者に、まったりスローライフモノのラノベが好きな向田には……「家庭菜園士」が女神様より授けられた!
「家庭菜園だけかよーー!」
元向田、現タトは叫ぶがまあ念願のスローライフは叶いそうである?
大変!第2回次世代ファンタジーカップのタグをつけたはずなのに、ついてないぞ……。あまりに衝撃すぎて倒れた……(;´Д`)もうだめだー
私は私で勝手に生きていきますから、どうぞご自由にお捨てになってください。
木山楽斗
恋愛
伯爵令嬢であるアルティリアは、婚約者からある日突然婚約破棄を告げられた。
彼はアルティリアが上から目線だと批判して、自らの妻として相応しくないと判断したのだ。
それに対して不満を述べたアルティリアだったが、婚約者の意思は固かった。こうして彼女は、理不尽に婚約を破棄されてしまったのである。
そのことに関して、アルティリアは実の父親から責められることになった。
公にはなっていないが、彼女は妾の子であり、家での扱いも悪かったのだ。
そのような環境で父親から責められたアルティリアの我慢は限界であった。伯爵家に必要ない。そう言われたアルティリアは父親に告げた。
「私は私で勝手に生きていきますから、どうぞご自由にお捨てになってください。私はそれで構いません」
こうしてアルティリアは、新たなる人生を送ることになった。
彼女は伯爵家のしがらみから解放されて、自由な人生を送ることになったのである。
同時に彼女を虐げていた者達は、その報いを受けることになった。彼らはアルティリアだけではなく様々な人から恨みを買っており、その立場というものは盤石なものではなかったのだ。
近くて遠い
高尾 閑
ファンタジー
異世界ファンタジー
剣と魔法の世界に転移したり、転生したり。勇者や魔王になってみたり。傍観、無双、スローライフ等々。
※1話完結の短編集
※世界観バラバラ
※基本続き物なし
◇→男主人公 / ◆→女主人公
*リスト*
異世界
・転生
├王族
├貴族:1
├平民
├孤児
└人外
・転移・召喚
├勇者
├聖女
├神子・愛し子
├巻き込まれ
├魔王
├その他:1
└原因不明:1
・魔族:1
小説・マンガ・ゲーム
・転生
├
├
王妃候補に選ばれましたが、全く興味の無い私は野次馬に徹しようと思います
真理亜
恋愛
ここセントール王国には一風変わった習慣がある。
それは王太子の婚約者、ひいては未来の王妃となるべく女性を決める際、何人かの選ばれし令嬢達を一同に集めて合宿のようなものを行い、合宿中の振る舞いや人間関係に対する対応などを見極めて判断を下すというものである。
要は選考試験のようなものだが、かといってこれといった課題を出されるという訳では無い。あくまでも令嬢達の普段の行動を観察し、記録し、判定を下すというシステムになっている。
そんな選ばれた令嬢達が集まる中、一人だけ場違いな令嬢が居た。彼女は他の候補者達の観察に徹しているのだ。どうしてそんなことをしているのかと尋ねられたその令嬢は、
「お構い無く。私は王妃の座なんか微塵も興味有りませんので。ここには野次馬として来ました」
と言い放ったのだった。
少し長くなって来たので短編から長編に変更しました。
噂好きのローレッタ
水谷繭
恋愛
公爵令嬢リディアの婚約者は、レフィオル王国の第一王子アデルバート殿下だ。しかし、彼はリディアに冷たく、最近は小動物のように愛らしい男爵令嬢フィオナのほうばかり気にかけている。
ついには殿下とフィオナがつき合っているのではないかという噂まで耳にしたリディアは、婚約解消を申し出ることに。しかし、アデルバートは全く納得していないようで……。
※二部以降雰囲気が変わるので、ご注意ください。少し後味悪いかもしれません(主人公はハピエンです)
※小説家になろうにも掲載しています
◆表紙画像はGirly Dropさんからお借りしました
(旧題:婚約者は愛らしい男爵令嬢さんのほうがお好きなようなので、婚約解消を申し出てみました)
婚約解消して次期辺境伯に嫁いでみた
cyaru
恋愛
一目惚れで婚約を申し込まれたキュレット伯爵家のソシャリー。
お相手はボラツク侯爵家の次期当主ケイン。眉目秀麗でこれまで数多くの縁談が女性側から持ち込まれてきたがケインは女性には興味がないようで18歳になっても婚約者は今までいなかった。
婚約をした時は良かったのだが、問題は1か月に起きた。
過去にボラツク侯爵家から放逐された侯爵の妹が亡くなった。放っておけばいいのに侯爵は簡素な葬儀も行ったのだが、亡くなった妹の娘が牧師と共にやってきた。若い頃の妹にそっくりな娘はロザリア。
ボラツク侯爵家はロザリアを引き取り面倒を見ることを決定した。
婚約の時にはなかったがロザリアが独り立ちできる状態までが期間。
明らかにソシャリーが嫁げば、ロザリアがもれなくついてくる。
「マジか…」ソシャリーは心から遠慮したいと願う。
そして婚約者同士の距離を縮め、お互いの考えを語り合う場が月に数回設けられるようになったが、全てにもれなくロザリアがついてくる。
茶会に観劇、誕生日の贈り物もロザリアに買ったものを譲ってあげると謎の善意を押し売り。夜会もケインがエスコートしダンスを踊るのはロザリア。
幾度となく抗議を受け、ケインは考えを改めると誓ってくれたが本当に考えを改めたのか。改めていれば婚約は継続、そうでなければ解消だがソシャリーも年齢的に次を決めておかないと家のお荷物になってしまう。
「こちらは嫁いでくれるならそれに越したことはない」と父が用意をしてくれたのは「自分の責任なので面倒を見ている子の数は35」という次期辺境伯だった?!
★↑例の如く恐ろしく省略してます。
★9月14日投稿開始、完結は9月16日です。
★コメントの返信は遅いです。
★タグが勝手すぎる!と思う方。ごめんなさい。検索してもヒットしないよう工夫してます。
♡注意事項~この話を読む前に~♡
※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。【妄想史であり世界史ではない】事をご理解ください。登場人物、場所全て架空です。
※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義なのでリアルな世界の常識と混同されないようお願いします。
※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。
※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
※話の基幹、伏線に関わる文言についてのご指摘は申し訳ないですが受けられません
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる